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紙の本
抑圧された記憶の神話 偽りの性的虐待の記憶をめぐって
著者 E.F.ロフタス (著),K.ケッチャム (著),仲 真紀子 (訳)
もし、実際にはなかった性的虐待やトラウマの記憶が、暗示や誘導によって作られていたとしたら…。実例や実験から「抑圧された記憶」の形成を検討し、行き過ぎたカウンセリングや面接...
抑圧された記憶の神話 偽りの性的虐待の記憶をめぐって
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商品説明
もし、実際にはなかった性的虐待やトラウマの記憶が、暗示や誘導によって作られていたとしたら…。実例や実験から「抑圧された記憶」の形成を検討し、行き過ぎたカウンセリングや面接の危険性を指摘するノンフィクション。【「TRC MARC」の商品解説】
人は、自己を脅かすような強烈なトラウマを体験すると、生きていくためにその記憶を無意識へと追いやってしまうという。それが「抑圧された記憶」である。しかし、実際にはなかった「性的虐待」「トラウマ」の記憶が暗示や誘導によって作られ、その「記憶」にもとづいて、虐待のかどで親が訴えられ、家庭崩壊の悲劇が起こっているとしたら・・・。本書は、記憶の不思議さと恐ろしさが胸に迫るノンフィクションである。【商品解説】
目次
- 1 夢の成分
- 2 不思議な時代
- 3 失神
- 4 遊離した霊
- 5 神の顎髭・悪魔の角
- 6 事実でない真実
- 7 ショッピングセンターの迷子
- 8 破壊された家族
- 9 記憶を掘り起こす
- 10 私が欲しかったもの
著者紹介
E.F.ロフタス
- 略歴
- 〈ロフタス〉ワシントン大学心理学科教授、法律学科準教授。ケッチャムとの共著書に「目撃証言」がある。
〈ケッチャム〉ノンフィクション作家。
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紙の本
書きかえられる記憶
2001/05/30 00:20
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投稿者:福田 健吾 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者のロフタフ博士は記憶が如何に変容していくかを調べており、簡単な暗示により“ショッピングセンターで迷子になった記憶”を“思い出させる”実験を行った科学者である。
本書の中心テーマは幼児期の虐待が抑圧という機構により封じ込められ、それが(時には数十年もたってから)正確に思い出されるという事が本当にあるのかどうか、という事である。さらに、彼女はそれに留まらず一歩踏み込んだ論を展開する。
果たして、抑圧と呼ばれる精神作用は、本当に存在するのであろうか?
記憶を“回復した”娘に告発された警官が性的虐待のみならず奇妙な悪魔教の儀式までをも思い出した事件に付いては『悪魔を思い出す娘たち よみがえる性的虐待の「記憶」』という優れた著作があるが本書ではここで描かれたような出来事が決して特別なものではなく、現在も増えつづけている事が示される。
そして、“回復した記憶”によって、多くの人の人生が破壊されている現実がある。
なぜこの様な事が起きるのか。
一つの解釈は現に虐待は多く、記憶は抑圧されると言うものであり、これは多くのカウンセラーが主張している事である。
もう一つの解釈は、もう少し冷静さを要するものだ。暗示にかかりやすい人が、幼児期の虐待が現在の問題を引き起こすと信じるカウンセラーに応じるような形で記憶を操作してしまうというものだ。
本書を読めば分かるように、全ての実験結果は後者の意見が正しい事を示唆している。記憶は容易に変容する。
専門教育を受けていない、未熟なカウンセラーの思いこみはしばしば伝染してしまうのだ。そして、カウンセラーがそう思いこむのも無理は無いかもしれない。“記憶回復”の事例が多い事が、彼らの主張の正しさを裏付けているように思われてしまうのである。
本当に幼児期の虐待は虐待したほうもされたほうも記憶を全く“失った”まま何十年も経ち得るのか。この次元まで遡って議論を行うべきであろう。
記憶の不思議さはまだまだ解明されていない点も多い。本書が間違っている可能性も、当然ある。しかし、問題点をすっきりさせるためには彼女らの指摘は避けて通れない、と思う。
蛇足であるが、彼女らは幼児期に性的虐待を受ける子供は存在しないと主張しているのではない。被害を受けた方には慎重に配慮する必要があることは、明白である。彼女らが問題にしているのは、飽くまで性的虐待の記憶が“回復した”事例のみである。