紙の本
人は石垣、人は城。自分の城は自分で守れ!
2006/01/02 11:51
12人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今年、トヨタはGMを抜き去り間違いなく世界一のスーパーカンパニーになることだろう。トヨタが何でこんなに強いのか。それはトヨタが無駄を廃し徹底的にコストダウンをはかるトヨタ生産システムを構築し、それを今も日々進化させているからだ。トヨタ生産システムの原点は人間尊重にある。従業員に如何に楽をさせるかという愛情がその哲学の中心を占めている。従業員に楽をさせるというと、すぐ勘違いして「さぼり」を連想するが、これは大間違いである。短期的にはスーダラ働くことは確かに楽だ。しかし中長期的には社員のスーダラは会社そのものの競争力を喪失させ、最後は人員整理、大量解雇という形で従業員そのものに返ってくることになる。これを知り抜いているトヨタは、だからこそ従業員の甘えを許さない。人間だれしも弱いもので、ちょっと目を離すと会社の金をくすね、さぼり、スーダラ過ごしたくなるものだ。しかしこれを認めると組織全体が腐り始め、すごい腐臭を放つようになる。労働組合の天下となって組織全体が市長も巻腐りきった大阪市の腐臭はすでに東京にまで臭ってきている。世界一のスーパーカンパニーに上り詰めようというトヨタと、これから大整理が始大阪市の差を、労働組合の連中はよくわきまえてもらいたい。また、この手の労働組合の連中は、よく「トヨタの繁栄は下請け企業の犠牲の上に成り立っている」などという嘘を平然としていうが、馬鹿も休み休み言ってほしい。トヨタの下請け企業の利益率はトヨタをも上回るもので日産やマツダよりも数段上なのだ。トヨタは自身の利益を押さえても部品メーカーを繁栄させているのだ。嘘を言う前に事実をきちんと調らべてから発言するなり書評を書くなりしてほしいものだ。それにトヨタは系列部品メーカーのみならず、地元経済全体を栄えさせている。名古屋市のにぎわいをみよ。大阪市にはついぞみたことのない繁栄がそこにある。
紙の本
五回の「なぜ」を繰り返せ!
2003/10/26 22:14
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yurippe - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、いうまでもなく経営学を学ぶ人にとって必読の古典です。英文学を学ぶ人にとってのシェイクスピアといったところでしょうか。世界中のメーカー経営者が手本と仰いだトヨタの“かんばん方式”について、生みの親である著者が記した本書は、しかし、単なる「経営学の古典」という枠組みを越えた、普遍の哲学書であるともいえると思います。
ソニーの会長兼CEOの出井さんも、自著のエッセイ『ONとOFF』において、トヨタの工場を見学したくだりで、その「品質に対する執念」に賛辞を捧げています。トヨタ生産方式の誕生から約五十年。世界に冠たる企業のトップたちが、いまだに一目も二目も置くトヨタ生産方式は、ただの生産ノウハウに留まらない奥深さを感じさせます。
「ジャスト・イン・タイム」「かんばん」「自働化」など、トヨタ生産方式の基本思想である“徹底したムダの排除”を表すキーワードはいくつかありますが、ここではそれらの根幹をなす「五回のなぜ」に注目したいと思います。以下は、長くなりますが文中からの抜粋です。
一つの事象に対して、五回の「なぜ」をぶつけてみたことはあるだろうか。言うはやさしいが、行なうはむずかしいことである。たとえば、機械が動かなくなったと仮定しよう。
(1)「なぜ機械は止まったか」
「オーバーロードがかかって、ヒューズがきれたからだ」
(2)「なぜオーバーロードがかかったのか」
「軸受部の潤滑が十分でないからだ」
(3)「なぜ十分に潤滑しないのか」
「潤滑ポンプが十分くみ上げていないからだ」
(4)「なぜ十分くみ上げないのか」
「ポンプの軸が摩耗してしてガタガタになっているからだ」
(5)「なぜ摩耗したのか」
「ストレーナー(濾過器)がついていないので、切粉が入ったからだ」
以上、五回の「なぜ」を繰り返すことによって、ストレーナーを取りつけるという対策を発見できたのである。「なぜ」の追求の仕方が足りないとヒューズの取り替えやポンプの軸の取り替えの段階に終わってしまう。そうすると、数ヶ月後に同じトラブルが再発することになる。—中略—
五回の「なぜ」を自問自答することによって、ものごとの因果関係とか、その裏にひそむ本当の原因をつきとめることができる。
(文中より)
地道に「なぜ」を繰り返し、根本的な問題解決の方法を探る態度の積み重ねが、他社に追髄を許さない高品質のトヨタを作り上げました。
モノづくりの生産現場のみならず、学問、仕事、人間関係、スポーツ、芸術…。根本的な真理、解決方法を求める「五回のなぜ」の問いは、あらゆる場面に応用できます。本書に出会ってからずいぶん経ちますが、困難な場面ではいつも「五回のなぜ」に助けられています。
このたびの、三菱自動車製品の脱輪事故多発や過去のクレーム情報隠蔽など、一連の三菱不祥事を耳にして、ふと、本書を思い出しました。
紙の本
発案者みずからが解説した本であり、メーカー生産現場のバイブル
2001/10/16 19:28
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:松山 真之助 - この投稿者のレビュー一覧を見る
■<ワン・チョット>
「必要なものが、必要なときに、必要なだけ… JIT。」
■<モウ・チョット>
大量生産によるコストダウンを図ったフォードに対し、多品種少量生産(=多様化)にも効率的に対応できるトヨタ生産方式は、本書の著者である大野耐一氏(故人)が作りあげた日本が誇る生産マネジメントである。
当初は大野方式とよばれた「ムダを徹底的に省く生産方式」は、いまやトヨタ生産方式となり、日本をはじめ世界の多くのメーカーでも取り入れられている。kanbanが英語の辞書に載るくらいである。
本書は、その生産方式の要諦と真意を、発案者みずからが解説した本であり、メーカー生産現場のバイブルともいえる本である。初版はなんと23年前。
オーノイズム(大野方式)は、ムダを徹底的に排除する仕組みを、逆転の発想で提示したところに特徴がある。ムダには、在庫のムダ、動作のムダ、不良品をつくるムダ、運搬のムダなど様々なフェーズにあるが、もっとも重要視したのが「在庫=すなわち作りすぎのムダ」である。そこから「後工程が前工程に取りに行く」というかんばん方式が生まれる。
「“かんばん”によって“つくり過ぎ”が完全に押えられるので、余分の在庫を持つ必要もなく、したがって余分の在庫を持つ必要もなく、倉庫もその管理人も不要であり、無数の伝票類をまきちらすこともない。」のだ。ジャスト・イン・タイムだ。
TOCの原理を物語で示した『ザ・ゴール』にもムダな在庫はいけないことだと気付く場面がある。「在庫は、B/Sでいうと仕掛資産に入っているが、財産としてみるところに、そもそも間違いがあるのだ…」というところに新鮮な印象を受ける。
大野方式のコンセプトのユニークさとともに、トヨタ自動車創業の歴史やフォードの歴史もみえ、なかなか面白い内容の本だ。
現トヨタ社長の張氏は、大野氏のまな弟子だという。現在のトヨタの源流を本書でみて見よう。
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元トヨタ自動車工業(株)副社長、大野耐一(おおのたいいち)氏の著作。1978年が初版だが、手元の本は2003年の79刷。 長らく売れ続けているのだろう。 コンピュータ化に関しては、(今の視点だと)多少先入観があるように思うが、現在のトヨタの生産システムを構築したのが大野氏であることがよくわかります。
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読みました。。。うーん、名著。
その方式のなんたるかを知らずにいましたが、
この本でだいぶ理解することができました。
そしてなぜトヨタは世界のトヨタになったのか。
改善、かんばん方式、ジャストインタイム、
自働化など勉強させていただきました。
製造業を知るには持って来いだと思います。
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闘将を彷彿とさせる大野耐一氏によるトヨタ式生産方式の名著。徹底した無駄の排除を目指す、「ジャスト・イン・タイム」「自働化」の具現について、平易な文体で、分かり易く解説しています。
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就職先から「感想文書けや」と送られてきました。
まぁ・・・為になる話ではあると思いました。面白くは無いですけど。
専門用語が多いのでその道の人ならば違和感無く読めるのか。
最後の付録として用語集が載ってますけど、わざわざ読みながらめくるものめんどうだったので、放置。
注釈みたく、その単語が出ているページに解説入れてくれよ、という感じ。
とりあえず、効率重視!人を減らせ!そんな本。
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世界的にも有名な日本の経営方式の本。
トヨタ生産方式がどういうものかということがわかっただけでなく、どのような経緯で生まれたのかを知ることができて良かった。
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開始:20080115、完了:20080115
トヨタ生産方式の生みの親である大野耐一氏が著したまさに
トヨタ生産方式の教科書。トヨタ生産方式を確立した氏だか
らこそ、シンプルでかつわかりやすい言葉で平易に書かれて
いる。トヨタ生産方式を理解する上では必須の本といえる。
また、時代が経って読んでも、全然その時代の変化を感じ
させないところが本書のすごいところといってもよい。また
他の人が語る大野氏像とは異なり、大野氏自身も手本のない
ものに対して、不安や緊張を感じていたことがわかるのも
新鮮だ。
本書を読み、自動車産業をざっと読み解くと、きっと、
フォードの大量生産→GMによる多様化対応→トヨタによる
多様化に対応した大量生産、となるのだと思う。
以下メモ。
多種少量生産。
世の中のことはすべて歴史が立証すると確信している。
日本の産業界はつくれば売れる時代に慣れきっていた。
量産効果のメリットは低成長時代には払拭しなければならない。
戦前、アメリカ人が一人でやることを日本人は9人もかかってやっている。
日本人はなにか大きなムダなことをやっているに違いない。そのムダ
をなくすだけで生産性は10倍になるはずだ、というのがTPSの出発点。
トヨタ生産方式の基本思想は、?ジャスト・イン・タイム、?自働化。
組み付けに必要な部品が必要なときにつど必要なだけ生産ラインの
わきに到着するということ。
「在庫」をゼロに近づけることができる。
私はものごとをひっくり返して考えるのがすき。
従来の考え方は「前工程が後工程へ物を供給する」ことであった。
「後工程が前工程に必要なものを必要なとき必要なだけ引き取りに行く」
「何をどれだけ」欲しいのかをはっきりと表示しておけばよい。
それを「かんばん」と称して各工程間を回すことで生産量すなわち
必要量をコントロールしたらどうかという発想。「かんばん」方式は
TPSをスムーズに動かすための手段。
自働化は、豊田佐吉の自働織機の発明を源にしている。
横糸がなくなったりした場合、すぐに機械が止まる仕組みになっている。
すなわち、「機械に良し悪しの判断をさせる装置」を
ビルト・インしていあるのだ。したがって、不良品が生産されない。
異常があれば機械をとめるというこは問題を明らかにすること。
人手作業の生産ラインで異常があれば作業者がストップボタンを押して
ラインを止める。
「ジャストインタイム」とはチームプレー、「自働化」は選手一人一人の
技を高めること。
「自働化」によって不良品の生産を防止する役目と「目で見る管理」が行き届く。
効率を追求するのは企業目的の根幹ともいうべき「原価の低減」を実現
するため。製品の原価がいくらかかったかというのは消費者には関係ない。
「徹底したムダの排除」というTPSの基本思想を支える二大柱。
目標がはっきりしていると人間の行動は活発になる。
豊田喜一郎社長の「3年でアメリカに追いつけ」の言葉。
昭和22年、本社���場で、機械工場に流れをつくることが最初にやるべきことだった。
計画的量産システムは量とスピードを追求するやり方でムダが多い。
月1000個いる部品だったら、1日に40個ずつつくればよい。コンスタントに
つくってほしい。これが「平準化生産」。
現場に対していかにニーズを感じさせるか、これが全体の改善を大きく進める鍵。
単能工から多能工への移行。
生産現場のトータルなシステム、それを「製造技術」。
重要な役割。
低成長下では、量がふえなくても、生産性を上げるにはどうしたらよいのかを考える。
買いだめ心理は農耕民族の宿命では。米をつくってかつ蓄えをして自然の災害に備えた。
いつも手元になにがしかの原材料、仕掛品、製品の在庫をもっていないと、この激しい
競争社会に生き残っていけない不安に産業人は襲われる。
「なぜ」を五回繰り返す。
?「なぜ機械は止まったか」
→「オーバーロードがかかってヒューズが切れたからだ」
?「なぜオーバーロードがかかったのか」
→「軸受部の潤滑が十分ではないからだ」
?「なぜ十分に潤滑しないのか」
→「潤滑ポンプが十分くみ上げていないからだ」
?「なぜ十分くみ上げないのか」
→「ポンプの軸が磨耗してガタガタになっているからだ」
?「なぜ磨耗したのか」
→「ストレーナー(濾過器)がついていないので、切粉が入ったからだ」
以上、五回の「なぜ」を繰り返すことによってストレーナーを
取り付けるという対策を発見できたのである。
「なぜ」の追求の仕方が足りないとヒューズの取替えやポンプの軸の
取り替えの段階に終わってしまう。
TPSは徹底したムダの排除を根幹としている。
生産現場に関しては「データ」ももちろん重視しているが「事実」を
いちばんに重視している。ムダを徹底的に排除するための基本的な
2つの考え方。?
能率の向上は原価低減に結びついてはじめて意味がある。そのためには
必要なものだけをいかに少ない人間でつくり出すか、という方向に
進まなくてはならない。?能率を一人一人の作業者そしてそれが集まった
ライン、さらにはラインを中心とする工場全体という目でみると、
それぞれの段階で能率向上がなされ、その上に全体としても成果が
あがるような見方、考え方で能率アップが進められなければならない。
現状の能力=仕事+ムダ(作業=働き+ムダ)。
ムダをゼロにして仕事の割合を100%にする。TPSの前提として
ムダの徹底的な摘出。?つくりすぎのムダ、?手持ちのムダ、?運搬のムダ、
?加工そのもののムダ、?在庫のムダ、?動作のムダ、?不良をつくるムダ。
経営者にとっては余剰人員をはっきりとつかみ、有効に活用することが
その任務である。景気がよくなり増産が必要なときは人を採用して
対処し、不景気になるとレイオフや希望退職を募るという事態に陥る
ことは経営者として厳に慎まなければならない。
大部屋のほうが生きた経営情報が入ってくる。現場主義があっている。
「アンドン」、目で見る管理。
自らの手で標準作業を書いてみよ。
縁の下の力持ちとなって支えてきたのが標準���表。標準作業の三要素。
?サイクルタイム、?作業順序、?標準手持ち。
「時間は動作の影」といわれるが遅いというのはほとんどの場合、
動作・手順がちがうことによって生じる。
標準手持ちは作業をしていくためにこれだけは必要だという工程内の
仕掛品のことをいい、機械に取り付けているものを含めていっている。
本来仕事というのはスポーツとは共通点が非常に多い。
チーム競技は、勝負を左右するカギはチームワーク。
スター選手が一人や二人いても必ずしも勝てないところが面白い。
チームで何個の完成品をつくったかが肝心の問題となる。(制約理論)。
徳川家康は子供のときに石合戦をみて人数の少ないほうが勝つといいあてた。
スポーツからはいろいろなヒントがえられる。
工場でも責任制をとったからといってただそれだけでうまくいくとも言えない。
お互いの仕事に三十八度線を引いてはいかん。陸上競技のリレーのように
仕事の分野を考えたらどうだろう。リレーにはリレーゾーンがある。
バトンタッチを上手にやるように。チームワークのことを「助け合い運動」。
「かんばん方式」はアメリカのスーパーマーケットからヒントを得たもの。
昭和31年にアメリカで強い印象を受けたのはスーパーマーケットの普及。
早くからスーパーマーケットの仕組みを人づてに聞いて、これは私どもの
考えている「ジャストインタイム」に結びつくものではないかと想像力
をたくましくしていた。
前工程は後工程が引き取っていった分を補充する。
問題は後工程が同じ部品を一度に大量に引き取るために前工程が混乱することであった。
結局思考錯誤の末、「平準化生産」にたどり着く。
TPSの運用手段は「かんばん」。長方形のビニールの袋に入った1枚の紙切れ。
大きく分けて、「引き取り情報」「運搬指示情報」「生産指示情報」として
工場内を駆け巡っている。一般に企業で「何を・いつ・どれだけ」といった
内容の情報は、仕掛計画表、運搬計画表
「かんばん」の「役割」とその「使い方のルール」を整理。
?「引き取り情報」または「運搬指示情報」、?「生産指示情報」、
?「つくり過ぎ」および「運び過ぎ」の防止、?「現物票」として必要な
作業であることの証明書、?「不良品防止」のため、不良品を出した
工程が痛さを感じるシステム、?「問題点顕在化」の道具であり、「在庫
管理」の道具。
逆常識を常識化する才気と胆力。
かんばんの使用法ルールの第一は「後工程が前工程に引き取りにいく」。
つくるものがあらかじめ示されないということに対する
現場の心理的な抵抗感はなかなかぬぐい去ることができない。
どこにも手本はない。何が起こるかやってみないとわからないことが多く、
毎日毎日が緊張の連続。
「ジャストインタイム」とは必要な部品が必要なときに必要な量だけ、
ラインサイドにぴたりと到着する理想のシステム。
「流れをつくる」のが基礎条件。
トヨタ生産方式というのは「つくり方」であり、「かんばん方式」というのは
「管理の方式」である。
なるべく流れるようにつくる、ということ。
この流れるようにつくるやり方を自分のものにしておかないと、いざ「かんばん
方式」をやる段階になってもすぐにはできない。「流れをつくる」意識。
これが前提条件。ほかに生産をできるかぎり「平準化」する。
仕事は必ず「標準作業」をきめて行うことが前提条件である。
「かんばん」なんて常識に反するものだったからみんな強い抵抗感があった。
トヨタ自工内部の「かんばん」でさえ、10年以上かかっている。
製造部長が話しでわかっても下のほうがわかっていなかったら「かんばん」はやれない。
「多様化」が自動車企業の量産効果を薄める要因になってきたことは確か。
生産の「平準化」のため、製品の種類によって「段取り替え」をひんぱんに行わなければ
ならなくなった。従来とは逆の発想で「ロットを小さく、段取り替えをすみやかに」を合言葉
とするようになった。
「かんばん」は常に必要とする品物とともに動く。
「不良」の意味を「不良部品」に限らず「不良作業」にまで広げて考える。
作業方法や作業時間に"ムダ"、"ムラ"、"ムリ"が生ずることになり、これが
不良部品の生産に結びつく。
改善は永遠にして無限。
必要以上につくりたくても、空の台車がなければ感性したユニットの置き場所がない。
作り過ぎが自ずとチェックできる。
自律神経とは現場の自主判断機能。
多過ぎる情報は進み過ぎを誘発し、順序をまちがえ、つまり必要な物が必要なときにできず、
つくり過ぎと同時に欠品をもたらす原因となり、ひいては計画変更が簡単にできないラインの体質
にむすびつく。
自分自身の頭脳を柔軟に保つことこそが大切。
豊田佐吉の「自働化」の思想、豊田喜一郎の「ジャストインタイム」の構想が2本の太い柱
になって支えてくれた。
トヨタ生産方式はせんじ詰めれば原価低減につながる。
論拠の薄弱な経済計算をして社内でやるより外注に出したほうがコストが安いなどという結論
を出してはいけない。
まず考えられる改善案を数多くあげ、それらを総合的に一つ一つじっくり検討して、最善の
策を選ぶべき。
生産現場をよくみると、私のところではとうの昔に切り替えてしまった工作機械類がよく
はたらいている。しかも、必ずどれにもなんらかの形で細工が施してある、と驚きかつ
感心してくれた。
トヨタ生産方式は徹底したムダ排除の方式。
人が多過ぎるためになんとか仕事をでっち上げ、これによって新たな動力や用度品の費用を
発生させたりすることがよくある。これは二次的に発生するムダ。
もっとも大きなムダは過剰在庫。工場に入りきらないので倉庫。倉庫まで運ぶ運搬作業者。
さらに倉庫内の在庫管理で人をおく。それでもサビやキズが入るから使用される前に手直し
がいる。倉庫にストックされると、在庫管理部門の工数が発生する。
ムダがムダを生んでいく悪循環。
ムダとは何か、ムダは何から生ずるかの観念をよほどしっかりともっていなければ、
ムダの悪循環がただちに表面化してくる恐れは常にあるといってよい。
ある部品を内製でやるか外注でやるかについて、���格比較がなされる場合が多いが、
内製に余力がある場合は実際に発生する費用は材料費とか油代とかの生産の大きさに
応じてふえる変動費だけである。したがって、原価比較をするまでもなく内製が
有利である。
それでも余力がある場合は、段取り替えの練習をするほうが何もしないよりはましである。
余力は常日頃からはっきりさせておくこと。余力があるかどうかが明確でないと
結局、選択を誤って原価を高めてしまう。
「認識」とは私の好きな言葉である。
その意味は非常に厳格なもの、対象物に対して積極的に迫り、本質をつかみ取る意味であると
私は考えている。
在庫を異動させたりきちんと積みなおしたりという動きが「仕事」とみなされてしまうと、
ムダと作業の見分けがつかなくなってしまう。
これを「つくり過ぎのムダ」。「つくり過ぎのムダ」はその他のムダを隠して
しまうという意味で、もっとも根源的なムダ。
TPSを自分のものにするにはムダの何たるかを大雑把にとらえているだけではだめ。
「稼働率」と「可動率」を厳密に区別している。
「可動率」とは動かしたいときいつでも動く状態。100%が理想。
「必要数」とは「売れ行き」のこと。
設備の価値とは本当にさがるものだろうか。減価償却費とか残存価格とか簿価という
のはあくまで会計上、税法上定めた人為的なもの。
「この設備はもう償却がすんでいる。元は取っているのだから、いつ捨てても
損はない」とか、「この設備の簿かはゼロに等しい。こんなものに改造費を
かけるのは損である。むしろ新鋭の機械に置き換えたほうがいい」といった
調子の言葉、これらの発想はまことに貧しいものでありまちがっている。
設備の価値は使用した年数や型式の古さなどで決まるものではなくどれだけ
稼ぐ力を維持しているかによって決まる。
企業経営のビジョンを描くことは大切だが、あくまで地についたものでなければならない。
高度成長期こそ、そのような企業の体質づくりはしやすかったはず。
企業の体質強化こそが生き残るための絶対要件。
企業というものはできるだけ少ない人数でたくさんの物をつくることを四六時中考えているもの。
「省力化」に対して「省人化」。
大きな生産量をいかに少ない人数でやるか。これを工数で考えるとまちがう。
「少人化」のがはるかに本質をついている。これは生産量に対応して5人でも3人でもやれるように
することで、定員化しないやり方である。
離れ小島をつくるな。
「二掛ける八イコール十六なんて計算は小学校で教わった。この年になってお前から教わるとは
思わなかった。人をバカにするな!」と。
算術の経営ではいけない。忍術の経営でやるべきだ。
ほとんどの術は厳しい訓練によって身につけられたもの。
「行動」が要求されているのが、「術」。最近は「技術者」でなく「技述者」。
IEとは経営に直結する全社的な製造技術。
TPSはいわば意識革命。
戦後まもなく豊田喜一郎氏が「アメリカに追いつけ」。
あるとき喜一郎氏が「自動車事業のような総合工業では自動車の組み立て作業にとって
各部品がジャストインタイムにライン側に集まるのがいちばんよい。」と。
必要な部品が必要なときに必要な量だけ生産ラインのすべての工程の脇に同時に
到着する光景は想像するだけでも楽しいし、刺激的であった。
非常にむずかしそうだが、けっしてやれないわけではない。いずれの場合も、
人を刺激するものである。
トヨタは規模こそ小さかったが、内には世界的なレベルを感じさせる雰囲気があった。
豊田喜一郎という先見性では比類のない人物にめぐり合うことができた。幸運といわざるをえない。
自働化は豊田式自働織機という具体的な教科書が目の前にあった。
あるときは近所の婆さんの機を織るのを終日立ち暮らして見ておったこともある。
佐吉翁は20歳の春に、明治20ねんごろを振り返って、語ったのだが、私はここで
おばあさんが機を織るのを終日立ち尽くして見ていたこと、機の動く調子がだんだん
とわかってきたこと、そして見れば見るほど面白くなってくること、この態度に菅藤した。
佐吉翁はアメリカにいって「これからの時代は自動車だ」と繰り返しいっていた。
佐吉翁と喜一郎氏は二大傑物。「私は織機で国のためにつくした。お前は自動車を
つくって国のためにつくせ。これが父の遺言となった。」
トヨタイズム、?あくまで目標は大衆車とする、?乗用車工業を完成させねばならない、
?売れる値段の自動車をつくる、?メーカーの計画を生かすものは販売力、?基礎資材工業の確立。
佐吉翁公は数学を習ったこともなければ物理学を学んだこともない。全く自ら考え、
自ら案出して、人の仰ぐ一大発明を完成されたのじゃ。
考える素材を見つけ出し、その対象物を穴のあくほど凝視し、その本質を知り尽くす。
近所のお婆さんの手織機を終日立ち尽くして見続ける。佐吉翁のイマジネーション
の源泉であり、かつものごとを具体的につめていく姿勢。
自動織機も自動車も動力によって自動的に動く機械。
佐吉翁の人生観、事業観、世界観。
ヘンリー・フォード1世。動く組み立てラインの実験。
フォード・システムの流れ作業。
ロットを大きくまとめてプレスの型を替えないでなるべくたくさん打ち続けることが、
現在なお生産現場の常識。フォード式の量産システムのカギは、まさにこの点。
トヨタ式はその逆。「ロットはできるだけ小さく、プレスの型の段取りが替えを
すみやかに」。フォードは生来の合理主義者。
「標準」とはいったい何かについてあれこれ考え続けた。
産業の真の目的はこの世の中をよくできた、しかも安価な生産物で満たし、
人間の精神と肉体を、生存のための苦役から開放することにある。
その生産物がどこまで標準化されるかは、国家の問題ではなく、個々の製造業者
の問題である。トヨタでは予防医学、フォードの著作のなかにも「治療と予防」とある。
フォードの着目した「綿布はここで使用できる最良の材料なのだろうか」という
ところに興味をひかれる。人間はフォードの指摘するとおり長い間のしきたりと
動いてしまう。
私はいつもものごとをひっくり返してみるようにしてきたが、フォードの文章を読むと
、見事な逆転の発想を再三やっていて大いなる刺激を受ける。
フォードの『今日、そして明日』。
量がふえることによって生産性や能率を上げることのできる人間はいるが、
量が減ってもなおかつ生産性をあげることのできる人間は世界中にそうはいない。
一企業のなかで、よく売れる部門を持たされるよりもなかなか売れないで弱っている
ところと取り組んだほうが、それだけ差し迫った改善のニーズがあるだけに、
やりがいがあるのではないかと考えるのだが、現実はそうでもないらしい。
もっともっと寛大に機知をはたらかして創造心を伸ばしていきたい。
「納豆」と「豆腐」とは本来の意味からするとお互い逆。
「なっとう」は本来は「豆腐」と書くべきで、豆を腐らして
つくるから。「とうふ」というのは「納豆」というのが本来で、豆からつくって
四角におさめたものだから。
しかし、「豆が腐った」と書いたのではだれも「なっとう」を食べたがらない
にちがいないが、「とうふ」ならば、白くきれいだから「豆腐」と書いても
だれもまさか豆が腐ったものだとは思わないだろう。ということで、両方を反対に用いる
ことにしたとかいわれる。
投稿元:
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THE GOALで感動したあと、これを読み仰天。
THE GOALで学んだことは既にトヨタでは何十年も前から
実践していたこと。
投稿元:
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低成長時代を覚悟して、数パーセント〜ゼロ成長時代は長くつづく、それに耐えうる生産方式でなくてはいけないと大野氏が言っている。1978年の著作。
21世紀のトヨタの時代の礎は数十年かけてつくられたのだなとあらためて実感。企業の強さは数十年単位で育てるべきなのだ。
かんばん方式=後工程が前工程に必要なものに必要な時に必要なだけとりにいくシステム。(ジャストインタイム)
・生産現場のムダ
1)作りすぎのムダ
2)手持ちのムダ
3)運搬のムダ
4)加工そのものムダ
5)在庫のムダ
6)動作のムダ
7)不良品をつくるムダ
・原因より真因
・なぜを5回繰り返す事
・今ままでの方式や工程はそれが職人であろうと改善をさせる、彼らが納得するように、やってみさせる。
・標準作業、工程は自分で書いてみる
・かんばんを機能させるためには100%良品でなくてはならない
・つくり過ぎのムダがあらたなムダを産む
・はなれ小島をつくらない
・ラインストップを恐れるな
・算術ではなく忍術の経営
・豊田佐吉と喜一郎
・自動車の前から、紡績機は世界レベルの競争にさらされていた(イギリスなど)
・標準とはみずから作り出すもの
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■紹介
30年以上も前の1978年に第一刷発行。
2008年8月7日時点で、107刷という恐ろしい数字を叩き出している。
いざなぎ景気が終わり日本が不況の波にのまれているときに、
トヨタは独自の生産方式によりこの不況を力強く突破している。
トヨタ生産方式には、どういった思想があり、どういった改善をしてきたのか、
当時トヨタ副社長だった大野耐一さんが記載している。
このトヨタ生産方式、改善方法は業種などが異なったとしても、
自分に置き換えて考ることができれば、効率化の一つ道具となりえる。
どうすれば1.0人分の作業を減らすことができるのか?
■要約
トヨタ生産方式とは?
基本思想は「徹底したムダの排除」。
二本柱に「ジャスト・イン・タイム」と「自働化」がある。
(背景として当時三年でアメリカに追いつくことを目標としていた。
このときの日本の生産性はアメリカの8分の1。)
ジャスト・イン・タイムとは?
既存の「前工程が後工程へ物を供給する」という生産ラインを、
「後工程が前工程に、必要なものを、
必要なときに、必要なだけ取りに行く」という、
何をどれだけ欲しいのかを示している。
ここでかの有名な「かんばん」を利用している。
自働化とは?
人がいなくとも、機械に生産させる。
ただしこのときただ生産させているのではなく、
バカヨケで異常検知し、アンドンで生産ラインを見える化し、
人をその場に張り付かなくてもすむようにしている。
(これを自動化ではなく、自働化と呼んでいる)
そして上記二本柱よりトヨタ生産方式では、
以下のムダを排除し生産性を向上させている。
省力化:大型機の導入により、人間の力を省く。
↓
省人化:省力化によって0.9人減っても、
↓ 他に人を回せないため原価低減に結びつかない。
↓ 人を1.0人減らしてこその省人化。
↓
少人化:生産量の増減に比例して、人の出し入れを可能とする。
→多工程待ちとする。
■抜粋(○:完全抜粋、●:中略抜粋)
○世の中のことはすべて
歴史が立証すると確信するからです。(まえがきP.3)
●一つの事例だけをとって現場に応用しても
有効な改善ができないかもしれません。
頭を使いながら本書を熟読玩味されれば、
たとえ業種や形態が異なっていても、
何が重要であるか、いかなる改善を行うべきかが判ると思います。
(本書によせてP.7)
●生産現場の風当たりはとうぜん強かった。
仕事の量や作業時間が増大するわけではないが、
当時の熟練工は良くも悪くも職人気質旺盛な連中であったから、
抵抗も多かったはずである。
短期間に急激な変化を押し付けるのは得策でないと考え、
あせらずにじっくりい���気持ちであった。(P.23)
○手をとって教え込まなければならず、
これが監督者に対する信頼感につながる(P.43)
○チーム・ワークとか、その他いろいろの理由がからむと、
かえって少人数のほうが勝つ場合がでてくるのではないか。(P.46)
○スポーツと仕事とはいろいろな共通点がある。
私がいちばん大事だと思う共通点は、
スポーツでも仕事でも練習に練習を重ねること、
訓練に訓練を重ねることである。
理論を頭で理解するというのは問題ではない。
体で覚え込むことである。
訓練を耐え抜くだけの根性を持つことが、勝負に勝つ道である。
(P.48-49)
○”余力”を生みだせ(P.100)
簡単にいえば、余力のある場合は、
遊んでいる人、遊んでいる機械を使うのであるから、
費用は新たに発生しない。つまりタダである。
内製・外製について余力を考えてみる。
原価比較される場合が多いが、
内製に余力があれば、実際に新しく発生する費用は、
生産の多さに応じて増える変動費だけである。
したがって原価比較するまでもなく、内製が有利である。
トヨタ生産方式では、さらに一歩進めて、
余力を捻出するような改善も心がけている。
○人間味のある環境を作ることによって、
初めて「少人化」も本物になる。(P.123)
○シリンダー五、六百個ペケにして鋳つぶしてしまいました。
同じものを千個作ると、
体外の職工は手が馴れて間違いの無い物を作る様になります。
最初の数百個の中には良い物も出来ますが、
手が定まる迄は是を捨てる位の覚悟は必要であります。(P.150)
●間違った機械を買わない様にわざわざ米国まで行って調べる位の事は当然の事であります。
高級な機械を買っても其れが満足につかいこなせるであろうかと言う事が次に来る問題であります。
それから工具の研究と熟練とが必要です。
そこに大量生産に馴れた工具の設計が必要になります。
この設計と製作に三年や四年かかるのは当然のことであり、
豊田が製作機械を買ってから三年間一体何をしていたがお解りになりましょう。
何百万と言う機会を買ってから凡そ三年間何百人と言う人が一生懸命に働いて
自動車を一台も市場に出さなかったら
体外の株主はいったい自動車出来るのかどうか心配し出し、
当局者も何とか一台でも二台でも作らなくては申訳が無い様な気がします。
然しこんな風にして出来た自動車では満足されません。
こんな事業を向う見ずにやる者は余程アホーだと私自身も思って居ます。
当然儲かる事業を当然な方法でやってゆくよりも、
誰も余りやらない又やり難い事業をものにして見る所に人生の面白味があるもので、
出来なくて倒れたら自分の力が足りないのだ。
潔ぎよく腹を切ったら良いではないか。
出来るところ所までやって見よう、
どうせやるなら世人の一番むずかしいという
大衆乗用車を作って見ようと言う立場か���やり掛かったのです。
(P.152-153)
●ヘンリー・フォード一世の標準(スタンダード)への見解(P.182)
標準のためにものをつくることで満足するようになり、
人間の能力も鋭くなるどころか、かえって鈍くなるからである。
○「動き」を「働き」にする(P.220-221)
いくらよく動いても、働いたことにはならない。
「働く」とは工程が進み、仕事ができ上がることで、
ムダが少なく効率の高いことである。
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元祖トヨタ本といってもいい。
トヨタ生産方式の生みの親ともいえる大野耐一が書いた書籍。
この本が、世の中、そして、トヨタ自体に与えた影響は
はかりしれない。
多少、精神論的な部分もあるが、それこそが
トヨタ生産方式なのだと思う。
原点に戻るために、いつも開く価値のある一冊。
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メーカーの技術職のバイブルたる本。メーカーでなくても、技術職でなくても今の世の中で多く応用されているトヨタ生産方式の一番の原典。
徹底して無駄を排除するために
「ジャストインタイム」
「自働化(自動化ではない)」
を柱とするトヨタ生産方式を紹介している。
「なぜを5回繰り返す」、「カンバン方式」といったトヨタでの活動について紹介している。
簡単なようで奥深い。何度も読んで内容をしっかりと噛み締める一冊。
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いわゆるトヨタ本は数あるながら、トヨタ内部のしかもトヨタ生産方式を築きあげた当事者の著書です。平易な文章ですが、一度読んだだけでは理解できないくらい、奥が深い内容です。
トヨタ生産方式は、「徹底したムダの排除」という基本思想と、それを貫く「ジャスト・イン・タイム」「(ニンベンのついた)自働化」という2本の柱で構築されています。「かんばん」は、あくまでも「ジャスト・イン・タイム」実現の手段に過ぎません。同様に「アンドン」は、「自働化」実現の手段です。また、基本思想を追求する方法こそが、5回の「なぜ」を繰り返すことになります。
メーカーに限らず、トヨタ生産方式を取り入れながらも、成果が上がらないという話をよく聞きます。多くの場合、「トヨタ生産方式=かんばんシステム」といった誤解から、表面的な手段の模倣に留まってしまっているのでは?
体系的なトヨタ生産方式の理解のために、読む価値のある1冊です。