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紙の本
艶かしい…。
2003/07/31 19:01
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投稿者:オレンジマリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
瞳美とえり子、親友同士なのに互いに見えない凶器を持つ。意識のし過ぎでコンプレックスと化した瞳美のえり子への思い。可憐で艶かしい女の子の物語。
纏足、私はこの言葉の意味を考えた。中国皇帝が纏足制度を敷き、成長期の少女たちは無理矢理足の成長を封じた。それは、とても痛いのだという。考えるだけでも鳥膚の立つ制度だ…。一度、その時代を生きた中国人女性たちをテレビで観た。本当に足が小さい! 小さければ小さいほど美しいという。うちにある台湾土産の人形が履いているような靴を履き、重心が乱れたらあっけなくことりと倒れてしまいそう。
それを知ってから、どうしてもこの本を忘れる事ができないでいた。つい先日も古本屋へ行った時、無意識に本書を探していて驚いたものだ。「風葬の教室」が無かった事に落胆してレジに本書を持って行く。
この頃の詠美さんは、絶好調だったと言えよう。途中勢いを欠きつつあったが青春小説「PAY DAY!!!」で復活。この調子で頑張って欲しい。
本題に戻るが、本書は瞳美の視点から語られている。えり子の朝日を受けた影を踏む毎日や、えり子の言う「親友」の意味。時折ふつふつと湧きあがるきんと刺すような恐怖心。えり子から逃れたいともがき苦しむ瞳美に同情しながら感慨深く読み進められた。
うまく表現できないけど、瞳美の激しい懇願と嫉妬、えり子の正気の沙汰とは思えない執着がねっとりと絡まっている。結局太刀打ちできない、ただ泰然と微笑むえり子を、やっぱり怖いと思った。甘ったるい空気の中、自分の後ろに縛り付けようとする主人(えり子)と、従順な家来(瞳美)が痛い。
蝶々の纏足、これ以上的確なタイトルは今のところ探すことができないでいる。
紙の本
BEAUTY
2002/03/03 07:32
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投稿者:MITU - この投稿者のレビュー一覧を見る
美しさというものを求めるのが人間の常ならば、自分の近くに美しさがあるのは好ましくない。美しさの名の元に心を支配されていく主人公「私」は、えり子の魅力に翻弄されながらも、自分というものを頑なに固持しようと、麦生と日々を共にする。快楽だけがえり子の持たないものであり、私の持ち得る特権だから。少女がもつ、頑固なまでのセックスへの欲求と憧れを、等身大の世界観でみつめつづけた作品。快楽は、私自身を楽しみ、いじめ、独りにする…。山田詠美のシュールな一冊。
紙の本
「大きすぎるものを呑み込もうとするからよ」
2002/06/30 12:49
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投稿者:白井道也 - この投稿者のレビュー一覧を見る
幼なじみの瞳見とえり子が主人公。えり子は絵に描いたように美しくて、自分をかわいく演出する術を知っている。瞳見は、そんなえり子に好悪の入り混じる複雑で屈折した感情を抱きながら、えり子を含む周囲の青臭い恋愛観に辟易し、男の体に興味を覚える自分が大人だと思っている。
という設定が、何と言うかすべて作為的に思える。瞳見の恋愛観は山田詠美の思想そのものだし、えり子の青臭さも、山田が瞳見の言動こそが大人びてまっとうなものであるということを引き立たせるための道具にしかなっていない。
書評タイトルは、小鳥を飲み込むことに失敗したヘビの死体を見たときに、瞳見がつぶやくセリフ。このセリフも唐突で、何かを象徴させようという意図がミエミエ。