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せどり男爵数奇譚(ちくま文庫)

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  • みんなの評価 5つ星のうち 3.7 71件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2000.6
  • 出版社: 筑摩書房
  • レーベル: ちくま文庫
  • サイズ:15cm/299p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-480-03567-2

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紙の本

せどり男爵数奇譚 (ちくま文庫)

著者 梶山 季之 (著)

せどり男爵数奇譚 (ちくま文庫)

886(税込)

せどり男爵数奇譚

756 (税込)

せどり男爵数奇譚

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みんなのレビュー71件

みんなの評価3.7

評価内訳

紙の本

あまりの面白さに続けて二回目を読んだ、痛快な名著!

2012/02/24 17:52

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ジーナフウガ - この投稿者のレビュー一覧を見る

先日読了した【ビブリア古書堂の事件手帖】に於いて、重要な鍵を握っていたのが、
この小説と、主人公で【せどり男爵】の二つ名を持つ笠井菊哉氏であった。

狂信的な古書マニアが使用した物語と、その主人公。これは、本好きの端くれとして見聞しておかねば、
との思い強く、手に取った次第である。六編の連作短編から出来ている本書であるが、

先ずは筆者と男爵笠井氏との出逢いからして面白い!筆者である梶山季之氏が働いていたバーに、
時々現れては、焼酎やジン等の透明な酒を水で割って創るカクテル、その名も『セドリーカクテル』のみ注文し、

きれいに現金で支払いを済ませ去って行く。謎多き紳士として、筆者の記憶に残っていたのが笠井氏だった。
作家となってから客として飲んでいた店に、相変わらず謎に包まれた風貌で入店してきた男性に、

勇気を出して話し掛けてみた所、向こうも梶山氏の存在を記憶していて、貴方にならばと、
自分の関係している古書店の業界内で、如何にして己が【せどり男爵】と呼ばれるに至ったかを

打ち明けるのだった。はてさて肝心要の【せどり】なる行為であるが、これは、新規開店の店へ行って、
必要な古本だけを買う事で、俗に『抜く』とか『せどり』と云うのだそうな…。

笠井氏は本物の男爵家の子息でもあったから、せどり名人である彼に、皮肉と敬意を込め、
【せどり男爵】の誕生と相成った訳である。それにしても、様々な古書業界の内幕が分かって、すこぶる面白い!!

全集は一巻でも抜け落ちていれば価値は暴落。反面、全巻がキチンと揃っていれば価値も価格も高騰する。
だから好事家は今日も、恋人探しの如く、一冊の書物を求めてさ迷う。

男爵が宝物一冊を入手する為に払った驚くべき代価とは?男爵が仙台のクズ屋の店先に見つけた
永井荷風の発禁書【ふらんす物語】。裏表紙の内側に貼られた蔵書票の、

その下に隠されていた謎の伝言を読み解いていくとそこには…。
古書店主たちと訪れた韓国で、総額一億二千万円もする、コインの一枚を購入した縁で、

沢山の宝物を入手する経緯。笠井男爵が、プライベート用に秘蔵していた、シェイクスピアの初版本を巡って、
アメリカを影から動かす権力を持っている、大富豪婦人との丁々発止の駆け引きと、

『セドリーカクテル』誕生秘話。ここの部分は、さすが男爵と渾名されるだけあるなと笠井氏の手腕に舌を
巻きました!!それにしても、こうして、長い間本好きに読み継がれている隠れた名著が

他にも沢山あるんだろうなと思うと、自分も古書の世界へ惹かれていくのが分かります。あ、そうそう。
この本も特装限定版が五部上梓されているそうです!これから古書店巡りが益々楽しみになりました。

全ての本好きさんにオススメしたい逸品です!!

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紙の本

「汝、姦淫せよ」という一大誤植の聖書があったら?

2006/10/05 17:35

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ろこのすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る

本が好きで好きで、とりわけ古書に興味がある人が、本書を読まず通り過ぎるわけにはいかない。
ことにあとがきが誰あろう、あの出久根達郎氏とくればなおさらのこと。
さて前置きが長くなった。本書は古書業界に材を取った我が国最初の本格小説である。
知られざる古書の世界の内幕と書物に魅いられた人間たちを描いたミステリー。
「せどり男爵」こと古書業を営む笠井菊哉がその主人公。
「せどり」とは古本屋仲間で嫌がられる商売の仕方で、新規開店の店へ行って必要な古本だけを買うのを俗に「抜く」とか「せどり」と言う。
または「同業者の中間に立ち、注文品などを尋ね出し、売買の取り次ぎをして口銭をとる事。またその人」を言う。
この「せどり男爵」こと笠井が作家にその辿ってきた生涯と事件を語ることからはじまる連作短編6話がその内容であるが、古本市、古書の値打ち、古本屋の符丁、かけひき、古書業界の摩訶不思議な世界が次々と繰り出されて、本好きにとって、びっくり箱を覗いた面白さが満載。
ちなみに、あとがきを書いた現役の古本屋でもある出久根氏に寄れば、古書にまつわる細部の描写は十中八九まで真実であるとのこと。
またビブリオマニア(書物狂)は、稀本、珍本を前にすると放火、殺人、窃盗までも犯してしまうというミステリー展開が待ち受けていて読者に息つく暇を与えない。
「汝、姦淫せよ」という一大誤植の聖書があったら私でも食指が動こうというもの。
さては私もビブリオマニア(書物狂)に毒されたかも?
時の経つのさえも忘れて一気に読了した久しぶりに面白い本だった。

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紙の本

人を狂わす紙の本

2015/09/16 12:49

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る

せどり男爵とあだ名される笠井菊哉が出会った、本に人生を狂わされたかのようなビブリオマニアたちの生態を描いた連作短編集だ。もちろん創作のはずだが、実際にこんな人がいてもおかしくはない。それほど本は魅力的で魔的な側面も持っているのだ。それは本好きならば、少なからず共感できるところもあるはず。

「色模様一気通貫」
 笠井菊哉がせどり男爵となるきっかけとなったエピソード。中学生の彼は、師匠ともいうべき人物に出会い、そして彼の人生を狂わす本に出会うことになったのだ。そんな話を、セドリーカクテルをちびりちびりやりながら語る。

「半狂乱三色同順」
 せどり男爵の手元にやってきた「ふらんす物語」。それ刊行前に発禁となった永井荷風の著作なのだが、その幻の本があと三冊もあるらしい。そしてそこには、内務官僚のとある秘密が隠されていた。

「春朧夜嶺上開花」
 韓国に古書を探しに出かけたせどり男爵は、とある妓生が身につけていたコインに目を奪われる。それにまつわる行動が、思わぬものを彼にもたらすことになるのだが…。

「桜満開十三不塔」
 シェークスピア「フォリオ」の初版本を手にしていた笠井菊哉は、それを占領軍とつながるユダヤ人の婦人に見せたばかりに、とてつもない災難に見舞われることになる。

「五月晴九連宝燈」
 バチカンの神父たちの周辺で連続して起きる殺人事件。それには密輸と、「コンペンジューム・スピリチュアリス・ドチェリーネン」という本が絡んでいる様に見えるのだが…その真相は意外な狂気に彩られていた。

「水無月十三公九牌」
 笠井に紹介された装丁家の佐渡は、一冊の本に人生を変えられた。それは「姦淫聖書」と呼ばれる誤植のある聖書。それを手に入れた中国人が佐渡に依頼したのは、少女の皮膚でそれを装丁することだった。

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紙の本

たかが本、されど本。古書蒐集に憑かれた人たちの物語

2004/10/01 16:49

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:風(kaze) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 世の中に数の多くない、でもある人にとってはお宝のような本。そういう値打ちものの本を蒐集する魅力に取り憑かれ、いつしかその技能を生業とするようになったせどり男爵。「せどり」とは古書業界の用語で、めぼしい本を見つけて、安く買ったその本を他の古書店に転売することを言うのだそうな。そんな異名を持つせどり男爵が、これまでに体験した出来事、彼と同じような書物狂、愛書家の人たちを語っていく話が六つ収められています。

 長年探し求めていた本を見つけた時の喜びを、せどり男爵はこんな風に語ります。
 >(p.71)
 夢にまで描いていた美女とようやく出会った時のような、踊り出したいような歓喜。そしてその美女を自分だけのものにしておきたい気持ち。マニアックなコレクターなら、誰しも一度は経験するような夢のような邂逅の瞬間が、このせどり男爵の台詞に凝縮されているように思えます。

 たかが本、されど本。
 一般の人たちにとってはクズ同然の本が、その道の目利きたち、コレクターたちから見れば、なんとしてでも手に入れたい垂涎の書となるんですねえ。憑かれた人たちの執念が、しばしば狂気的な度合いにまで高まり、善悪の判断さえなくしてしまうところなど、読んでいてぞくぞくしました。

 本書は、「ミステリー通になるための100冊/まずは本の謎」の中で、北村薫さんが取り上げていた一冊(『この文庫が好き!』朝日文芸文庫より)。ずっと気にかかっていた作品でしたが、思い立って読んでみて良かったです。一旦読み始めたら止まらない面白さがあったから。
 殊に、本の装丁をめぐる第六話のインパクトが強烈! 「ここより先、怪物領域」とでもいう、憑かれてしまった人間の妄執に戦慄させられました。

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紙の本

事実は小説より奇なり。

2003/04/06 21:40

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐々木 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本好きの方にはたまらなく面白い本である。
 あまりの奇想天外な展開にぐいぐいと引き込まれていって、時間が経つのも忘れる位だった。

 作家の方々のエッセイなどには時おり「せどり」稼業の人たちが登場する。
 「背取り」もしくは「競取り」という商売で、古本屋や古書店を巡り歩いては注文主が求めている本を探してきたり、入札で仕入れてくるものである。往々にして作家達は出入りの古本業者の他にこのような裏方商売の方々にお世話になっているようであるが、その方々の裏側をこのような形で暴いてもいいのかと心配になった。

 それにしても、古書に魅せられた人間の欲望の深さにはただただ驚くばかりである。「たかが古書、されど古書」である。
 流行の新古書店の経営者にはとうていできない芸当が多々詰まっていて、古書の奥深さを垣間見た気がした。

 裏稼業(失礼!)を短編集にまとめあげた梶山季之の好奇心とストーリーの展開の面白さに脱帽でした。

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紙の本

処女の背中の皮をはいで装丁する誤植ありの聖書など、古書の魔力に取り憑かれた人びとを題材にしたミステリー。「本好き」なら矜持として蔵書すべき1冊かと…。

2002/01/01 20:02

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 とても面白くて快調に読み進められる本。本が好きな人の好奇心を満足させる「ほほう」という情報がいっぱい詰まっている。
 きっと梶山さんは無類の本好きだったのだと思う。本を愛する人って、何かの本をクサすヒマがあったら、その代りに「こんな面白い本がある。こんなんだってあるよ」とポジティブな興味や好奇心を惹き出してくれる。そういう人の文章は読めばわかる。読んでいて気持ちよく楽しいから、もっと読みたくなる。
 そして、そういう人の本は大切にされる。どこかの出版社が版を切らすと心ある編集者が目をつける。この作品は雑誌に初出ののち、実に5つの出版社から5つのスタイルで発行されたのだ。

 かつて売れっ子作家で40代半ばで夭折した梶山季之の本は、新聞とビジネス書ぐらいしか目を通さない父のお粗末な本棚に「大藪春彦」なんかと並べて置いてあったように記憶する。
 小説家になる前、梶山季之は週刊誌にスクープを提供するトップ屋だった。トップ屋の説明は、巻末の永江朗氏の解説に少し記述があるが、桐野夏生さんの『水の眠り灰の夢』が確か梶山氏らをモデルにしていたような気がする。えぐい世界だ。トップ屋として人の欲望で成り立つ世界の裏側を眺めた人の書く娯楽小説が退屈なはずはない。その上に梶山さんは耽美的なものに理解あるハードボイルドなナイスガイだったのだ。

 「色模様一気通貫」「半狂乱三色同順」「春朧夜嶺上開花」のように漢字7字のタイトルがつけられた連作短篇が全6話。いずれも「せどり男爵」という通り名の古書業を営む笠井という男性が出会う事件を描いている。梶山さんとおぼしき文士の語りで、笠井老爺から伝聞した話が紹介される。
 「セドリック」のような洒落た響きを耳に残す「せどり男爵」だが、「せどり」とは「背取」もしくは「競取」と書く古書業界の用語。素人から掘り出し物を安くふんだくっては古書店に高く転売するのをなりわいにしている、いかがわしい人のことを指しているということだ。
 笠井という初等科から学習院というお坊ちゃんが、いかにしてこの仕事に就いたか、どこでどんな稀本を掘り起こしたか、世の中にはどういう種類の珍本があるのか——キャリアと経験、知識が説かれていく。古書自体あるいは古書取引に魅入られた人びとが、一生に一度出会えるかどうかという本を前にして、抑え切れない欲望に駆られ罪を犯したり、とんでもない発想を抱く様がミステリー仕立てで料理されている。

 荒俣宏氏ご用達の古書店・雄松堂の小さな展示を見て、ヨーロッパの古書の美しさにしばし魂を奪われた私も、読む対象としての本のコンテンツにのめり込んでも危険はそうそうないけれど、本というブツをフェチの対象とすることの危険を肌身に感じた。 しかし、コンテンツをああだこうだと論じたり分析したりする輩よりも、丸ごとすべてを愛の対象としてしまう人びとの狂気、それゆえいけない領域に踏み込んでいく人びとの言動の何と魅力的なことだろう。

 人皮装丁の本はすぐに臭くなりそうだからご遠慮申し上げるけれど、「汝姦淫せよ」という誤植の聖書なら、確かに盗み出す計画など練ってみてもいい。こういう風にブックレビューは書けないけれど…ね。 

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紙の本

古書をめぐる妖しい世界を垣間見ることのできる連作短編集

2009/12/21 22:27

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る


 作家である「私」がひょんなことから知り合ったのは古書店を経営する“せどり男爵”こと笠井菊哉。男爵が語る、古書をめぐる数奇な6つの物語を収めた連作短編集です。

 最近はその意味を知る人も徐々に増え始めた「せどり」という言葉が題名に付されていますが、この短編集が書かれたのは昭和49年。インターネットの登場の遥か前のお話です。
 古書を求める主人公の道程は断然アナログでなんとも懐かしい、足を棒にしての渉猟の旅です。

 この短編集の妙は第一に、本を偏愛する人々の奇妙奇天烈ぶりにあります。書物を愛でるというよりも、目当ての書物を手に入れるためには魂すら売りかねない彼らの行動は時に常軌を逸し、人倫にもとる行為や性的にも妖しい所業へと足を踏み外していきます。
 第6話の、本の装丁をめぐるお話は大変猟奇に満ちていて、「家畜人ヤプー」的な読後感を味わうことになるでしょう。

 私も本好きを自認する口ですが、書物への愛情はこの短編集に出てくる人々の足元にも及ばないなという劣等感を抱きつつも、同時にまた、彼らほどの“愛情”を持っていない自分に安堵の心持を覚えたのです。

 そしてこの短編集の第二の魅了は、古書をめぐる知的な数々のトリビアの面白さにあります。
 自分の持っている希覯本の価値を高めるために同じ本を見つけた場合その本を破損するビブリオクラスト(書物破壊症)と呼ばれる人がいる。
 愛書家であるがゆえに、入手困難な本をついつい盗んでしまうビブリオクレプト(盗書狂)の存在。
 印刷ミスのために「汝、姦淫せよ」となってしまった17世紀のバイブル、「姦淫聖書」がある。
 こんな話が短編の中に散りばめられ、同時にそれが物語の核となる事件の重要なカギになっているのです。
 
 めったにお目にかかれない珍しいお話を読ませてもらった。そんな思いが残る一冊でした。

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紙の本

古書を扱う人間たちを描く短編集

2005/05/15 23:24

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:格格 - この投稿者のレビュー一覧を見る

古書を扱う人間たちを描く短編集、6編.なぜか6編とも麻雀の役の名前を表題にしている.主人公は、せどり男爵と呼ばれる笠井菊哉、53歳、独身.趣味と実益をマッチさせ、古本屋として生きてきた.約30年前に発表された小説集であるが、古本をテーマとしているせいであろうか.まったく古さを感じさせない.
第一話だけ紹介しておく.テーマは、光悦の本『謡曲百番』.100冊全部揃えると、とんでもない高額になる.しかし、1冊だけがどうしても手に入らない.ところが京都の公家の流れを酌む家があって、当主がなくなり、蔵書を整理したい、というので笠井が呼ばれる.調べてみるとなんと『謡曲百番』が桐の箱に入っている.ところが笠井の欲しい本はない.しかし、未亡人は、「わても、あなたが残しとられる一つのものが欲しゅうおす…」という.そう未亡人は、笠井の欲しいものと笠井の守ってきていたものを知っていた...

古本を巡っての虚々実々の駆け引きが面白い.何が高くて、何が屑なのか、深い知識を必要とする難しい世界.そこに生きる人々は皆、本が心底好きなのだ

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紙の本

古書店巡回が止められない人へ

2004/06/06 06:52

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:bonehyper - この投稿者のレビュー一覧を見る

同業者からせどり男爵と揶揄される笠井菊哉が出会う数々の事件を文士に語る構成。古書業界を舞台に繰り広げられる人間ドラマ。

古書に魅入られた人々は一般人にはゴミにしか思えない紙に価値を見いだす。
ごく稀にそういう人がいれば大したことも無いけど古書の世界にはそういった人がわんさかいる…だから市場が形成されそれなりの金が飛び交う。何より古書流通を担う業界人のほとんどがそうなのだ。そう、マニアの世界である。それぞれが本に執着し、だからこそ性癖が出る。

こんな変な世界を舞台にした話なので面白くないわけが無い。初出は昭和49年と古いがギャグ以外は今でも十二分に通用する。現代に通用する大衆文学なのであろうか。

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紙の本

ぶはっ怪しすぎる人々、いや古書達

2010/05/18 22:54

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

梶山季之は作品執筆のために資料を集めまくって、そのために古本屋を渉猟すること激しかったらしく、その筋にもだいぶ顔が利いたことだろう。その中で業界の内輪話を少しずつ聞き知ったのか、好奇心で掘り進めてしまったのかは分からないが、つまり「マニア」の世界である。
特に古書の世界というのは、つまり世の中から見向きもされなくなった物達への執念ということになる。自分がその時代に生きていれば手に入ったものが、少しばかり遅れて生まれたがゆえに手の届かないものになっている、その悲しみから生じる我執なのだ。それらはこの地上から一切消え去ってしまう運命にあるかもしれず、その命脈の半分が自分の掌中にあることに気づいた時には恐れと誇り、そしてある種の恍惚をも感じる。
和本や浮世絵、あるいは検閲の闇に消えた私家版本などはまだ分かりやすい方で、本書ではさらにディープな物語を見せてくれる。本は人間の思考の産物だが、その思想はいつも真っすぐで健全なわけではなく、時にねじ曲がり、暴走し、奇怪な物を生み出す。本自体が奇怪なことももとより多くあるのだが、しばしばそれに価値を見いだす精神の方が奇怪なこともある。
いずれ高邁な理想を追っていたとしても、現実には自分の目利きを頼りにかすかな望みをかけてあちこち歩き回り、埃だらけの、場合によってはキロいくらのような古紙の山に埋もれて、汗と金にまみれた長い旅路だ。さらに梶山流の色と欲がたっぷりまぶされている。
なにせ世間の表舞台から消え行こうとしている珍本、すなわち歴史の裏舞台の証人であるからして、そいつを引きずり出すには良識も世間体もかなぐり捨てる覚悟が必要だ。そんな生き様は、かつてルポライターとして数々のスクープをものにし、また小説家としてのライフワークに原爆、朝鮮、ハワイ移民を据えていた、作者にも共感するところ大であったろうと思う。いけいけお宝ハンター、いんやレスキュー隊。

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紙の本

ミステリーコーナーより

2001/02/06 15:49

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:香山二三郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 古本屋が同業者の店で探した掘り出しものを高く転売する「せどり」は仲間内で嫌われる商売術。その名人だった「せどり男爵」こと笠井菊哉は、実際に男爵家の出で古書に魅せられその道一筋に生きてきた。本書はそんな彼の数奇な体験を描いた作品集だ。「古書界に材を取ったわが国最初の本格的な小説」(○出久根達郎)だが、宝探しふうな第2話「半狂乱三色同順」を始め、ミステリーファンも読み逃せない逸品揃い。全6話を収録。

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2004/10/17 01:47

投稿元:ブクログ

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2014/05/13 09:18

投稿元:ブクログ

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2006/01/05 02:54

投稿元:ブクログ

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2012/02/14 22:51

投稿元:ブクログ

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