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著者 東山 魁夷 (著)
風景との対話 (新潮選書)
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評価内訳
2020/02/03 06:01
投稿元:
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東山魁夷といえば、昭和に活躍した近代の日本画家で、唐招提寺の障壁画などで有名である。私は芸術に明るいわけではないが、特に気に入っている画家の一人である。最初に東山魁夷の存在を知ったのは、中学生の頃に祖父から買い与えられて読んだ妹尾河童の『少年H』だったと思う。当時は有名な画家なのだな、という程度だったが、特にその名前の異質さのせいで覚えていた。 自分のお気に入りの画家だ、と思ったのは大学の頃、サークルの旅行か何かで香川県の坂出に行ったとき、東山魁夷せとうち美術館に行く機会があったからだった。作品名を忘れてしまったが、いくつかある緑深い森の中に白馬がぽつんと佇んでいる絵がある。ネットで調べれば長野県の信濃美術館に所蔵されている「緑響く」という作品があるが、もう少し白馬が近かったように思う。ただただ深い森の中の厳かさ、美しさと不気味さを感じる作品に、30分ほどその作品の前で過ごしたことを覚えている。 上述したように大して芸術に明るくない自分であったので、特にその後に東山魁夷のことを調べるなどはしなかった。次に出会ったのが、数年前にたまたま仕事で2ヶ月ほど滞在した盛岡の岩手県立美術館で行われていた東山魁夷の特設展だった。ここでも多くの作品に触れ、心打たれたことを覚えている。このときに、美術館の売店で購入したのが本書であった。 長い間積ん読状態で放置されていたのだが、今回読むにいたったきっかけは2つ。一つは専門外の本を読む機会を増やそう、と思い立って思い出したこと。もう一つは、東山魁夷が晩年北欧を訪れ、風景画を描く旅をしていたという事実を知ったからだった。そして、私が出会った緑深き森の作品は、北欧の森をモデルにしたものだと知った。私は現在ノルウェーに住んでいる。北欧に憧れたわけではなかったが、何の因果かここで仕事をさせてもらっている。個人的に勝手に運命的なものを感じて読むに至ったのだ。 ようやく本書についてである。まず感銘を受けるのは、その表現の豊かさである。絵画に限らず、音楽や映画などのタイプの芸術は、言葉で伝えられない感情・概念などを伝えるものであるように思う。映画評論で博士号を取得しようとしている私の友人も、「映画には言葉で伝わらないものが伝えられる」と言っていた。それは納得なのだが、芸術家である魁夷は言葉でも様々なものを伝えることに長けている、ということがわかる。本書は基本的には著者の自伝であるが、各章は各々の時期に描かれた絵の解説をはさみながら、人生を振り返っている。どのような思いで書いたのか、どういった感情が反映されているのかがわかるのである。そこには、偉大が日本画家としてではなく、苦悩と挫折と戦いながら生き抜いていく人間の姿が描かれている。 本の終盤では北欧旅行の各絵画にまつわる短い話が並んでいる。おそらく私が出会った絵画はフィンランドの湖沼地方の森らしい。ノルウェーでは、フィヨルドや森を描いている。オスロからベルゲンへ、そこからフィヨルド沿いの小さな町ウルヴィックへ。さらにヴォスを通ってフロムへ向かう。聞いたことのある街の名前に、約50年前に訪れた魁夷の足取りを想像するのは感慨深い。そ���て、自分が見た風景を同じ風景を見たであろう魁夷が、その風景を素晴らしい言葉で表現しているのに感動する。風景とはここまで言葉で表現できるのか、と驚く。 現在では、きれいな風景はすべて写真にとってすぐSNSにアップし、すごい!きれい!といった言葉であっても詳細を共有できてしまう。しかし、かつてはその表現を伝える手段は限られており、絵画と言葉で表現するしかなかった。魁夷のその表現力は、まさにタイトル通り「風景との対話」で培われたものなのだろうと感じる一冊である。
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