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商品説明
うすい人、勝手な人、ケチな人、臭い人、スケベな人…。大迷惑で、むかつく奴ら。でも笑える。…ちょっと可愛い。困ったおやじの生態を「愛情」こめて描く、爆笑小説。『星星峡』連載の単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
群 ようこ
- 略歴
- 〈群ようこ〉1954年東京都生まれ。日本大学芸術学部卒業。本の雑誌社勤務時代に「午前零時の玄米パン」で作家デビュー。著書に「ひとりの女」「へその緒スープ」ほか多数。
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紙の本
もうトリビアにすらならないオヤジ達の実態
2005/12/30 09:38
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る
竹宮恵子氏の『わたしを月まで連れてって!』には、ニナとダンの着せかえが表紙になっている回があった。しかしこの本の装丁には、絶句。そして一言。
「う、うーん。濃いっちゅーか、何ちゅーか。」
だって、オヤジの着せかえなのだ、これ。表はランニングシャツにパンツの七三分け。裏はハゲていて、ブリーフの一部が『もっこり』している。犬や猫や鞄もあるが、絵柄が微妙に可愛くない。
文庫版が全然違った絵柄とデザインになってるのは、やっぱり不評だったから?毎日見るには濃すぎたから?
確かに、毎日見たい図ではない。ただ、ちらっと見る分には面白い。
面白いけど、ずっとは見ていたくない。
この感想は、本書に登場するオヤジについても言える。
本書は、オヤジ自身の視点、或いは彼等を傍で見ている同僚の視点から、12人のオヤジ達の日常を語っていく。
茶髪にして、「ゴンドウ商事のキムタクでーす。」と自己紹介し、周りのサムい視線もどこ吹く風で、ナンパに勢を出す「恥ずかしい人」。男性よりも女性のほうに寄って行って、胸の谷間が見えた日には「あー、極楽、極楽」なんて心の中でほくそ笑む「スケベな人」には爆笑。「ゆるい人」を読んで、「ああ、やっぱりあの電車の床の茶色いシミってそうだったんだ。」と納得し、「臭い人」の家族に嫌がられる匂いを発するオヤジの描写には、会社で「あ、この人臭い」ってエレベーターや会議室で隣にいたオヤジ達の事を思い出す。
いかにも、「いるいる、そんな人」「そんな人いそう。そうか、実態はそうなんだぁ。」と思わせる事ばかり。
彼等のカタカナ表記の微妙な匿名も、「いそうな感じ」感を、更に増してくれる。実際、「キムタク」とは名乗らなかったが、名前に因んで自分の事を紹介している先輩社員と周囲の反応は、「うん、本当に、この通り!」と太鼓判をおしてもいいくらい。
「一体どこで、見てるの?というか、心情までどーしてわかるの?」と
驚きの連続。事細かに実に適格な言葉を用いて彼等を描写する著者の観察眼には脱帽だ。
けれど、ひとしきり笑った後で、ちょっと恐くなる。この目が
オヤジの対極にあるオバサンに向けられたら?人間である限り、この人の観察眼からは逃げられない。やれ、くわばら。くわばら。