紙の本
海鳴り 下(文春文庫)
2013/08/11 17:42
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投稿者:okasinlong - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸時代の中年男女の恋を究極まで描いた周平タッチが素晴らしい。
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下巻も一気に読んでしまった。
紙商人の新兵衛と同業者の妻、おこうの密会が、なんともスリリングで胸が高鳴る。
そして、おこうと新兵衛は許されぬ恋を続けていくのだが、思わぬ敵が待ち構えている。
上巻と同様に、息子の心中騒ぎや商売での苦労などといった問題が新兵衛に降りかかるのだが、むしろおこうとの絆を深めていくことになる。
読み進めていくうちに思ったのは、おこうという女性が、とても素敵な女性だということだ。ラブシーンに全く嫌らしさを感じないのも、おこうの魅力ゆえなのかもしれない。男性だったら魅力を感じる女性だと思う。
結末は思っていたよりは暗いものではなく、明るい感じで終わっていたので、ほっとした。
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ある日、ふっと老いを実感した小野屋新兵衛が真に心休まる場所を求めてさまよう様子が描かれています。
しあわせとはそもそも何なのか。
この本を読んで、そんなことを考えました。
しあわせとは、これから失おうとする過去に、先へ歩もうとする未来に、人の生のあらゆる場面で柔軟に姿を変えつつ存在するもの。
今、探し求めているしあわせと、まさにその瞬間に手にしているしあわせの姿が違うとき、人は既に手の中にあるしあわせに気づかず、彷徨い始めてしまう。
現在、自分自身が手にしている幸せを大切にしようと思えた一冊です。
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周平版昼メロみたいな話。クライマックスにかけて続きが気になってしかたなかった。
希望が見えた終わり方も良かった。
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紙問屋の寄合いでついに紙の一手販売が決まり商売が変わり行く中、皮肉にも放蕩息子の心中未遂がきっかけに、息子の自立・妻との和解と平穏な日々を取り戻したかに見えた小野屋新兵衛に、予想外の結末が・・・
新兵衛とおこうの新たな人生。
女性の私から見ると、愚かな男の結末な気がする。
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そうか…。
こういう結末になったのか。
家庭を持つ重み、それを壊す容易さと後ろめたさ。
本当に心からくつろげ幸せをなる日は来ない気がする。
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3.5点。紙問屋の主人と、同業者の妻との道ならぬ恋の話。商売の話、江戸の町の描写など細部まで楽しめます。主人公との恋におちる女性の描き方がやはり男性作家だなと思わせますけどね。芯が強くてじっと耐えてていざというときは大胆で・・・。
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最近まったく本を読めていない。
仕事が結構いけいけで、たぶんそれ以外に頭を使いたくないのだろうか。
そんなに仕事人間でもないくせに(笑)
この本は結局、仕事人間だった主人公が全て投げ出し、人の奥さんと駆け落ちするというなってこったストーリーで。
あまり頭を使わなくていいので、この小説だけはちびちび読めた。
不倫の話の癖になぜか美しく感じる作品であった。
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時代小説というジャンルなのかもしれないけど、下巻の内容はミステリー小説といった感じ。小野屋つぶしの謎が徐々に明らかになりながら、新兵衛の人生がどんどん転落していく。物語全体の雰囲気は暗くてハッピーエンドとは言えないけれど、今まで築き上げてきたものを全て捨て、40歳を超えた男が愛する女と全く新しい人生を歩んでいく希望みたいなものが残る終わり方。とても面白かったので物語に引き込まれて一気に読めた。
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読んだきっかけ:奥さんが古本屋で105円で買ってきた。
かかった時間:12/15-12/22(8日くらい)
あらすじ: (裏表紙解説より)
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現代的なセリフ回しもあり、情景や心情が想像しやすく、グイグイ読み進んでしまった。やっぱり藤沢さんは文章がうまい。
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きれい事だけでは決して済むことのないであろう人生を描いた市井物。
主人公である新兵衛の揺れ動く心がしっかりと描かれており、中だるみすることなく上・下巻をひと息で読み終えてしまいました。
つらい立場に置かれた男と女との間で起こった出来事を、『不倫』の一言で簡単にかたずけることが出来そうにありません。
人の道を踏み外してしまった結果、それ相応のむくいが当然のごとく訪れたわけですが、その後の人生の見通しがまったく立たないわけでもなく、気のもちようで新たな人生に再起をはかることもできるのだと著者は訴えかけているようにも思えました。
もちろん、それは至情や厚意を持ち合わせた人のみが許されることなのでしょうが。
何があるのか分からないのが人生、何があっても決して捨てたものでもないのが人生。五十路を目前に、同じ世代の主人公の心の動きに思わずと共感をした作品です。
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歴史小説(?)は読み慣れていないが、読みやすかったし、面白かった。
大半は人情というか人間臭いというか人間味を加えた半沢直樹シリーズみたいな印象があり、ラストは純文学的な美しい人間模様があって、わりと好きな感じだった。
これぞ小説!という感じの文章。
それぞれの気持ちの動きとか、生きていくもの悲しさとか、人間の複雑さと単純さとか、そういうものが繊細に描かれているのが好きだった。
まぁやっぱり男目線な世界ではあったけど。
ハッピーエンドではないけど、ラストに微かな光が見える終わり方も好みだと思う。
繊細で読みやすく、現実味と人間味があるお話でした。
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★2.5かな。
ある意味ハッピーエンドの結末にはやや否定的感想を持ちますな、当方は。作家の美意識が働いたか、美文とはマッチしてるのは否定出来ないんだけど、個人的にはあまり好みではないかな。
しかし歳を取るとこういった暴走を良しとする気持ちが湧くのかな?まだそこ迄枯れていない所詮まだまだお子様なんですかな、私目は。
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一気読みしました。自身の老いを感じて、これでいいのか、先々の不安、焦り、絶望の中でのおこうとの出会い。揺れる新兵衛。人の道を外れてしまう二人、しかし初めて感じるこころの安らぎ。当時の不倫が、どれだけ重いものだったのか、それでも止むにやまれね気持ち、同年代ながら切なくドキドキとしました。サスペンスの要素もふんだんにあり、読み応えありました。