紙の本
ことばと文化という壮大なテーマについて考えるきっかけとなります。
2023/05/30 21:05
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投稿者:Order 6601 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ことばと文化について、学ぶ上で初歩的なテキストとしては、少々難易度が高いですが、非常に読みごたえのある作品です。
紙の本
名著だよと勧められ
2021/04/29 23:31
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投稿者:ヒグラシカナ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ことばを教える方法を勉強するときに、
先生から「名著だよ。ことばに関わる人には必ず
読むと良い」と勧められて読みました。
紙の本
長い第六章は「第二部」とするか続編化すべき
2006/06/14 18:49
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:松井高志 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これも高校生の頃にもらった本で、もうかれこれ30年くらい押し入れの奥に放置してあり、特に今読まなければならない理由はないが、あまりに不憫なので読んだもの。
岩波新書の古典的名著である。ある国の言語活動には、その国における人々の暮らし方(文化)が不可分に反映していて、これを無視してことばを語ることはできない、という前提で語られる日本語と日本文化(といっても、いわゆる「和」の様式にこだわるわけではなく、現代日本人の庶民生活の具体的なあり方のことである)についての連続講義録である。こういう話で、やはり面白いのは異文化間接触の具体例である。英語をあやつる人々と日本語を使う我々がなぜディスコミュニケーションに陥るのか、それは我々の語学力や想像力が貧しいというよりも、相互の文化の差異がそうさせているのである、というようなことが平易に書かれている。
この本は1970年代に書かれた。であるから、被占領時代の著者の記憶は、当時オトナであった読者たちの多くにとっても身につまされる類のものであっただろう(くりかえすが私は当時高校生だった)。序盤は全体にあくまで理性的、分析的でともすれば学校の授業そのまま、不謹慎な言い方だが単調な内容である。が、第五章の「事実に意味を与える価値について」が、そういう意味で、際だって面白い。
第六章「人を表わす言葉」(いわゆる人称代名詞についての日本独自の「文化」についての考察)は、ここまでの各章のほぼ4倍の長さであり、内容はたしかにユニークだが、この本のプロポーションを損なっている。この章は独立させて、ここまでを「第一部」、これ以後を「第二部」とするか、続編として別の一冊にした方がよかったのではないか。このほかにネタがあるらしいので、それを使ってここまでのペースであと2章書き、この本にオチをつけた方が良いバランスであったかも、と思う。
紙の本
読みやすさ三ツ星の言語学の入門書
2002/01/15 18:42
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投稿者:nanami - この投稿者のレビュー一覧を見る
私たちが、外国語を学ぶ時に感じる戸惑いはどこからくるのか。言葉とは何なのか。これは、身近な例をひきつつ、そんな疑問に答えてくれる本。
最終章「人を表すことば」は特に面白い。日本語には、英語でいうところの「I(一人称代名詞)」や「you(二人称代名詞)」がそもそも存在しないのだとか。じゃあ、「わたし」や「あなた」って何なの?
この本は、そんなふうに、私たちが気にもとめず同居している、かなり独特な世界の見方と、ことばの持つ隠されたパワーを教えてくれる。
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某学会で聞いた講演が大変面白く、本屋で氏の本を見かけるたびに買ってはいたのだが通して読むのはこれが初めてかもしれない。この本は73年に出て相当好評を得たようだ。内容の一部に既読感があるのだが、ひょっとしたら高校の国語の教科書に教材として採用されているのかもしれない。★あとがきによれば、この新書は氏によって書かれたいくつかの論文を下敷きに新たに書き下ろされたようだが、全体に統一感はあまりないように思える。「言語はその使用者が属する社会や文化に大きな影響と制約を受ける」というのが、一応本書の一貫したテーゼということになるが、このテーゼを実証するために引かれてくる例はかなり広い領域に及ぶ。以下面白かった話題を紹介。★英語には「A rolling stone gathers no moss.」という諺がある。「石の上にも三年」と言おうとしていることは同じだが、視点が逆になっている。「落ち着きのない奴には金持ちはいない」と言いたいようなのだが、何とこの諺「If you keep on moving, you will not get rusty.動き続けていれば錆び付くこともない」と解しているアメリカ人がいるというのだ。社会の流動性に価値を認めるアメリカの価値観を説明する例として紹介されている。★口ひげは「lip」からはえる(the hair on the upper lip)。つまり「lip」は「唇」と同義ではない。★日本語の「ぼく」など、自分を指示する語を、欧米言語学の「人称代名詞」という概念で説明することはできない。「『ぼく』いくつになったの?」、「『おねえちゃん』はもう4つだから泣かないの、えらいわねぇ」などの発話では、欧米語では自分の視点から話し相手を「you, tu, du」と規定することしかできないが、日本語では、他人の視点から話し相手を規定できるからである。★既に出版されてから三十年以上が経過した本であり、この間に言語学は急速に進展しており、本書に記されが事が否定されたり、反証されていることがあるかもしれない。この分野の現状を紹介する類書があるといいと思った。
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現国模試の問題文で使われていておもしろかったから読んだ本。言葉と文化の密接さが、いわゆるお国柄に繋がるんだなぁ、日本語って豊だなぁと思えた一冊。おもしろかった。
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サピア・ウォーフ仮説のような、言語が認知に与える影響から始まり
そのために起こる外国語と日本語の認識の差異を論じている。
言葉があるから認識出来るのであって、
言葉がなければ物事の差異を認識することは出来ないという主張は興味深い。
人は言葉に縛られてしまっているが、そのおかげで事象を認識出来る。
言葉の違いは認識の違いなので、外来語を使ったとしても
原語とは根底において、その規定範囲にずれが生じる。
そのずれが、文化と呼ぶものであって、話者は自覚せずとも、
長い歴史を無意識に受け継ぎ、また伝えている。
最後の日本語における人称については、
暗示的に架空の家族を想定しているとあり
少し信じられなかったが、現に明示的にそう示す言語があると
証拠を出されると、とても強い説得力があった。
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ことばにおける基礎が学べると思う。
私は高校のときにプリントで配られて読んだのと、入試の現代文でかなりの箇所を読んでいたので新鮮味はなかったです。
なーんだか当たり前のことを述べているので、大学3年にもなってきちんと読んだんじゃつまんなすぎます笑。高校で読んだときは鮮明に記憶するほどinterestingだと思ったけどね。ハスミさんの本読み返そうかなぁ。
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ことばは文化の構造によって影響を強く受けている。そのことを身近な例から考えていく、文化人類学的な言語社会学の入門書。普段何気なく使っていることばに、影響を与え、また時に反対に影響を受けている自分の文化、思考を捉え直すきっかけになる。人称代名詞の考察がとくに興味深かった。ことばは単語に絞っても、無限といっていいほどあるから、人称代名詞に絞った上で、筋道の立った考察をしているのは、素晴らしいと思った。
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言語を記述するということにおけるごく基本的な話題を、文化との関連という切り口を中心に展開している。言語学への入門書(門前書)の1つとして、また言葉に関心のある人のための読み物としては最適の1冊。
特に意味を記述することや定義することの難しさと面白さ(drinkと「飲む」、lipと「くちびる」、辞書の記述に関する話題など)、また言葉がいかに人間を中心にした見方であるか(形容詞の話題など)、いかに文化と深いかかわりを持つか(人称の話題など)、その他全体的に日本語の興味深さにも気付かされる1冊で、ことばの面白さの世界に引き込まれていく感じ。
特に人称の話題については詳しく述べられているが、その中に出てきた南太平洋のカロリン群島のトラック島における「循環命名」という命名法は、朝鮮語の「行列字」のように(おれにとっては)珍しい命名法として印象に残ったし、また人称代名詞における「タブー型変化」というのは井上先生の「敬意低減の法則」に通じるものがあるのではないかと思った。
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文化や社会によって規定される言語の規則性について、ごく身近な例を引き出しながらやさしく説明してくれる一冊。我々の使っている言葉が、というか我々のものの考え方が、いかにその国・地域の文化に依存したものであるかよくわかる。
もう35年も前の本なので、本書で主張される法則から反する例も挙げられるようになってしまっているのだが、そういう事を読みながら考えていく過程もまた楽しい。ことばというのは本当に何気なく使っているものなので、その中からこんなキッチリした法則を見つけられたら、研究者としたらさぞ気持ちいいことだろうなぁと思う。
蛇足:第六章の注にある二人称代名詞「おたく」に関する記述は、関係者なら一読しておきたい所。
350円。
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昭和40年代の名著。私もこの本をアメリカで暮らす前に読んいれば、違ったかもしれません。
これから外国に出て行こうする人は、これと同じことを多分経験するでしょう。自分で頭を打たないと身に付かないこともあるけれど、この本で考え方・受け止め方を予習しておけば、助かる場面、避けられる苦労も多いと感じました。
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今日までこの項目に入れていなかったことに気付かなかった・・・不覚。
初めて読んだのは高校生の頃。
何を言われているのかさっぱりわからなかった記憶しかない。
でも大学に入って読んでみて、衝撃を受けた。
結果、この本のおかげで現在の専門課程にいます。
自分が思考的に最も衝撃を受けた本をあげなさいと言われたら、
間違いなくこれです。
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あたしが高校生の時に読んで、感銘を受け、言語学をやろうと決心した作品。
当時のあたしにとっては衝撃的だった。
高校生にも読みやすいし、すごくいい本だと思います。
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言語論の名著。古い本だけど、目からウロコでまくり。
「言葉が物事を在らしめる」…なるほどー!おもしろい。
本当におもしろかった!これがきっかけで言語論とか興味もち始めた。
読み直しで改めて見えるところもあり、あと2、3回は読んでみたいかも。
ことばって、おもしろい。