紙の本
ペロー童話の原典。
2002/07/13 17:48
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
グリム兄弟やアンデルセンよりも早く童話を発表した、フランスのシャルル・ペロー(1628〜1703)の童話集。「ろばの皮」はグリムの「千枚皮」、「親指小僧」は「ヘンゼルとグレーテル」に似ている。親指小僧はヘンゼルとグレーテルよりも狡猾で、人食い鬼に我が子を殺させ、人の良い人食い鬼の妻を騙して財宝を巻き上げる。ペローだけでなく、昔の人間は弱者への配慮などというものは希薄だから、童話というよりも大人を相手にしたブラック・ユーモアのように感じてしまった。女性差別的な表現も勿論ある。昔話でも子供の為になるものもあるだろうが、昔しか通用しない話を現代の子供に適用する必要はあるまい。現代の女性は社会で生きていかねばならないのだから、奥ゆかしくなどしてはいられない。現代女性こそ甘えは通用しないのである。
「赤ずきんちゃん」は、赤ずきんが祖母の血肉を食べたり、狼に言われて服を一枚一枚脱ぐシーンなど、残虐だったり性的なイメージのある部分が省かれたものが掲載されている。それでも童話の真実を知りたいのなら、原典にあたるのが一番だろう。
紙の本
韻文と散文の両方で
2023/04/08 18:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
グリム童話よりも古いというので、
繙いてみた次第です。
有名な青ひげの話も収録されています。
でも、韻文の部分にヮ、
なかなか馴染めないのですよね。
物語世界に入っていけないというか。
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シャルル・ペローが、17世紀に、それまでに伝わっていた民間伝承をまとめて、物語の形でわかりやすく書き残した童話集。
有名どころでは、「サンドリヨン(シンデレラ)」「長靴をはいた猫」「赤ずきんちゃん」「眠れる森の美女」などの童話が収められている。
民間伝承というと、マザーグースのような、意味がわかりにくい、ちょっと不気味な感じがするものかと思っていたけれど、この童話集は、シンプルすぎるくらいにわかりやすい話しばかりだ。
話しの中には、人を食う王妃や、自分の家の地下室で何人もの妻を殺している男など、色々ととんでもない登場人物は出てくるけれど、そういう人物は結局、退治されることになる。
この童話集は、それぞれの話しに作者による「教訓」がつけられていて、要するに子供に聞かせることを一番の目的としているので、基本的には勧善懲悪のストーリーになっているんだろうと思う。
唯一の例外が「赤ずきんちゃん」で、一般に知られている物語は、最後には猟師が狼の腹を裂いて赤ずきんちゃんは助かるというハッピーエンドなのだけれど、それは、オリジナルのストーリーに後からマイナーチェンジを加えたバージョンであるらしい。
この、ペロー版の物語に添えられた教訓は、「誰にでも耳を貸すのはとんだ間違い」。結構すごい結末になっている。
「サンドリヨン」の教訓
美しさは女性にとってまれな財産、
みな見とれて飽きることはない、
しかし善意と呼ばれるものは、
値のつけようもなく、はるかに尊い。
これこそ名付け親がサンドリヨンにさずけた賜物、
熱心に仕込み、教育したので、
ついに王妃にまで仕上げえた次第。
(この物語の教訓はこうしたものだろうか)
美しいかたがたよ、この賜物は、美しく髪を結うことよりはるかに大事、
男の心を惹きつけ、目的をとげるには、
善意こそ仙女の真の贈物、
それなくしてはなにも出来ず、それあればすべてが可能。
もう一つの教訓
間違いなく有利なことは、
才知と勇気、家柄と良識、
神よりさずかった天賦の
その他もろもろの才能に恵まれること。
しかしそれらを持ち合わせても無駄なこと、
出世には何の役にも立たぬ、
もし、それらの才能をいかす、
名付け親の代父や代母がいなかったなら。(p.222)
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長ぐつをはいた猫の教訓
1
一見役に立たないと思うものにも大きな価値がある
2
人は見た目をきれいにしておくべきである
シュールです。
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ペローは天才です。文句なし。だいすき。
教訓等々も読め、処女を守り通すべきと気付き始めた女性に是非。
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大人が読んでもおもしろい。教訓付き。
17世紀のフランスで書きとめられた物語。
「眠れる森の美女」
「赤ずきんちゃん」
「青ひげ」
「長靴をはいた猫」
「シンデレラ」
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日本でも有名な童話、赤ずきんちゃん、眠れる森の美女、長靴をはいた猫などおさめられた作品だけど、子どものころ知っているストーリーと違うとこもあって面白い。幸と不幸の振り幅によって、多くの教訓を語っているし、改めて読んでも新鮮さなため、大人が読むべきかも。
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唯一子どもを意識して書かれた、収集された中でたったひとつ不幸な結末を持つ警告の物語「赤ずきんちゃん」。
百年の眠りから覚め、王子と結婚した王女の物語には、まだ続きがあった「眠れる森の美女」など、各地に伝わっていた昔話の伝承、口承を集めての再話。詩人でもあったシャルル・ペローによる当時の宮廷や社会への風刺、教訓も加味された、時に児童文学、時にフォークロアとも言われる17世紀、民間伝承に材を得てまとめられた『ペロー童話集』。
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「グリゼリディス」
とりわけ幼き少女に対する教訓に溢れた
世界最古といってよいこの童話集の中で
一際輝き私を掴み離さないのがこの短編
心が清められ誇り高い気分にさせてもらった私は
読みながら踊りだし跳ね回ってしまうほど
この訳本で綴られた日本語で
世界の子供たちに読み聞かせたい
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前半の「韻文による物語」は、読んでいてだらだらしていて冗長な感じがしたけど、思ったより楽しかったと思う。このような散文調は特に何も考えずにすいすい音を楽しむような感じで読めるので気持ちよかった。
後半は「眠れる森の美女」「サンドリヨン(シンデレラ)」など有名な話ばかりだったが、読んだ感じは、こんな文章なんだなと言う感じだった。もっと綺麗な文体のような感じがしていたが、それは訳の問題だろうか。しかし、これらの物語の後に、教訓が述べられているのは面白かった。そのように解釈するんだなと言う感じで、文学の研究っぽかったけど、語り口調で発言者が絶対的な感じだった。文学の研究者でもそのような人が多いが、教訓にしてももっと謙虚に述べるべきじゃないかと思う。まあ、この童話の場合は子供向けも考えて、発言者の威厳って物が必要なのかも知れないが。
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グリゼリディス
ろばの皮
愚かな願いごと
眠れる森の美女
赤ずきん
青ひげ
長靴をはいた猫
仙女たち
サンドリヨン
巻き毛のリケ
親指小僧
が収録されています。
馴染み深い話ばかりで読みやすいです。
グリゼリディスは男性の思い描く理想的な妻を描いている作品ですが、現実にはそのような女性は存在しないでしょう。
私はこんな大掛かりな嘘をついてまで愛を確かめようとする夫と結婚したくありません。
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ペロー作品を換骨奪胎した小説や漫画を読んで、
元ネタを改めて確認したくなったので購入。
17世紀フランスで
太陽王ルイ14世の財務総監を務めたコルベールに認められ、
王に仕えたシャルル・ペローが、
韻文で書いた物語をサロンで朗読し、出版、
続いて散文の童話を上梓――それらを束ねた作品集。
民間伝承を纏めて教訓を加えた内容だが、
その頃の上流階級のサロンで発表されたものには珍しく、
子供を意識してわかりやすく書かれていたという。
後世の文学者がツッコミたくなる箇所が
多々あったというのも頷けるが、
子供に向けて「聡明」「上品」「控えめであること」こそ美徳、
と説いたのは間違っていないと思うし、一読して、
女性に過剰な要求をする愚かな男を「ねえ、バカでしょう(笑)?」
といった調子で描いているように受け取れるので、
当時としては、
かなり進歩的な考え方の持ち主だったといえるのではあるまいか。
ちょっと驚いたのは「赤ずきんちゃん」。
日本ではグリム版がポピュラーなので、
結末の違いに絶句してしまった。
それにしても「ねこ先生」は賢くてかわいくて堪らんにゃあ(笑)
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口承されてきた人々の物語をまとめたという点でたしかにペローの業績は先駆的だったのかもしれない。シンデレラや赤ずきんちゃん、眠り姫、ロバの皮…どういうわけかどの地方においても、細かい違いはあれど、物語の形は似通っている。時間や生活環境の違いに応じて、様々な形を見せる。
ということは、こうした物語を語り継ぐひとの心は、こうした物語を求め、なおかつ、この物語がひとの心に深く溶け込んでいるということが考えられる。
ペローの業績は、こうしたひとの精神の欠片を調査し集めただけではないように思える。彼は、こうした物語の原形を探ることではなく、こうした欠片たちを、フランスという国のひとの心に沿って語りなおしたところにあると思う。
ボーモン夫人の『美女と野獣』もそうだが、フランスの心性というものは、ひとが為す行動とそれを為すひとの姿形というものに対して鋭敏な反応を見せるように思える。ひとの好意を得るにもまずは服装・身なり・お化粧。それに加えて、気の利いた社交術に一途な思い。こういったものがなければ報われることもないし、誰からも愛されない。
因果応報というものは、何か物事を為してからしか自身の行動を見直せないひとの在り方であるが、この因果応報というものこそ、ある種の習慣をはぐくみ、ひとの行動をコントロールする規範となる。
ある意味、フランスというのは、こういう因果応報を共同で信じて暮らしてきたそういう集団のことなのだと思う。
姿形にひたむきな姿勢というスタイルを維持するための因果応報のモラル意識。宗教というものがどこか、形式的で政治的な感じがするのは、宗教や芸術そのものが目的ではなく、手段であるからだと思う。
序文にも書かれているが、子どもたちは、こういう物語を吸収し続けて学んでいく。物語に書かれていることが正しいかどうかは問題ではなく、物語から学べるのは批判意識だと、池田某は言っていたが、フランスでは、こうした物語を通じて自身の行動やスタイルを吟味していく。フランスの物語はどこまでも教育的なものであった。
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現代にも伝わる様々な童話の原作にもなっているペローの作品たち。
ダークさを残した原作の良さがあり大人でも楽しめる物語ばかりです。各童話の最後にペローの教訓が書かれ、風刺の利いた小気味よい一冊となっています。
『グリゼリディス』
最高の女性を妻に迎えた大公は、いつしか妻の完璧さに怯え非道な仕打ちを与え続ける。
グリゼリディスの汚れない美しさと、夫も他人をも思いやる優しい心。そんな彼女に甘えきり傍若無人に振る舞った大公。大公は弱い人間としか思えず同情は感じられません。グリゼリディスにとって必要な試練だったのでしょうか…?
『ろばの皮』
亡くなった王妃より一層優れた新しい王妃を選ぶことにした王。その相手はなんと…!読むと『かぐや姫』と『シンデレラ』の要素に気づきます。そして若き王女の“ちゃっかり”した小細工や華々しい登場シーンにブラボーの一言。
『眠れる森の美女』
絵本ではなく小説として読んだのは初めて。
100年眠っている王女のもとへ王子が一歩ずつ近づくシーン、目覚めた喜びを表したシーンは活字だからこその美しさがあります。しかしその先には、めでたしめでたしでは終わらない関門が待ち受けていました。なかなか衝撃の展開です。
『赤ずきんちゃん』
こちらはたった4ページ。ここで終わるの?!というラスト。
『青ひげ』
好奇心は命取り。
『ねこ先生』(長靴をはいたねこ)
無双ねこ。人は見た目に騙されやすい。
『サンドリヨン』
シンデレラのフランス語表記。今に伝わる『シンデレラ』とさほど違いはありません。
『巻き毛のリケ』
醜いが知恵のある巻毛の王子リケ。隣国の王女たちは、美人だが賢くない姉と、賢いが美しくない妹がいた。美しい姉は特殊な能力を手に入れるが…。恋は盲目。盲目はある意味幸せ?
上記以外の作品:『愚かな願いごと』『過ぎし昔の物語ならびに教訓』『内親王様(マドモアゼル)へ』『仙女たち』『親指小僧』
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ブログ更新:『完訳 ペロー童話集』
http://earthcooler.ti-da.net/e9291101.html
「おばあちゃん、なんて大きな歯をしているの?」
「お前を食べるためさ」
そして、こういいながら、この悪い狼は赤ずきんちゃんにとびかかって、食べてしまいました。