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『安曇野』に描かれた「人」
2008/05/24 22:04
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る
大河小説『安曇野』第3巻もまた、実の多くの、後に各方面で名を残す文化人が登場する。末尾に付された「著者敬白」で自ら述べるように、本書には多くの「死」が描かれる。いわば「死」は1つのドラマなのだけれど、多くの死が描かれるということは、「死」の表裏としての「生」も多く描かれ、そこに関わる実に多くの、より陰影豊かなドラマが描かれていく。
中でも本巻でクローズアップされるのは、中島岳志が『中村屋のボース』で一挙に思想史的な重要性をアピールされた、「ボース」である。本書には、ボースが、「ナショナリズム」や「民族主義」といったことばには還元し切れない、「人」としての生きぶりが活写されている。してみれば、『安曇野』には、今日になっていよいよその重要性をますような、いわば「時限爆弾」のような力が込められていたように思われる。ボースの一件は、その端的なあらわれで、これまで文学者など大文字の文化人が注目されてきたが、『安曇野』の世界にはさらにひろい射程が内包されていたのだ。