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紙の本
だれにもみんなそれぞれに値打ちがある
2000/11/24 15:35
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投稿者:赤木かん子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは1977年にポプラ社から出され、私のお気に入りの一冊だったのですが、なぜか長いこと品切れでした。
それが1999年に復刊シリーズ6冊のうち一冊としてもう一度手にはいるようになったのは大変嬉しいことで、ポプラさん、ありがとう!ですね。
子どもの本だからといってすべての本が蘇る必要はありませんが、今、必要とされている、と思える本——この「クリスマスのつぼ」のような——はつぶれていてはやはり困ると思うのです。
この絵本の舞台はメキシコ。
メキシコではクリスマスに、つぼの中に菓子やおもちゃを入れ、きれいに飾り付け、吊るしてパーティーの最後に棒で割って、落ちたものを子どもたちがもらう、という習慣があるのですが、このお話の主人公のつぼは、かまから出された時からひびが入っていて脇におしやられてしまいました。
で、彼は立派に役に立つつぼをうらやましがっていたのですが、とうとう!クリスマスの日に彼はピニャータ(飾り付け用のつぼのことね)としておなかにお菓子を入れてもらい、みんなにきれいだといわれ、得意になったのも束の間、粉々に割られてゴミ捨て場行きとなります。
あーあ、なんてこった、と思っていると、そこへあの彼がうらやましがった立派だったつぼも割れてきていて、なんだっていつかは壊れるんだ、ときっぱりいい、みんなめいめい役に立ったんだ、だれだってみんなそうなんだ、という結論になるのです。
“ごみのやまは、いっせいに幸せなため息をつきました。だれにもみんなそれぞれに値打ちがあるとわかってうれしかったのです”というこの絵本、今の子どもたちを支えてくれる一冊になりはしませんか?
(赤木かん子/児童文学評論家)