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紙の本
意外性の作家
2001/12/28 00:31
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投稿者:本田亮司 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アイディア自体は単純なものであるが、処理の仕方は巧妙で絶大な効果を挙げている。小松左京は解説に措いて、執拗なまでに描かれる「歴史としての“生活”ディテイル」を再構成することが本作の主眼であると指摘している。そういう読み方は可能であるし、間違ってもいないのであろうが、それでも私はそれを意外性の演出のための戦略と捉えたい。構成・ディテイル・人物造形・献辞に至るまでもが意外性に奉仕しているという読みかたは、決して突飛なものではないはずだ。焦点をずらすことで意外性を演出するという手法が、これほど鮮やかに着地を成功させている作品を他に思い出すのは困難である。
思えば広瀬正という才能は、意外性に拘り続けた作家ではなかっただろうか。都会ッ子の著者が選択した「凝る」ものとは「時間もの」でもオーディオでも歴史でもなく、意外性ではなかったか、そんな思いを抱かせる傑作だ。