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東北の雄大な伝説
2016/04/13 23:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:弥生丸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
画家丸木依里が絵を手掛けた、数少ない絵本。
十和田湖に棲む美しい女神を巡り、男鹿の赤神と龍飛の黒神が争う。心優しい赤神と猛々しい黒神。それぞれに心惹かれる女神は思い悩む。赤神と黒神は激しい闘いを繰り広げ、その結末は…。
小学生の時に読み、強く印象に残った絵本。読後の重量感が何ともいえない。黒神のあまりに深い溜息に大地が裂け、津軽海峡が生まれたという…。切ない伝説である。
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雄大な山々と、海に秘めるロマンス
2000/11/24 15:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:望月新三郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
沖縄の友だちから、近くアーマンチューのハマヒガに、行くから、写真を送るねと電話をもらった。アーマンチューとは、沖縄に人が住めるようにと、天(太陽と月)と地を創り出した巨人のことだ。日本列島にもいたるところに巨人伝説がある。山が背くらべしたことや、大沼(相模野)は、大昔、ダイダラボッチが、富士山を背折って歩いているとき、足をふんばって、めり込み、そこに水が溜ってできたなど、巨人が、山や沼や海を創ったという話しが地方にも沢山伝わっているから楽しい。この作品も何と北海道と津軽は、離れたという土地形成の物語りだ。
巨神の赤神と黒神が、実に雄大な恋をしたとき、悩み、苦しみ、激しく戦ったというのだから驚きだ。
文体は、長編叙事詩そのものである。初めの女神が機を織る場面は、こうである。
女神は、くる日もくる日も、手に巻いた玉飾りをさやさやと鳴らしながら機を織っていた。
きったん ぱたとん
きったん ぱたとん
機の音は、深いブナの森にひびき、湖の上にひびいた。機を織りながら女神は、歌った。
やがて、八郎潟で笛を吹いていた赤神が歌声にひかれてやってきて、ひとめぼれする。
機を織る女神のそばで女神の歌う声と合わせて笛を吹く赤神の姿。丸木位里の絵が大胆で素晴らしい。一方、八甲田山の遙か向こうに龍飛の黒神が住んでいる。やはり女神を見て好きになる。二人の神に愛された女神は、悩んでしまう。
——黒神を想い、赤神を想い、女神の心はふたつに裂かれるよう。おもわず、機の上に涙を落すと、ブナの森の山バトたちも、一斉に、ホロホロと鳴いたという——
こうした女神の想いをよそに、赤神と黒神は、すさまじいい戦いを始める。黒神は、戦いに勝って、十和田湖へ、しかし嵐の後、静まりかえった湖には女神の姿はなかった。女神は負けた赤神が可愛いと男鹿の岬にいってしまったからだ。黒神は、がっかりして龍飛にたどりつき、ため息をつくと地面が割れて津軽と蝦夷は離れ、その間を津軽海峡が流れたと言う。心あたたまる巨人たちの大いなるロマンに拍手をおくりたい。
(望月新三郎/作家)