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紙の本
2008年夏の丸谷才一さん、どんなお話を…
2008/06/24 11:37
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
毎週土曜朝のお楽しみはNHKの週刊ブックレビューだ。
以前は日曜日の朝だったのが土曜日の朝に変わって、
しばらくは慣れない思いもしていたが、今ではすっかり定着した。
ここで情報収集は欠かせない。
そして登場されるゲストで感銘を受ける人も少なくない。
最近では加島祥造さんが記憶に新しいが、
なんと次回のゲストは丸谷才一さんなのだ!
わぁ~これはなにがなんでも見なくては…と思い、手帖に書き込んだ。
で、先日、久しぶりに行った古本屋さんで見つけたのがこの一冊。
帯なしで500円なり!
なんとも懐かしさを覚えるタイトルに、なんだったかな~と思いつつ、読み進める。
そして、裏日本髄一のフランス料理のタイトルが目に入り、はたと気がつく。
そうだ、これは山形県は酒田のフランス料理店「ル・ポットフー」が登場する随筆だったと…。
つい先月のこと、読後に感動の渦に巻き込まれた一冊!
「世界一の映画館と日本一のフランス料理店を山形県酒田につくった男はなぜ忘れ去られたのか」
あのときの「ル・ポットフー」をまたここでも楽しませてもらった。
酒田にほど近い鶴岡出身の丸谷さんは、開高健さんに絶賛されるこのレストランに対して、最初は本当なのだろうかと疑問を隠せない。
「あの町にフランス料理の料理人はおろか、お客だつてゐるはずはないといふ気がしたのだ。それなのに、大げさに褒めちぎるなんて。
わたしは、ああ食豪開高健の舌もつひに衰へたかと嘆き、人生の哀愁にひたりながら、しかし、ものはためし、酒田の清水屋デパートの五階にある、ル・ポットフーへ出かけた。」
程よく冷えた辛口の日本酒ちびりちびりと飲み、まづ、そば粉のクレープでキャビアの食べた時点で丸谷さんはこう悟る。
「わたしはここに至つてまことに他愛もなく前言を取消し、さすがにあの男は目が高い、かつて芭蕉は酒田に遊んで初真桑をくらひ、いま開高は裏日本髄一のフランス料理を発見した、などと感心してゐた。素直なたちなのである。」
それからのル・ポットフーの描写は…。
そりゃあもう十分に知ってますとも、読みながらも顔がニマニマ。
食べもの話はなんとも楽しいことよ。
お腹もグウとならんばかりの勢いです。
あとがきの日付は1975年秋でした。
さてさて2008年夏の丸谷才一さん、どんな話を聞かせて下るのでしょうか?
楽しみにでなりません。
※私が読んだのは文藝春秋発行のものです