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紙の本
日本探偵小説全集 10 坂口安吾集 (創元推理文庫)
著者 坂口 安吾 (著)
戦時中、犯人当てゲームに熱中し、古今東西の探偵小説を読破していた安吾が、満を持して発表した『不連続殺人事件』は、読者に挑戦した堂々たる本格巨編である。さらに結城新十郎と勝...
日本探偵小説全集 10 坂口安吾集 (創元推理文庫)
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商品説明
戦時中、犯人当てゲームに熱中し、古今東西の探偵小説を読破していた安吾が、満を持して発表した『不連続殺人事件』は、読者に挑戦した堂々たる本格巨編である。さらに結城新十郎と勝海舟を主人公とした『明治開化安吾捕物帖』や「アンゴウ」等数々の短編において、見事な探偵作家ぶりを発揮している。中島河太郎編の著者略年譜を付す。解説=都筑道夫/挿絵=高野三三男【本の内容】
収録作品一覧
風博士 | ||
---|---|---|
不連続殺人事件 | ||
アンゴウ |
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収録作『アンゴウ』
2001/04/12 00:54
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:気難し屋のくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
坂口安吾は文学青年なら高校時代に一度は通り過ぎる作家で、アンゴだのダザイだのと言ってみたくなる時期のものだと思われているようだ。坂口安吾の小説が「上手い」とか「完成されている」と言われることはない。つまり青臭さがのこる類の小説なのだ。観念的で、破綻ばかり。物語ることなど彼にはできない。その前に自分自身が走りきってしまう。現代において「青春」と口にすることの恥ずかしさと同じような恥ずかしさが、この作家を語る傍らにはあるようだ。
しかし作品などくそくらえ、生きてることが全部、とことん落ち抜くことを命題にしたのは彼だ。文章の一行一行の美しさや描写、人生の眺め方に目的はない。書くことで(書き終わることで)そこに何が現れてくるか、ただその光景だけが彼の生きる糧だったのではないだろうか?
『アンゴウ』は彼のアンソロジーにはあまり取り上げられることがないようだが、この短編には力があると思う。この短編は小説というよりも論理学の問題のようである。世界とは何であるのか、もし答えがわれわれにありうるのならば、このようでしかありえない、と私は思う。そしてそれは観念の中で憔悴しながら生きていた坂口安吾の日々の、繰り返し行き着く「ゆりかご」ではなかったか?
この短編を読むためだけでも、買う価値はあると考える。