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日本の内幕 (徳間文庫 ノンフィクション選集)
ノンフィクション選集1/日本の内幕
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紙の本
何でも暴く
2010/12/03 22:35
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは梶山季之のノンフィクション=ルポルタージュ集だが、トップ屋時代ではなく、既に流行作家として多忙を極めていた昭和40年に連載したもので、その鋭さは衰えていないどころか、喰い付き具合を増しているようにさえ思える。
題材はまず「S・ドラゴン作戦」この少し前に暴露されたという「三矢研究」は第2次朝鮮戦争を想定したシナリオだったそうだが、これは米中または米朝戦争が行われた場合に自衛隊が米軍とどのような協同歩調をとるかという研究なのだそうだ。これへの梶山の批判は二つある。一つは、日本が米軍の後方支援基地となることで、日本への核攻撃の危険性があるということ。しかしそれは安保条約で基地を貞享している以上は避けられない話。もう一つは実は自衛隊は補給が十分でないということ。装備だけ立派な張り子の虎というのは、帝国時代の日本軍を思わせるが、現在ではそれが解消されているのかは知らない。そして暗に語られるのが、こういう機密が簡単に漏洩する防衛庁の体質であって、なんとこれは40年後の現時点でも明らかに解消されていない。
続いて昭和40年に調印された日韓基本関係条約の裏にある「韓国海苔」輸入に連なる利権について。さらに政界人脈や、経済援助の利権やら、出るわ出るわきな臭い話のオンパレード。むろん条約締結に異論のあるわけでもないわけだが、つまりやるならちゃんとやれということである。
赤坂やら銀座やらの、当時の政治家御用達店のレポートは、表では語られない派閥、人脈から、それぞれの趣味、嗜好まで現れてきて面白い。
医学会の学閥の移り変わり、これは東大、それから慶大、九大と一極集中から次第に拡散していっているわけで、やはり学閥ってあるんだなあと思いつつ、明治以来で少しずつ変わってきている実情は、弊害も残っているにせよ、意外と(?)関係者は誠実なんじゃないかという気もする。
七大新興宗教の経済力というのは面白い。外野からはうさん臭いと思われている部分が、当事者にとってはそれが誇らしい実力の現れであるというギャップ。そしてやはり驚くべきその資産。
競輪・競馬界の内部でのお金の流れ。
そして官僚の予算無駄遣いの実態。無味な外郭団体の山。ううむ、2010年にこういうのを読むのも感慨無量。
国有財産払い下げの実態。この当時はまだ旧軍使用地などがかなり残っていて、まあ、なんぼでもあるのでかなり適当にやってたということらしい。
これは珍しい社会党内の派閥の解説。なんつうか、セクト、イデオロギーの対立なんで、のっぴきならない。
梶山ノンフィクションには、なぜか40年後に読んでもまったく古びないという不思議さがある。