紙の本
優れた訳で意味をおえる
2015/10/22 09:56
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タヌ様 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アリストテレスの著作の中ではかなり読みやすいものである。
だが、なんどもこのレビューにトライしてくじけている。たやすくまとめて済ますのはやってはいけない作業と思える基本書であり、これが読み通せなければアリストテレスの他著作は駄目だと思う。よって格闘しつづけるに値するとおもうのだ
細かく二回読んだ。訳はとても日本語になっており分かりやすい。訳者の注は原語と対応する日本語彙の捉え方としても必ず頭に入れておくべき。
それにしても古代ギリシャ語から日本語に訳する作業とはどれほど大変であったのだろうか。たとえば善や徳を対応させたりするのにも、どれほどの考量をしているのか、注釈を含め読み返すとその営為が見えてくるのである。
これほどのギリシャ哲学の翻訳を確立した先人頭が下がる思いである。
紙の本
成程と納得出来る読み物
2020/05/23 08:39
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
善、幸福、勇敢、中庸の大切さ、思量、節制、放埒、寛厚、矜持、正義、不正、宜しさ、知慮、智慧などについて、かなり解り易く述べられた一書です。個々の内容については相応に納得出来るものでしたので、読んでいて気持ち良かったです。特に中庸については、一々頷きたくなりました。
また訳註を読むと至る所にプラトンの『国家』が出て来ます。『国家』は以前から読んでみたいと思っていましたが、本書によって確たるものとなりました。
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倫理学を学ぼうと思ったらまず最初に必読の本。古代ギリシアにおいて最初の倫理学集成。ニコマコスが書いたのではなく、アリストテレスが書いたものを息子ニコマコスが編集した本です。
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刑法の責任論を思い出す。このあたりが出発点になっているような気がするが、連綿と繋がっているわけではないんだよなあ、これが。
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おもしろい。抽象化は哲学。これに全部詰まってる。これらの言葉を念頭に置いて倫理観を持って生活すれば人格者になれる。なりたい。結局は人間にちとって、知的活動(=徳の追求)に勝る楽しさはないんだなと思う。自分は自分がつくり上げるもの。知慮を念頭に置いた習慣行動が人格を変える。
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人間は本性上市民社会的なものにできているからである。
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人間は、
社会からその痕跡を消し去ることは現実困難である。
ところが、
ある社会では指先ひとつで一瞬にして一切を消し去る。
それに気づいたのは自ら消えてからだ。
私はもはや存在しなかったも同然である。
記憶?
記憶に残る。
いや、皆あれは夢であったと思うだろう。
夢に違いないと。
あれほどまでに一瞬にして消滅する自己。
さみしい。
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プラトンよりは断然すき。しかし倫理を語るということがいかに難しいかがわかる。
さっき読んだ数学者と芸術家の本は数学と芸術が学問の最上階にあると語っていて、アリストテレスはすべての目的を統合するのは政治だといっていて....結局大事なのは自己肯定でありナルシスト感なのか、という結論に達した。
自分がよければ、それで自分がその仕事をがんばれるならそれでいい。それがいい。
でも自分にとってもっと知りたい、その先がありそうなのは数学と生物と現代アートかな。
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改めて言うまでもなく著者アリストテレス(BC384-322)は、誰でも一度は耳にしたことのある偉大な哲学者だ。その数多くある優れた特徴のうちの一つは、「ものごと」の「分類」を細かく行なう事と、その重要性を教えてくれたことにあるだろう。本書にもそれが見て取れる。つまり、「巻」、「章」の区分が、きめ細かい。
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オフィス樋口Booksの記事と重複しています。記事のアドレスは次の通りです。
http://books-officehiguchi.com/archives/4062787.html
上巻では善・幸福・徳について、下巻では抑制と無抑制・快楽・愛について議論されている。これまで、大学の一般教養の講義で二コマコス倫理学の話題が上がっていたが、講義で二コマコスというのが人の名前であること、アリストテレスの息子であるということを初めて知った。この本は文庫本であるが、専門的な知識が要求される。専門的な知識については、私の今後の課題としたい。研究メモについてはオフィス樋口総合研究所で配信したい。
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現代社会はアリストテレスの思想を良くも悪くも反映している。
良い→世界を深く知ろうとする科学や宗教の試みは生活を向上させてきた。
悪い→現代社会。
紀元前の人なのに不思議だ。それともこれは人間がずっと変わっていないって証拠かな。
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経済学の教授が講義の中で、正義とは何かを考える上で必読の書の一つとして挙げていたのが、このアリストテレスの著作であった。
「徳」「善」等、キーとなる言葉の意味付けが、現代日本社会における意味付けと解離があるため、文脈の中でどのような意味付けで語られているかを考えながらでないと読めない。そのため意味が頭に入ってくるまでに時間がかかった。
中庸ということをアリストテレスは徳として説いているが、仏教や儒教でも「中庸」はキーとなる概念であり、その共通性が興味深い。
かのアレキサンダー大王も、師であるアリストテレスからこのような講義を受けていたのであろうか。
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授業で扱った。
初めて倫理学として成立した本がこれなら、これ以後の倫理は全部ここに帰結するのではないかと思ったほど完成されているように感じた。それ以後の倫理学を知らないので何とも言えないけれど。
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読み始めて慣れるまでは、やたらとややこしい…
ああだこうだと分類されてなかなか頭に入ってこなかった。だがもう兎に角のところ読めばいいやって通読を心掛けたらなんとか読めた。
古典的哲学書だと思ってたから敬遠してたけど、意外にも実用書ぽくってなんだか得した感じ…(^^ゞ
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「ー」
即時的に善きもの、善きもののゆえに善くあるところのもの
子供も幸福ではない
中庸は状態
法律の問題は本性が原因
ずっとニコマラス倫理だと思っていました。
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医療における善と、統帥における善とは異なり、その他の領域にあってもこれと同様である。(中略)あらゆる働きや選択においての目的であるところのものがそれである。(p.35)
それぞれ各人の「状態」の異なるに応じて、それに独自の姿で現れるところのうるわしきもの・快適なものがあるわけであり、すぐれた人間とは、おもうに、各方面のことがらにおいて真を観取することに最も卓越的であるごときひとだといえよう。彼はいわば基準であり尺度なのである。(p.127)
知慮は実践的なものゆえ、したがってそれの一般的な面と、個別的な面とが、ともに必要であり、あるいはむしろ、その個別的な面のほうが多く必要でもあろう。ここでも、しかしながら、何らか高度の棟梁的な立場に立つ認識は、やはり存在していなくてはならぬ。(p.300)