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著者 桑原 博史 (全訳注)
おとぎ草子 (講談社学術文庫)
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評価内訳
2016/02/23 14:54
投稿元:
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一寸法師 道成寺縁起 横笛草子 鏡男絵巻 鉢かづき 長谷雄草子 猫の草子 その話の解説→本文・現代語訳・語釈・解説。 話を知っていても読んだことがなかったのもあったので読んだ。 「御伽草子」は通説全23編。
2011/05/15 19:50
室町時代を中心に栄えた絵入り散文作品から七作を収録する。原文と現代語訳、語注があって大変読みやすい。古文が苦手な人は現代語訳だけを読んでもよい。 『一寸法師』『鉢かづき』は現代でも「おとぎ話」「昔話」として出版されることもあり馴染みがあるが、『長谷雄草子』『猫の草子』は目にすることは少ないだろう。 なかでもわたしが興味を抱いたのは『鉢かづき』で、その意外なほど官能的な表現に驚いた。 鉢かづきは助けられた三位中将の屋敷で湯殿の火を焚く仕事に従事する。湯殿で湧かした湯を桶に移して行水のように湯浴みをするようだ。というのも、鉢かづきが「お湯、移し候」と湯を桶に移したり、「お行水」と湯を差し出したりするからだ。 さらに、「御湯殿して参らせよ」と御曹司に促されて背中を流しに行ったりもする。鉢かづきは元々は侍女にかしずかれて暮らした上層の姫であるから、こうして男の背を流すのは屈辱的であろうが、これも「主命」と従うのである。しかしそこで彼女の手足の美しさ、立ち居の優雅さが御曹司の目に止まり、愛されるきっかけとなるのだからこれも素直さを婦徳とすることの表れかもしれぬ。このとき、背中を流すために、きっと袖も裾もまくっていたのだろう。その白くしなやかな手足に御曹司はぞっこんになった。京の都にもこれほどの佳人はおるまいと、その場で愛の契りを交わすのである。 さて、この契りの場とは湯殿である。家族の皆が使用し、早朝も深夜も人の出入りがあって湯を催促するという、まことに忙しないところである。何も折角の初夜を、こんなところでせずともよかろうに、と思うのは現代人の感覚だろうか。ともかく、ふたりの逢瀬の場はこの湯殿に限られているのだ。 そして、この湯殿での契りのあとの鉢かづきの風情がなかなか色っぽい。 「今より後はかの鉢かづきは軒端の梅に鶯のまだ離れぬ風情して、かく返事【かへりごと】とも宣はず。」P183 「こうなった後はあの鉢かづきの姫君は、軒端の梅にうぐいすが離れずにいるように男君に無我夢中で、なにか返事をおっしゃることもできないでいる。」P185 『源氏物語』での源氏と紫の上の初夜の翌朝の初々しさとは違って、御曹司にぴたりと寄り添いながらも、何を問われても返事も出来ないでうっとりと身を任せている鉢かづきの姿が目に浮かぶ。 また、新枕の恥ずかしさをこう表現する。 「その時いとど恥かしさは、やる方もなし。(略)あるに甲斐なき有様にて、見えぬる事の恥かしさよ」P190 「話はもどって二人が結ばれたその時の女の恥かしさはどうしようもないほどであった。(略)こんな生きていても甲斐ない有様で、みすぼらしい姿を見せてしまったことの恥かしさよ」P192 思えば鉢は外れないのだ。頭に鉢を抱いたまま、着物をはだけて契りを交わす姿はみすぼらしいというより滑稽なのだが。 御曹司の、鉢かづきへの情愛の細やかさもこの草子の見所のひとつである。初夜の後、御曹司との契りの将来をはかなんで悲しむ鉢かづきに、御曹司は 「暮れなばやがて参りなむ」P185 「日が暮れたらすぐやってこよう」P187 と約束をして、その証しとして黄楊の枕(これは新枕の意であろうか)と横笛を鉢かづきに渡すのだ。受け取った贈り物を置いておくところがなくてどうしようと鉢かづきが戸惑うところなど、妙なリアリズムがあって面白い。 夜になったら来るからねと枕を女に渡すということは、翌晩も共寝をしよう、と告げているのと同じであるし、鉢かづきがそれを受け取ったということは了承の返事の代わりである。(わたしは某TV番組のYes,No枕なるものをうっかり連想してしまった) そしてその翌日、ようやく暮れ始める春の夕暮れ、宵の間を過ぎて暗くなってきて、いつ来るのかと御曹司を待ちわびる鉢かづきの心中の切なさが可憐で美しい。約束の枕と笛を胸に抱いて、思わず不安を歌にくちずさむと、華やかな装束に身を包んで湯殿へやって来た御曹司が永遠の愛を歌にして返す。このあたりの劇的な展開はまるでミュージカルのようだ。 いずれ二人の関係は皆の知れるところとなり、別れよと周囲から責められるのであるが、御曹司は一向に別れる気もなく反って堂々と「終日【ひめもす】鉢かづきがもとにこそ居給ひける」P199 という有様である。そして鉢かづきへの愛を周囲に宣言すると、「いよいよ人目をも憚らず、朝夕通はせ給ひける」P199 となる。 いまだ湯殿係の鉢かづきの元へ通っているのだから、まだ逢瀬は湯殿で展開されているのだ。これでは家族もおちおち風呂にも入れないだろうに、男が女の元へ通うというのはそう簡単に破ることの出来ぬ習俗だったのだろう。 その後は、もう屋敷に居られないと二人で出て行こうとしたら鉢が外れ、中から財宝が出てきて、嫁比べにも見事勝利し、御曹司は総領となって富貴を極め、子宝に恵まれて幸せを掴むのである。そのお礼参りに長谷寺へ参ると鉢かづきの父親と再会し、実は鉢かづきは交野の備中守の娘であったことが知れるのである。 このあたりに中世的価値観が色濃く表れる。 まずは女の外見の美しさである。顔が見えねば手足や立ち居の美しさが必要なのである。 次に財産である。嫁比べに買った要因はなんと言っても鉢の中から出てきた財宝にある。 そして地位である。どんなに美しくて資産家であっても、生まれが卑賤ではヒロインにはなれぬ。 この、地位に対する強い拘泥は「一寸法師」にも見られる価値観でもある。これは庶民に生まれたからには決して手に入らぬ「高貴な生まれ」という属性に対する飽くなき憧れの投影に他ならないだろう。 さらに、「一寸法師」もそうなのだが、ひととおりの事件が終わってから、「実は高貴な生まれでした」と発覚するという展開が特徴的だ。ここに庶民の儚い夢―もしかしたら、自分もどこか高貴な人の『御落胤』かもしれぬ―が見えるように思うのは穿ちすぎだろうか。
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