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- カテゴリ:幼児
- 発行年月:2000.6
- 出版社: 童心社
- サイズ:28cm/31p
- 利用対象:幼児
- ISBN:4-494-00355-7
紙の本
さるのひとりごと (ぼくとわたしのみんわ絵本)
著者 松谷 みよ子 (文/監修),司 修 (絵),鳥越 信 (監修)
昔あったげな、あるとき一匹の猿が、いつもいつも山を見とるけぇ、つまらんなぁと海ばたへ出ると、猿のひとりごとに返事をするもんがある。島根県に伝わる、奥深い民話を題材にした絵...
さるのひとりごと (ぼくとわたしのみんわ絵本)
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商品説明
昔あったげな、あるとき一匹の猿が、いつもいつも山を見とるけぇ、つまらんなぁと海ばたへ出ると、猿のひとりごとに返事をするもんがある。島根県に伝わる、奥深い民話を題材にした絵本。第一法規82年刊の改訂。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
松谷 みよ子
- 略歴
- 〈司〉1936年群馬県生まれ。画家、絵本作家、装幀家、小説家。78年小学館絵画賞受賞、93年「犬」(「影について」その1)で川端康成文学賞受賞。他著書に「夢は逆夢」など。
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紙の本
しっぽが長い…
2003/11/12 03:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちはる - この投稿者のレビュー一覧を見る
詩情にあふれた大変味のある本なので、感動に水を差された方がいらっしゃったらごめんなさい。でも私のこだわりからすると、この本には大きな問題点があるんです。それは
「サルのしっぽ」!
長い…長すぎるんです。日本の民話が題材という本だけに、これでは困ります。ニホンザル、つまり日本に昔からいる唯一種のサルのしっぽは、実際はもっと短くて、正確にはウサギくらいなんです。絵描きさん、しっかりして下さい。というより、どうして出版まで行って、誰も気付かないんですか…泣けてくる〜(気付けば、断りの一言がありますよね?)。どうでもいい本なら放っておくんですが、素晴らしい本だけに、感動と一緒に間違った知識も広めそうなので、ここに一筆書かせていただきます。
もし、この本を誰かに紹介する時は、ぜひ「日本に昔からいるサルのしっぽは、実際はもっと短い(正確にはウサギくらい)」という正しい知識を補足して下さい。よろしく、お願い申し上げます。だって、ニホンザルの短い尻尾は、彼らが日本の厳しい冬に適応して暮らして来た、スノーモンキーの証なんですから…(ちなみに日本で越冬した外来ザルも年々尻尾が短くなってきてます)。
ついでに、年賀状用などのイラスト・カットをざっと見ると、いかに世間の人の頭の中にシッポの長いニホンザルが多いか、よくわかります。
紙の本
海を舞台に詩的な詩情をかきたてる
2000/09/01 16:57
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:望月新三郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
——『むかしが あったげな
あるとき 一ぴきのさるが
いつもいつも 山ばっかり みとるけえ
つまらんなあ
海ばたへ でてみようか
そうおもうて でかけたげな』——
で、はじまるこのお話は、民話を題材とした詩的な文章である、司修さんの絵がこの詩情に合っていて、なかなかいい。山も、海も渋い色に押さえて抽象的に描いて、さるのひとりごとに調和している。そう、ひとりごとが独唱とみるならば、絵は、尺八の音かな。風や浜が音楽的に描かれている。
——『海は、ええなああ
かぜは ぶうぶう ふくなり
なみは どんどとうつなり』——
と、ひとりごとを言うと、うんうんと返事をするもんがいる。松の木からおりてみると石の下に、かにがいる。そのかにを石でつぶして、また『海は、ええなあ』とひとりごとをいうと、返事がない。さるは、寂しくなってまた松の木からおりていくと、かにのだんごをつくって、石のところに座らせた。
また木に登って『海はええなあ』とひとりごとをいうと、返事をするというお話であるが、日本の民話としては、珍しいモチーフである。さるとかにという組みあわせより、人間と海という悲哀すら感じさせる。
——さるは
木から すべりおりると
石のところへいって
つぶしたかにを
まるめて だんごにして
ちゃんとすわらせた——
これってちょっと残酷じゃないの、という御意見もありそうだけど、人間と海という立場に置き換えて見ると、いたずら心というか、このような童心も広い海を舞台なら許せるような気がする。
それに団子が返事をするなんてメルヘンの世界ならではだもんね。
原話は『出雲昔話』(立石憲利/山根英佐恵 日本放送出版協会)