「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
書名から分からない内容
2003/08/08 00:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:濱本 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間とは何ぞやという疑問を持っている私には、「人間の限界」という題名は魅力的だった。読み終わって、「限界」についての記述は少なかったように思う。
Dog earを付した箇所が18ケ所もあった。その其々を紹介したい。
「人は遊ぶ時にのみ真に人間になる」この言葉は、詩人シラーの言葉だそうである。遊ぶ事が好きな私は、全くその通りだと思う。しかし、世の中、「真の遊び」を知っている人がどれだけいるかと考えた時、大きな疑問が頭をよぎる。
「シベリアおもちゃ」も上の「遊び」の意義を象徴している。「シベリアおもちゃ」とは、シベリア抑留の人々が、重労働で疲弊しきっているにも関わらず、収容所内で拾ってきた小さな木片などを、たんねんに刻んで作った櫛とか人形などの事である。これを作らせたものは、シベリア抑留という非人間的な状況の内でも、なお人間でありたいという無意識の悲しい願いであった。
手足の持つ意味を興味深く解説していた。「合掌」の意味を述べる。洋の東西を問わず、祈りの手が合掌あるいは双手の指を組む事は意味深いとしている。その意味として、動きを止めて、おのれを放棄する手であり、碧落のかなたと深潭の底を求める手であるとしている。
事故等で失われた手があたかも存在するように感じる「幻影肢」の事も書かれている。すなわち、手は人間である事の証明なのであり、手は再生されるべきものであり、再生されなくては「人間」が成立しなくなるから、たとえ幻のかりそめの姿でも、人間にとっての補償のよすがとすべく起こる現象と説明する。
手と対照的に足は低い地位に置かれている。「馬脚をあらわす」「浮き足立つ」「すねかじり」という悪い言葉が少なからずある。
その他多くの印象深い記述があったが、書き留めるのが億劫になってきたのでこの辺でやめる。
本書は、強烈に印象に残る記述は少なかったが、読んでいて納得する事が多く、楽しく充実した昼休みを過ごせた書であった。