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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2000.6
- 出版社: 幻冬舎
- サイズ:20cm/298p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-87728-965-8
紙の本
コンセント
著者 田口 ランディ (著)
「兄が死んだ。兄は2カ月前から行方不明になっていた。こうなる気がしていた」。兄はなぜ引きこもり、生きることをやめたのか? 一人の人間の死が生んだ多くの謎を、残された人間は...
コンセント
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商品説明
「兄が死んだ。兄は2カ月前から行方不明になっていた。こうなる気がしていた」。兄はなぜ引きこもり、生きることをやめたのか? 一人の人間の死が生んだ多くの謎を、残された人間は一生かけて解いていかなければならない…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
田口 ランディ
- 略歴
- 〈田口ランディ〉東京都生まれ。広告代理店、編集プロダクションを経て、ネットコラムニストとして注目される。著書に「もう消費すら快楽じゃない彼女へ」などがある。
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紙の本
うーん…
2002/05/11 02:39
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投稿者:たえこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
読んでいて強く感じたのは、激しい自己主張。
私は特別な存在なんだ、私のセックスには特別な力があるんだ、と主人公の口を借りて作者が自分の主張をしているようでした。
死とセックスと癒しとオカルトを無理やり結びつけたような展開にも、無理があって、書きたい事を乱雑に書きなぐったという印象がありました。
結局主人公のお兄さんの「ひきこもり」も適当に都合よく決着をつけただけでしたし。
グロテスクな描写と露骨なセックスの描写には、正直読んでいて疲れました。
はまる人にはとても面白いのかもしれませんが、私には読みづらい小説でした。ラストも釈然としませんね。
紙の本
「うまい」とは思うけれど。
2001/06/30 00:01
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投稿者:R4DIOHE4DZ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハードボイルドな物語かと思いきや、実際は一部の描写を除いてはそうではなく、やや軽薄、少し意地悪な言い方をすればおいしいとこ取りとの印象を受ける。刻薄な現実描写や生々しい性描写は、確かに村上龍や花村萬月を想起させるところがある。その一方で、主人公の女性が自由気ままに生きているにも関わらず男には不足しない点などは、少女漫画的なヒロイン願望がみえてとれ、やや気になる。もっとも、こうしたものが好きな読者には受けいれられやすいだろうが。物語後半の、この種の小説にしてはやや突飛過ぎるとすらいえる展開は、あまりにオカルト・ニューエイジ系に偏りすぎて、筆者には入り込めなかった。もっとも、こうしたものに興味のある読者には受け入れられやすいだろうが。
筆者は、途中までは割とすらすら読み進めたものの、残念ながら上に挙げた要素や後半の展開には、どうしても肯くことはできなかったのである。
紙の本
なんだろう
2001/06/07 19:06
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投稿者:すの - この投稿者のレビュー一覧を見る
まさに、評価保留。彼女のエッセイ(メールマガジン)は大好きなのだが、小説は初めて読んだ。
前半はおそらく自伝的要素が強いのだろう全ての登場人物がリアルであり、その生き方の主張、苦痛、思想なんかが抵抗無く読める。
問題は後半なのだ。
沢山の人生の問題を書きすぎて、最終的な逃げにとれないこともないと思う。ただ、ものすごく現実をわかっている文章だとは思う。
ポイントは「性」と「異常」。「性」はこれから、今までと違った意味を持つようになるだろうし、多くの人が求めている「癒やし」「愛情」なんてのも、結局の所、「性」に至るのかもしれない。
日本の文化というのは本来フリーセックスらしいので、今の「運命の人と幸せな家庭」を手に入れるのが人生の最終目的である、的発想は本来受け入れてなかったのかもしれない。
「異常」で有ると言うことで目をそらした数々のなかに本当に大事な物があったのかもしれない。受け入れることの難しさ。心を病む人はこれからも増えていくだろう。そう、自分の周りが自分にとって異常だと言うことは、自分がそれらを受け入れていない。ただそれだけのことだ。
受け入れられたい人々が叫びだす時代なのだろう。受け入れられてないことに敏感な時代…。全ての差別や偏見に通じてゆく。
それでもやっぱり、あんまりにも刹那的に全てを受け入れすぎる主人公、ユキに困惑する。別に作者がユキのような人生を推奨しているわけではないけど、小説という物の主人公は、読者の視点にさらされやすいわけで、前半、共感やあこがれや同情を感じた主人公が、後半あっと言う間に、わからない者に変わっていくのが面白いと言えば面白いかもしれない。
紙の本
私はなじめませんでした
2001/04/21 11:59
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投稿者:remi - この投稿者のレビュー一覧を見る
「よい小説ほど、評価が分かれるものだ」ということを、イギリスのとある文芸評論家が言ったそうです。本書も、その一つなのかもしれません。この小説も、読み手によって大きく評価が分かれると思います。さまざまな書評や友人からの評判も良かったので、読んでみましたが、私は、この小説になじむことができませんでした。というか、とにかく読後感がよくなかったです。
主人公は朝倉ユキ。彼女は株式関係の記事を執筆する経済ジャーナリストです。そんな彼女が、兄の死をきっかけに、敏感に「死臭」をかぎとるようになります。そんな彼女がまわりの人間たちとかかわりながら、いかに生きていこうとするのか。そんなストーリーでこの本は始まります。
このあたりまでは私もおもしろく読んでいたのですが、「シャーマニズム」だのが出てくるあたりから、どうもなじめなくなってしまいました。
この小説には勢いがあります。どんどんページをめくってしまいます。しかし、私はどうもなじむことができませんでした。
紙の本
わからない…
2001/01/22 23:08
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投稿者:読ん太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
田口ランディの小説を初めて手にした。
飽きることなく最後まで一気に読めた。一文が短いのが特徴的で、その為ぶつ切り感があるが加速度はつき易いみたいだ。
一気に読んだが、読後に残ったものは「爽快感」でもなく「癒し」でもなかった。「不安」と「疲労感」がずっしりと残った。
人間のありのままをさらけ出した風にも読み取れるが、その実、「引きこもり」という現在の社会問題を取り上げ、それを一手に引き受けて最後には雑に料理した…、そんな印象を受けた。
著者は何が言いたかったのか?私は、今のところ理解できないでいる。
紙の本
ネットコラムニスト・田口ランディ入魂の処女長編。
2000/07/10 02:04
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投稿者:永江朗 - この投稿者のレビュー一覧を見る
インターネットが生んだコラムニスト、田口ランディ初の長編小説である。
テーマは「引きこもり」だ。
主人公ユキの兄が死体で発見される。引きこもりの末に行方不明となり、限りなく自殺に近い餓死を遂げていたのだ。真夏のアパートでその遺体は腐敗し、猛烈な臭いを放っている。以来、ユキは日常生活のなかでも「死臭」を嗅ぎつけてしまう。
なぜ人は引きこもるのか。それについて多少の解釈は試みられているけれども、決定的な答えは書かれていない。それはそうだ、そんなことは当人でなければわからないし、当人は死んでしまっているのだから。むしろ、この小説の魅力は、肉親に引きこもられてしまった(ヘンな日本語だけど)人々が、その現実とどう折り合いをつけていくかがリアルに描かれているところにある。
表題の「コンセント」とは、プラグを入れる、電源のコンセントのことである。プラグさえ差し込まれれば、何にでもエネルギーを放出してしまう。それは相手に過剰に感応してしまうユキを象徴する言葉だ。死臭と兄の幻覚に悩まされた彼女は、心理学者や精神科医、あるいは占い師やシャーマンを訪ねる。
処女長編にふさわしく、この小説には現代の私たちが抱える問題のすべてが詰め込まれている。いま私たちは誰もがコンセントになりつつある。
尚、この本は三部作の第一弾とのこと。
紙の本
いまいちかも
2002/05/12 23:04
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投稿者:くも - この投稿者のレビュー一覧を見る
人気インターネットコラムニストである著者の初めての
長編小説ということで、試しに読んでみた。が、思ったのは
「コラム」と「小説」は全く違うものなのだということだった。
読み進む中でまず気になったのは、文章の稚拙さだった。何と
なく違和感を覚える箇所が頻繁に出てくる。文法的に間違ってい
るわけではないが、微妙な語尾の使い方など、自然な感じがしな
いのである。コラムであれば単純に自分の言葉で語ればいいが
小説は様々な設定のもと、複数の人物が登場する。そしてそれ
ぞれのキャラにあった言葉を与えなければいけないと思うが、
その点が洗練されていなかった。例えば「〜だった」というよ
うな言い切りが会話の中で連続して登場する。これはかなり
読みづらい。その場で赤ペンを入れたい気分だった。
あと、ストーリーの進め方も強引というか不自然な気がした。
特にラストは「?」という気分。きっちり問題提起をし、それに
沿って自然な流れを造れていない。無意味な描写が多いとも感
じた。必要があって書いているのではなく、何となくその言葉を
使いたいから、といったような、単に知っている言葉の羅列の
ような印象を受けた。
以上の理由で評価はいまいち。。もちろん今回の作品で著者の
作家としての才能を断ずるのは早計過ぎるとは思うが、正直この
作品について言えば、失敗作だと思う。
紙の本
お金払ってまでねぇ
2001/11/11 23:55
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投稿者:katokt - この投稿者のレビュー一覧を見る
コラムは事実誤認、または事実をまったく記述しない。推論の過程は思いつき、親父ギャグもまっさおなただの駄洒落の連想、そこに他人の悪口と自分の全肯定、誤字、脱字をばらまいて、最後をオカルト、トンデモで締める人って評価。
でもまあ小説だし、せっかく貸してくれる人もいるから読むことにしよう。小説のなかはその作家の世界だから、事実が間違ってても、推論の過程がめちゃくちゃでも、結論がオカルトでも問題はまったくない。その作家の世界がきちんと作られてて、ふっと人生を切り取って垣間見せてくれるようなものでさえありさえすれば。
で、小説も読む価値なし、ひどいよ。構成のかけらもない。描写もせりふも陳腐だし、伏線もばかばかしすぎるし、コンセントの概念の使い方も自ら混乱の極み、「ひきこもり」の問題提起からしていいかげんだし、真剣に考えてないなぁ。こんな本に金だしちゃいけない。
初出
紙の本
ラストは笑うとこか?
2002/02/26 23:38
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投稿者:まめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは多分、好みが分かれるでしょう。好きな人はすっごくハマると思うけど、何じゃこりゃ!! って人もいるだろうし。ちなみに私はやや後者かな。精神世界系のお話はちょっと判断保留というか、理解しかねる。
ユキの兄は元々感受性が強くて、周りの感情に共鳴し、進入される“通電している状態”が耐えられなくなってしまった。コンセントを抜いた、一般人から見ると精神を病んでいるように見える状態でいる方が幸せで、そっちの世界の方を選んだのだろう。
また“カイタイ”すると —宗教で言う解脱みたいなもので、今までの自分ではなくなり、シャーマンとしての能力が開花すると言うのだが、この辺は百歩譲ってまだ付いて行けるかな。ちなみに自我が弱いと“カイタイ”の途中で自分自身の自我が崩壊して、精神病扱いされてしまうのだそうだ。そして物語の中で兄は“カイタイ”して行くユキの導き手を担っている。
ユキ同級生の律子は言う。「シャーマンは壁に付いている穴の方。その穴は見えざる世界と繋がっていて、シャーマンを訪れる人は自分のプラグをコンセントに差し込むと、神の世界と繋がることができる。」仰天のラストに向けて中々深い言葉である。
〜みたいとか、〜そうだとか、曖昧な言葉の多い感想になってしまった。まとまらないから長いし。
さて、後書きによると『アンテナ』はこの作品の続編、『コンセント』のラストは『アンテナ』に引き継がれる1つのサブストーリーなのだ、とのこと。プラス『モザイク』まででシリーズ三部作。だから今回のオチは気にするな、と?
それにしてもあのラストはないよなぁ。一応続編未読なので甘めに評価。
私のHPです。書評はじめました。BOOK Drunker
紙の本
どうしてこんな小説にみんな騙されるのだろう?
2002/06/04 07:31
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投稿者:イカレ=ポンティ - この投稿者のレビュー一覧を見る
読後の評価はどうあれ、ここに書き込まれた膨大な数の書評が、この作品の存在を特徴付けている。読んだ後に何かを言いたくなる作品であるとしたら、もうそれだけでその小説の存在価値はあるというものだ。
しかも聞くところによると、当代きってのプロの本読みたちが、無視したり「まあまあなんじゃないの〜」と流すことなく、猛烈に評価したりあるいは貶めたりと、激しく反応しているそうではないか。
そうなると、著者のコラムもエッセイも読んだことがない、しかも流行に疎い私でも、少しは気になる。ということで、とてつもなく遅ればせながら、ブックオフで100円で売っていたので読んでみました。
確かに、短い文を重ねていく書き方は読みやすく、入り込んでいきやすい。文章自体も下手とは思いませんでした、むしろ上手いと思ったくらい。テーマの選択も「現代的」で一般受けしそうですね。
しかし、なんか「あざとさ」を感じるのは私だけでしょうか。どこかで(おそらくネット上で)仕入れた情報を、適当にちりばめてそれっぽく仕上げてるような印象が、読みながらずっとつきまとっていました。
トランス状態の描写やセックス描写を読めばわかるが、この人は実際にはこういう体験をしていない。それでも、そういう事情に詳しくない「識者」を欺くくらいの文章力を、この人はもっている。
私としては、情報以上のものを読者に提供できなければ、小説という形式を選択する必要はない、と考えます。「カイタイセヨ」のような、一見気のきいたキーワードも鼻につく。
う〜ん、もっとはちゃめちゃで、もっとソリッドで、もっと自分の問題として引き受けた、どこかへと突き抜けてしまったような小説かと思ってた。情報と頭で書くのでもなければ、体験だけで書くのでもない小説。
それにしても、どうしてこんな小説にみんな騙されるのだろう?
紙の本
生きるのにむかないみたい、って思う人は読んで見て
2002/05/17 17:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つる - この投稿者のレビュー一覧を見る
最後の方がまたけっこう精神世界な感じでどうもついていけなくなるが、それでも読みでがあったと思う。
とくにお兄さんが優しい人だったと思うところ。それってすごく大事なところに気づいたんだと思う。
これを読むと人ってものを考える。
もし目の前で暴れている人がいても、その人の心が残虐だとは限らない。優しすぎたからもしれない、そんなふうに思えた方が素敵じゃない?
また無駄なエピソードもあまりないし、よくまとまっている感じがした。
もしどこかで「なんか生きにくいんだよなー」と思っている人がいるならぜひお薦めの一冊だ。そう絶対いるんだよ。なんか生きにくい人って。絶対いる。
それがわかるだけでちょっと楽になる気がする。ただそういう性格だったんだって、思えばさ。死ぬことも一つのその人らしい選択だなんてきっと思えるよ。
紙の本
不思議な世界へGO!
2002/06/08 13:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Alice - この投稿者のレビュー一覧を見る
始めのうちは死んだ兄の死体の状態があまりにリアルでちょっと気持ちがわるくなりそうだったのに、読んでいるうちにどんどん物語に引き込まれてゆきます。気が付いたら、見たこともない世界なのに白昼夢をみていました。もしかしたら、見えない空間に別世界が存在するのかも…。あっちの世界に手が届きそうで届かないところがなんとも面白いです。
紙の本
現代小説らしい小説の面白さ
2002/03/10 17:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者が有名になったことや、小説自体が映画化されるということによって、より多くの読者の注目を浴びいる本というのは、その読まれ方において“幸福”なのだろうか。例えば、小説を原作に持つ映画を観た後に、「小説より映画の方が面白い」という声よりも「映画よりも小説の方が面白い」という声を聞くことが多いという事態は、小説には小説の魅力があり、それは映画化によって必ずしも生かされるわけではない、ということを示しているだろう。今や田口ランディは時の人となった感があるし、『コンセント』は映画化されている。そのことは“幸福”な事態に違いないが、ともすると“小説”としての『コンセント』に向き合う機会を逃してしまうことにはならないだろうか。
というのも、『コンセント』の面白さは、端的にそれが“小説”である点にこそあるからだ。もちろん、ここでいう「面白い」とは、明るい楽しさやハッピーエンディングにむけての奇想天外な展開にあるのではなく、むしろストーリーそのものは暗いといっていいし、頻出するイメージには不気味なものが多い。それにもかかわらず、いや、それだからこそ『コンセント』が面白いのは、他でもない主人公に、われわれ読者が数頁を読むうちにシンクロしてしまうからである。様々なエピソードから浮かび上がる主人公は、平凡であるとは言えないまでも、現代的な一人物であるし、読者の生活とはかけ離れていようとも、容易にイメージできる範囲の人間として描かれている。しかも、その主人公が直面する現実世界のトラブルや、それらと表裏をなす無意識のトラウマは、同じく現代人として私達が抱えている(筈の)ものである。それが言葉によって書かれることで、私達は想像力を活性化させながら自分に近しい世界としてそれを受け入れることが出来る、というより、気づいた時には主人公にシンクロして自らの無意識の精神世界を手探りしていることになるだろう。何しろ、主人公の無意識は、“謎”として現実世界に顔を出すのだが、その要因を無意識の精神世界に探っていく過程が、まるでミステリー仕掛けのように展開していき、しかもそれはミステリーと違い心の探索である以上、唯一の完全なる答えには辿り着くことがない(第一そんなものはないだろう)。そしてこうした読書体験は、確かに娯楽というには少し“重い”かもしれないが、主人公の抱えるトラブルや希望がもしあなたのものでもあるならば、頁を閉じた後も『コンセント』読書体験は続いていくことになるだろう。気づいたときには、今度はあなた自身の心の探索が始まっているのだ。
紙の本
繋がる
2002/01/07 18:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nory - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者の兄がひきこもりのあと衰弱死をしたというのは知られた話だ。これはその死の謎を彼女なりに解いてみようとした物語である。
この中で「コンセント」という言葉は「何かと繋がる」という意味で使われている。その「何か」とは人の意識であったり、記憶であったり、もっと大きな世界であったりする。
ふだん私たちは他者との意識を遮断している。家族だろうが、友人だろうが自分の中には侵入させない。そうやって身を守り、傷つくことや破壊することを押さえ込んでいる。
自分の意識をオープンにするということは、とてもしんどいことなのだ。人の意識がとめどなく流れ込み、受け入れ容量を超えてあふれだす。調整する力があればいいのだが、無力な人間は壊れてしまう。そうなる前に堰を作ってせき止めるしかない。
しかし、繋がることに身をゆだねてみれば、もっと違った何かが見えてくるかもしれない。兄の存在と死は悪いだけのものではなかった。大切なことを教えてくれるものだった。角度を変えただけで、今まで見えなかったことがわかってくる。もっと大きなものを手に入れることができる。
今、私たちが悪だと思って憎み、敬遠して避けようとしているものは、じつは別の世界へ繋いでくれるものなのかもしれない。その世界へと足を踏み入れるためには、コンセントにプラグを差し込んでみるしかない。そうするほうが意外と楽になれるような気がする。
紙の本
話題の1冊
2001/10/07 18:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:すいか - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は結構、私の回りでも話題になってて読み始めたら一気に読みきりました。ラストは私にとっては、とても意外な結末でした。