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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:1978
  • 出版社: 岩波書店
  • レーベル: 岩波新書 青版
  • サイズ:18cm/203,5p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-00-410043-7
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紙の本

日本人の法意識 (岩波新書 青版)

著者 川島 武宜 (著)

日本人の法意識 (岩波新書 青版)

税込 858 7pt

日本人の法意識

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紙の本

想像上の過去としての「前近代」

2004/01/10 03:04

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:jyorimotofu - この投稿者のレビュー一覧を見る

昨年、何かと話題になった小熊英二『と』だが、要は戦争を招来した日本という国家と、その構成員たる「国民」の前近代性をいかに乗り越えるかという問題意識において、敗戦の記憶が持続しているうちは、少なくとも革新、保守ともに表層の差異を除けば同根であることを膨大な資料をもとに明らかにしてゆく著作であった。そこで大きく取りあげられた丸山真男、大塚久雄も、当然そのような意識の下に出現しているのだが──そして付言すれば吉本隆明はそういった彼らの問題意識、「国民」観への批判者として現れる──、本書の著者、川島武宜も彼らとそれを共有している。

たとえば1967年=昭和42年に書かれた「はしがき」を見てみよう。
「本書における私の関心の対象は法意識である。しかも、わが国に広汎にのこっている『前近代的』な法意識である。[…]今日もなお、前近代的な法意識は、われわれの社会生活の中に根づよく残存し、『社会行動の次元における法』と『書かれた法』とのあいだの深刻重大なずれを生じているのであって、[…]前近代的法意識を指摘することが、われわれの家族生活・村落生活・取引生活・公民としての生活を前進させるために緊要である」。

当然、川島はズルズルベッタリと規範と事実をなしくずし、前者を蔑ろにするような「前近代的」法意識を批判するのであり、さらに敗戦後20年たってもそれが払拭されない日本への危機感を随所に顕にしている。いうまでもなく、川島は「前近代」を超えた立場からそれを批判してゆくのだが、注意すべきは「前近代」とは、それを超えた位置に立つことで出現した、想像上の過去であるということだろう。それは「近代」化が進むことで超克されるものでもなく──現に約40年前に初版出版されたにも関わらず、本書はまったく古びていない──、また西欧から立ち遅れたものでもない。問題は、たとえば憲法9条を恣意的に引用し、自衛隊の派兵を法的に正当化するような、法の政治的遂行ひとつひとつであり、それらを批判してゆくことこそが重要なのだ。転覆及び改変すべき法や法意識が存在するのではなく、その遂行こそが問われるべきなのだ。

とはいえ、帝国憲法や判例の批判的読解から導かれる「前近代的」法意識の様相は、極めて刺激的であり、大いに参照に値する。特に「近代」について興味がある人には、うってつけの一冊ではないだろうか。

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2005/05/07 21:13

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