紙の本
旧い訳文の味わい
2020/08/13 08:45
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投稿者:弥生丸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第一部ファンティーヌから、第二部コゼット第一編ワーテルローまで。原書から転載された挿絵が豊富。挿絵のおかげで、特にワーテルローの状況が分かりやすい。
旧い訳には、現代の訳とは違った味わいがある。中には驚くような訳語もある。修道尼を童貞さんと呼ばせたり、娼婦の蔑称「じごく」が不意に出てくるなど。これらの言葉を敢えて改変せず載せてあるのは有難い。差別語も含め、翻訳された時代の空気を感じることができる。
『レ・ミゼラブル』は多くの文学者によって翻訳されている。様々読み比べてみたい。
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読破に挑む
2020/04/21 18:33
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
ジュヴナイル版の「ああ無情」しか読んだことがなかったために、完訳バージョンの壮大さに圧倒されます。長い旅に出るような気分で読み進めていきたいです。
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昨年の夏からのろのろと進めていた再読がやっと終了。フランス革命後のナポレオン期から王政復古、そして七月革命を経た1830年代の学生蜂起まで、ジャン・バルジャンの生き様とユゴーの言葉を通して描かれる「ミゼラブル」な人々の物語。壮大で、かつ綿密で、ドラマとしてだけでなく当時の市民社会の記録としても深い内容を持ったこの作品は、まさしく読み応えのある名作であり、読む度に新鮮な刺激と感動を受けます。ただ単に、「みじめな人々」の象徴たるジャン・バルジャンという男の魂が練成されていくだけの物語ではなく、近代社会や政治についての考察、青春や美や愛の美しさ尊さに寄せる詩情、読者へ語りかける口調でユゴーが丁寧に綴る言葉一つ一つが、数度の再読を経てなお、新しく響いてくる、そんな名作。全四巻。
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最初に「岩波ジュニア文庫版」で読んで、あまりにも面白かったので
これは普通の文庫で読まなくては!と思いまして、買いましたが何年経過したでしょう。
読み応えあるのですが、その時の文化・風俗・歴史も合わせて知れることになり、とても時間がかかりました。
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この本がきっかけでミュージカルが好きになりました。
本も面白いけど、映画やミュージカルも面白い。
私は映画の最後の終わり方が凄く好きです。
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子供の頃からの愛読書。
囚人としての過去を背負いながらも、『マドレーヌ市長』として市民の尊敬を集めていたジャンバルジャンが、なぜ本当のことを言ったのか。30歳を過ぎて、ようやくわかるようになりました。
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読み終わるまで長くかかってしまった。つまらないとか、面白いとか、そういうことではなく、長い時間をかけてこの本を読み終えた。ジャン・バルジャンという1人の男の人生を一年という時の中で見つめた。
100年前も200年前も、人の営みは変わらない。苦しい、悲しい、辛い、我慢ができない、そして嬉しい、愛おしい、守りたい。気持ちもまた変わらない。
何百年と時を超える作品というものは、永遠不変の神秘に私たちを導いてくれる。物語というのは、人をそういうところへ連れていくべきものであると思うし、いや、べきと思う。コゼットを愛おしむジャン・バルジャンの哀切、小さな黒い服を抱きしめて涙にくれるジャン・バルジャンの姿に、私でない他人の人生の凄みに圧倒された。これが人か、人生か、1人の男の人生でしかないが、これが人なのかと。
書物は100人の知己に勝る。
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飢えた家族のためパン一切れを盗んだジャン・バルジャンは投獄され、脱獄を繰り返し、19年の刑期で仮出獄となり、そのまま身分を隠して逃走する。
人を信じられなくなったジャン・バルジャンを神の愛で包んだ神父、男に逃げられ娘のために娼婦になったファンティーヌ、ファンティーヌの子コゼットを預かりいじめるテナルディエ夫妻、コゼットとその恋人になるマリウス、マリウスが身を投じる学生運動家たち。そして逃亡したジャン・バルジャンを執拗に追い続けるジャベール警部。
作者がその時代を書いているので、歴史背景から学生たちの議論、フランス地下道の説明、バルジャンが成功させた産業の説明などでかなりのページを割いていたり、人々の暮らしが読み取れて興味深いです。
小説としても面白くて深い。ラストではバルジャンのあまりのストイックさにボロ泣きしながら読みました。
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小学生の時に岩波少年少女文庫で読んだきりだったのできちんと読もうと思って読み始めました。
この作品のミュージカルが好きなので大まかなストーリーは知っていましたが、舞台では描ききれない細かな内容や描かれていないエピソードなどとても興味深かったです。特にジャベールの性格や生まれについては納得する部分が多かったです。というのも彼の性格が最後の自殺につながるのだなと改めて実感しました。初めて舞台を見たころはそれがなかなか理解できなかったので…他にもプティ・ジェルヴェーの事件や、司教に助けられた時のヴァルジャンの感情の変化、裁判所へ行くまでの葛藤など、細かな感情の表現に引き込まれて中盤一気に読んでしまいました。
ただ、第2部に入ってから100ページ弱続く戦いの詳細は私はついつい惰性に…あまり世界史(特に近代は…)に詳しくないので、世界の動きがなかなかつかめず、また軍人の方のお名前も良く分からなかったので(きっとフランスでは有名な方だとは思うのですが…)、この部分は少年少女文庫のようにポンメルシー氏とテナルディエが出会うところだけで良いのになぁと思ってしまいました。それもまぁ舞台の話の流れに慣れているせいなのかもしれませんが。2巻も勢いよく読めたら良いなぁ
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全然関係無さそうな話からだんだん核心に迫っていく手法。その丁寧な描き方は好きだ。
ビアンヴニュ閣下がどういう人物であるのか、誇張するのでもなく、淡々とその姿を描き出すことによって、ジャン・ヴァルジャンとの邂逅の場面に一際奥行きが出てくるのだと思う。実際、ビアンヴニュ閣下の「あなたは名前を名乗る必要などない」云々の言葉には感動した。
一巻最後のワーテルローの戦いの話も、フランス史に詳しくないので、正直なところ良く分からなかったのだが、ファンティーヌの話に入る時に、一八一七年のことを詳しく書いていたのと同じく、この時代の底辺の人々を活写するのに必要な部分なのだろうと思う。
そして、この作品は、まさに今現在の日本の状況の、遠い隠喩のように感じた。
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とりあえず2011年の読破目標小説に決定。
仏文出身でありながら、「暗そう」「めんどくさそう」「大衆文学的」と敬遠しまくっていた打者とようやく対峙、
読み終わったら やっぱり名作だなと思いました。
大衆小説だし とか馬鹿にしてすみませんでした。
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(欲しい!/文庫)
★印刷版からデジタル版への変換はボランティアによって行われたKindle版あり。 日本国内ではパブリックドメインの作品。
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人生で、はじめて泣いた本。
帝国劇場のミュージカルを見る前に、
予習として読みました。
現代の聖書ともいわれる名作。
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映画を観る前に、と思い、読んでみましたが今まで手を付けた事の無かった分野だったので大変でした。感想を一言で言えば「冗長に過ぎる」です。原稿料を上乗せさせる為にページを稼いだ様ですが、この話必要?と首をかしげる部分が何ヶ所かありました。2巻以降に手を付けるかどうか悩まされる作品ですね。
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20年前に機会を得、一揃えを購入。けれどこれまで、一度も解かれることがなかった。20年が数えるでもなく過ぎ、確たる理由も無く漸く始めてみれば、思いの外読み易い:打ち捨てたままに置いたのは、偏に読む側の、心境の遠く在った故と判る。
確かに、途方に暮れそうな大著ではある。一つの筋や一人の人物を偏に追おうとするなら、逸る足を妨げるかのように、伏線にしては仔細に過ぎる文脈は道中幾つも立ち現れ、時に煩わしく思えるかも知れない。だが、これはつまり或る一時代の、或る大陸の、或る一国の、或る都市の、寒村の、否人類の、憐れむべき足跡の記であり、故に何を採ったとて伏線などでは終わらない——そういう姿勢を、長い時間正対するに当たって、まず私は採用することに決めた。タイトルとして掲げられた『レ・ミゼラブル』、乃ち『悲惨なる人々』とは、天に見放され尽くした特殊な人々を云うのではなく、又身分の高低、生活の貧富、健康の有無を問わず広く魂の在り方として、著者歩く街のそこここ、路地裏のどこにでも容易に見出された、“ありふれたる人々” なのだろうと想われる。
数々の挿話の中で最も心動かされたのは、嘗て町の、慈悲の、功徳の主であった処のバルジャンを匿う為、生涯ただひとつの嘘もついたことがなかった老修道女サンプリスが、法に対し僅かの一時に二度までも虚言を働いた行であった。既に、人生の岐路に立ち恐るべき葛藤に飲食も睡眠も忘れたバルジャンが懊悩する場面にて、著者の姿勢は明かされてあるが、それら行は同時に、私にとっての正義/信仰/神とは何かをも質す:
「悲しいかな、彼が室に入れまいとしたところのものは、既にはいってきていた。彼がその目を避けようとしたところのものは、既に彼を見つめていた。」—— ‘何’ が?
[余談]
巻末、物語に於いては第二部の冒頭に当たる “ワーテルローの戦い” に関する長い語りに在っては、退屈するどころか一層丁寧に文字を追った。時も国も規模も陣形も異にしているが、それはこれまで軍記物をまともに読んだ試しのない私に “川中島第四次合戦” を想起させる:我等がウェリントンは “甲斐の虎”、傑物ナポレオンは “越後の龍”、である。
きっと私は軍記物を好むだろう。新たな物語をゆく間に、新たな分野がまた拓けた。