紙の本
一つの研究所における革命的研究の過程を描いた大書!
2016/03/18 10:20
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、アメリカのある研究所における革命的な研究の過程とそれに関係する様々な研究員の物語です。本書を読むと、一つの研究がどのように行われ、そこで人々がどのように関わっているのかがよく分かります。特に、本書がテーマにしている「複雑系」、すなわち、既存の分野カテゴリーでは収まりきれない、多様な分野を包括した研究jにおける多様な関係者とそれぞれの視点の違い、それによる対立と、その後の協調といったことが非常によく描かれています。研究分野に興味をお持ちの方はもちろん、単にエンタテイメントとしても楽しめる作品となっています。
紙の本
2000/7/2朝刊
2000/10/21 00:15
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投稿者:日本経済新聞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
九六年に翻訳され、学問やジャーナリズムの世界で一躍「複雑系」ブームを巻き起こした話題作を文庫化した。分析と定式化に基づく従来の科学を根本から問い直す「複雑性の科学」を提唱した、米サンタフェ研究所の異才たちの活動を追ったドキュメンタリーだ。
彼らの孤独な活動がやがて複雑に絡み合い、一つの巨大なうねりとなっていく様を、著者はまさに複雑系のようなダイナミズムで描き出している。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000
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科学にはあまり詳しくないのだが、個性的な人物の内面的、外面的ドラマが次々に繰り広げられており、面白く読めた。
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内容は非常にライトで、ヒューマンドキュメンタリー的に、様々な人物に照明を当てて、サンタフェ研究所のことを描いています。
なんというか、こういったタッチで物事を語るのは、スティーブン・レビーの「HACKERS」に似たクールさを感じる面がありますね。
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要素還元的手法を物事の本質として取り入れてきた近代科学の中で、このような流れは必然だったのだろう。本書は経済、生命など至るところで噴出した、要素に還元できない現象の数々の根底にあるものを探すためにサンタフェに集まった人々の雄姿を生き生きと描写している。
大学に入る直前にこの本に出会ったのが実質的に人生の転機となった。むさぼるように読んだのを覚えている。読んだ上で注意したいのが本書はサンタフェ研究所で主に扱っている「複雑適応系」という複雑系の中でも環境に適応して自己を変化させていく系に絞って紹介している点である。サンタフェ研究所の功績は大きいが、現在はもはや「複雑系=この書籍=サンタフェ研究所」ではないことに留意したい。本書はあくまで出発点である。
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■引用
p140「文明の盛衰は一種の自己組織化現象であって、人間は環境に対する認識の変化に応じてしかるべきときにしかるべき文化的オルタナティブを選択しているのではないかと考えるようになった。」(ロバート・マコーマック・アダムズ)
p211 車と馬が入れ替わったとき、経済は変容した。
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複雑系という分野を知ったのは、この本だった。生物学を学んでいた自分にとって階層や創発という概念はとても自然に受け入れることができた。
今の自分の方向性を決めてくれた一冊である。
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かなり知的興奮を覚える本。いまでは当たり前のように言われることだが、当時は目からウロコが落ちました。
いまでもポジティブフィードバックを志向するのは、この本のおかげ。
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天才たちの議論を垣間見て自分も天才たちの仲間入りの夢を見た。
思わず、シミュレーションプログラムを書いて実験して見た。
「やったー!!」
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最近は複雑系ブームも下火になりつつありますが、この本は「代表作」です。
物事は全て秩序から混沌へと進み、やがて宇宙は終局する―。という今までの常識を非常識に覆したのが”複雑系”である。
そしてこの発見は、物理学、化学、経済学、情報学、政治…すべての学問体系を揺るがせるに至りました。
新しいサイエンスのキーワード「複雑系」をあらゆる角度から分析しつつ、創造神に一歩近づいたサンタフェ研究所の俊英たちのドラマを証言で綴る、新世紀サイエンス・ドキュメンタリー!!みたいな。
水素、酸素という単純な原子から、いかなる原因で私達のような多細胞生物が発生したか。
どうしてマイクロソフトが一人勝ちできたか。
人工知能の作り方・・・。
いわば世界の料理フルコースって感じですかね。かなりおいしくいただけます。
色んな学問がごった煮されて、いい具合にマッチングし、完成度の高いに仕上がっています。
これ何がいいって、数式が一切出てこずに、難解な学問を説明してくれるんです。
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細分化している科学をくみ上げると、そこに見える複雑性。
異分野の科学者同士が意見を交わしあう事でアイデアが生まれる場として創られたサンタフェ研究所。
集まる人々はその道の権威から異端児まで。どの人も頭がキレて、狭い場所にごった返しながら議論の場を広げている。アイデア創発の触媒としてのサンタフェ研究所は面白い。
複雑な系。それは進化、エコシステム、経済、コンピューターなどだ。そこに動くシステムは何なのか、どうすれば証明できるのか。そんな事を日夜考えている人たち。
特に印象的だったのは、原始生命が化学触媒かもしれない、という考え。
クラシファイア・システム(命令を張る掲示板と採用されるための報償)。
ガラスケースの中の経済。
単純な法則を持ち、複雑な動きをするバードシステム。
世界は面白い。
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すごくワクワクする内容で、複雑系に興味がもてた。
特に、ラングトンのところが一番好きかもしれない。
自己複製や人工生命、カオスの話など興味がそそられる話が凝縮されています。
ただ、絶版で市場には残っていないところが残念。
今後手に入れるとして古本になってしまいます。
けど、それでも手に入れる価値はありかな?
新たな発見のためにも再読する必要あり。
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この種のテーマには、ワクワクする。そして楽しく読んだ。この本で考えたことは、複雑ということそのもので、うまく表現できないのですが、個々の対象が複雑なことと、個々が複雑に絡み合っている、構造的複雑さと分けて現実社会を見てみようとです。一見単純そうに見えて結構複雑な対象や全く逆なケースなど、現実はその組み合わせで複合的な対象として認識する訳ですが、その解として、発展や成長が必然的であると思っています。イノベーションも同様です。時空的には複雑に見える発展は、イノベーションとして寧ろ単純化の方向へ進歩しているといろいろな分野の進展を見ていて思うのです。
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複雑系領域の学問がことなった分野の研究者同士の出会いで深まっていったことが分かって興味深かった。ただその分、新しい人物が登場するとその人の過去について100ページ近く語りはじめて話が脱線するので、しおりを挟むタイミングを間違えると何をいっているのかわからなくなる可能性大。
経済学、人工知能、人工生物あたりの分野について研究がどう始まって行ったか詳しく書かれている。
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経済学の素養がある人にも、楽しめる書籍であると思います。
少しではありますが、ケネス・アローの様子がうかがい知ることができたので、それだけでも、一読の価値があったと思っています。
最初の登場人物が、経済学者だったため最後まで、経済学的視点で終わるかと思っていました。科学的で、アカデミックなHolism、分野間統合であるといえます。『複雑なものを複雑なものとして扱う』本であるようです。しかし、終わり方も複雑系です。