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紙の本
青春にうってつけの陽光
2002/07/25 22:52
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投稿者:あおい - この投稿者のレビュー一覧を見る
アイルランド出身の桂冠詩人であり、数多くの児童文学や、ニコラス・ブレイクのペンネームで「野獣死すべし」などのミステリの傑作も残した著者の小説で、現在日本語訳で読むことが出来る唯一の作品。
詩人らしい色彩豊かなレトリックと繊細な心理描写で描かれた青春小説である本書は、旧弊に囲まれた田舎に父親と二人暮らしをしている少女アンナの自我の目覚めを、性的な目覚めとして、田舎町に現れる美しい兄妹との出会いを通じて、そこに1930年代詩人として知られる著者のマルクス主義の傾倒を感じさせる社会問題的な<怒り>を絡めながら、若さの情熱とその軽薄さを、懐かしむようにさわやかに、現代の読者にとっては少しばかり美しすぎる(のんきすぎる)とさえ思えるほど情感豊かに美しく謳いあげた作品だ。
君の美しさをたとえるのならイギリスの夏だ、と言われるように、この作品で描かれるイギリスの森と海に囲まれた季節の描写はとても美しく、その穏やかな筆致を少しばかりの苦い感傷を噛みしめながら楽しむことが出来るのは、むしろ年長の読者のほうかもしれない。