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紙の本
英語の勉強に飽きたときなど,片手間に読むのには最適
2003/07/21 00:17
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BCKT - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は1923年(鹿児島県)生まれ。(旧)東京文理科大学卒業(現在はどこ?)。独協大学教授(当時)。著書に,『英和笑辞典』(研究社),『英語笑辞典』(光文社)など。訳書に,ビアス『悪魔の辞典』(こびあん書房)など。手許のは88年版(15刷)。手堅く売れつづけている。著者43歳時の作品。
要するに,熟語小事典の「小」の字を「笑」に代え,諧謔と皮肉と差別に溢れた例文が添えられている辞典。というより,著作。普通の辞書をひくように,ひけるわけではないから(もちろん,ひくのは自由だが)。とうぜん配列は,一般辞書と同じくアルファベット順。
「Virtue would not go far if vanity did not keep it company.」(もし虚栄がお供をしなければ徳も多くを成し遂げまい(La Rochefoucauld,86-7頁))
とか
「Life is one long process of getting tired.」(Samuel Butler,484頁)
は,皮肉な諧謔。
「When a woman becomes a scholar there is usually something wrong with her sexual organs.」(Nietzsche,533頁)
などは典型的な女性差別だが,ニーチェ(とその時代)の女性観の一端を伝えているという点でも面白い(ニーチェは恋に思い込みが激しく,初恋の女性に告白もできず,独りオナニーでもしてたような生活を送ってたらしい)。女性学者の女性器を見たことがあったんか?と突っ込みを入れたくなる。
「He who can, does; he who cannot, teaches.」(できる者は,する。できない者は,教える(Bernard Shaw,463頁))。
“目指せ東大!”などと叱咤しながら教壇に立つ受験校の三流大卒の教師や理論を説く大学経済学者,結果が出てからしか評価できない評論家などには,これは不愉快で笑えないだろう。経済学と言えば,「It’s called political economy because it has nothing to do with either politics or economy.」(Leacok,327頁)などという茶化しもある。
「The first mistake in public business is the going into it.」(公共事業の最初の誤りは,それに入ることである(Benjamin Franklin,197頁))とあるが,これは史上著名な政治家=フランクリンである以上,「public business」は「公共事業」ではなく「政治活動」と解釈すべきはないだろうか? そう解釈すれば,「the going into it」も「政界に入る」と解釈でき,平仄が合うような気もする。決定的な誤訳としては,「surgical operation」が「外科手術」と訳されている点(337頁)。別宮貞徳氏なら,“じゃあ,‘内科的手術’というものが存在するのか?”と言われそうなミス。
「イギリス人にとって,clever(りこうな)といわれるのは最大の屈辱である」(345頁)なんてのは知らなかった。経済決定主義者としてちょっと?だったのは,歴史上初の経済学体系=『国富論』の有名な件。「Man is an animal that makes bargains; no other animal does this ------ no dog exchanges bones with another.」(Adam Smith,148-9頁)。ここは笑うべき箇所だったんだろうか? スミス研究者で,これを可笑しみの記述として解釈している人がいるんだろうか?
出版物としては,索引がないのが最大の欠点。つぎに,著作末にでも,例文が採用された著名人の一覧表(と簡単な紹介)でもあって然るべき。誤植もあったが,20年以上も放置されている。