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失楽園 上(岩波文庫)
  • みんなの評価 5つ星のうち 4.2 33件
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  • カテゴリ:一般 大学生・院生
  • 発行年月:1981.1
  • 出版社: 岩波書店
  • レーベル: 岩波文庫
  • サイズ:15cm/443p
  • 利用対象:一般 大学生・院生
  • ISBN:4-00-322062-5
  • 国内送料無料
文庫

紙の本

失楽園 上 (岩波文庫)

著者 ジョン・ミルトン (作),平井 正穂 (訳)

失楽園 上 (岩波文庫)

1,156(税込)

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みんなのレビュー33件

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評価内訳

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紙の本

ミルトンの失楽園

2004/09/08 00:37

5人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:すなねずみ - この投稿者のレビュー一覧を見る

『失楽園』を読みながら、堕天使たちが神への復讐についてひどく人間的に喧々諤々の議論を戦わせる場面(→その結果、彼らは人間どもを誘惑することに決めたわけだ)に妙に力強さを感じ、魔王サターン(=堕天使ルシファー)の潔い言葉の数々にとても格好いいなぁと感じ入ってしまって、これは困ったもんだなぁ……と思わず悪魔な微笑が洩れる。坂口安吾が「堕ちよ」と書くとき、彼はこういう堕ち方のことを言ったのではあるまいか、みたいな。

盲目の詩人たちが書いたもの……といったところで、ミルトンとホメロスしか読んだことはないし、ヘレン・ケラーの『わたしの生涯』(訳者の岩橋武夫氏も盲目の人……ちなみにミルトンとかホメロスが盲目であったことを、僕は『わたしの生涯』を通読するまで知らなかった。バカかもしれない)を含めて数えてみても、わずか三冊しか読んでいない(ホメロスは『オデュッセイア』しか読んでいない)。

と書いてきて、この前テレビの深夜放送で見た木下航志(きした・こうし)くんという、15歳の盲目のジャズマン(中学3年生)の、これはもうとんでもなく清らかでまるで天使そのもののような歌声を思い出して、そのとき、スティーヴィー・ワンダーとかハーマン・フォスターとか僕の知っている盲目の天才的な音楽家たち(ブルーズ系の音楽家には盲目の人が少なくないけど、本場のブルーズはどうも苦手だ。かつてマディーウォーター=泥水?とか聴いたときには、音楽自体がとっても苦くて耐えられない感じがして、まったく楽しめなかった覚えがある。いろいろなものが無茶苦茶に混ざり合って屈折しまくって、なんとも複雑で強烈な苦味がある、たとえは悪いが裏道のポリバケツに捨てられた残飯のごとき苦さ……でも、今ならもしかすると自分なりに味わえるのかもしれない……閑話休題。)が作る音楽の揺らぐことのない力強い光について、とりとめもなく考えたりしたことを思い出す。(そういえば、ジャック・デリダの『盲者の記憶』という本もオススメ)

「盲目」という言葉で括ってしまうことが、たとえ悪意などこれっぽっちもなくたって「差別」を生み出すのかもしれないとしても、僕が木下くんのこんな言葉に、彼らの力の源にあるものが詰まっているように感じて、光が見えた気がしたのは確かだから、引用しておこう。

(「もしもこの世に音楽がなかったら?」と聞かれて…)
「創れば良いでしょ」

歌うことの歓び。なんだか道徳的な、あるいは教訓的な「喜び」みたいなものではなく、どちらかといえば、もっと身体的な感じの、どちらかと言えば哄笑とかいう言葉で表されるようなものに近いような「歓び」。

>(優雅で洗練された振舞いの持主ベリアルの言葉。彼は話術巧みで、「悪徳にかけては勤勉そのものだが、善行にかけては怠惰で臆病」な堕天使である。で、闘いたくないのである。面倒だから。)

テレビのなかの木下航志くんの、いかにも「やんちゃ」(←この言葉で表されるようなものって、今まさに死に絶えようとしているような気がする)な振舞いを思い出しながら、『失楽園』っていうのは、どっちかっていうと、あまりに人間的な悪魔たちの「やんちゃ」な振舞いに呵呵大笑しつつ読むのが本筋なのかもしれないと思ったりする。

「私たちは言葉という光を持っている。私たちは誰も闇の中には住んでいない」(『奇跡の人』より)

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モダーン神話

2014/04/05 19:30

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

アダムとイブが楽園を追われた時、しかし人間は祝福されていたと天使は説く。その罪により子孫には幾多の苦難が待ち受けているが、生きていく価値があるのだと。17世紀人である作者ミルトンの知識と意欲の限りを尽くして、ノアの洪水もモーゼの脱出も、創世期から未来を見通したビジョンとして描かれる。
だが彼らがサタンの計略に落ちて、創造における目論みから逸脱したことにも違いない。さらにミルトンは隠遁したガリレオにも知遇があって、地動説の存在も知っていたらしく、その宇宙像に基づいて人間世界=地球の位置付けもなされている。地球が動いているのか太陽が動いているのかという質問に、天使はそういう疑問を持ってはいけないと答える。
はたして人間に課された世界は、光に満ちているようでもあり、どうしようもなく窮屈なようでもある。全体の表現はあくまで輝きの部分を強調しており、当時の世界観に深い洞察を加えることで、より壮大壮麗なものに進化させて見せたといえるかもしれない。
そして堕天使を天から追放するための徹底的に無慈悲な戦争を真似て無数の聖戦が遂行され、美しきものを賛美することで差別が生まれた。そういう光も影も飲み込んで、壮大な伽藍を建築したわけで、それはそれで面白いとも言える。サタンの戦いは果てしなく続くだろうし、本当の勝利がどちらに訪れるのかも今は分からない、終わりの無い物語であることも滲ませている。
いずれにしろ古典的な神話はこの作品でスケールを巨大化し、時空の様々なレベルにまで触手を伸ばした。歓喜も増大し、同時に憎悪も世に満ちたろう。その時代における叡智も愛もエスプリも無数に詰め込んで、誇張し、疾走する作品世界。有限の視界を果てしなく広げ、無限の世界が眼前に現れてくる瞬間を味わうことができる。

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2004/10/24 21:59

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2004/10/22 16:35

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