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海神丸 改版(岩波文庫)
  • みんなの評価 5つ星のうち 4.2 6件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:1985
  • 出版社: 岩波書店
  • レーベル: 岩波文庫
  • サイズ:15cm/99p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-00-310491-9
  • 国内送料無料
文庫

紙の本

海神丸 改版 (岩波文庫)

著者 野上 弥生子 (作)

海神丸 改版 (岩波文庫)

389(税込)

ポイント :3pt

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みんなのレビュー6件

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評価内訳

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紙の本

漂流下の極限的飢餓で、仲間を殺して食べるのか——わずか70ページのうちに体験させられる「妄想」世界。虚構に遊ぶ読書体験の提供でなく、日常の先を慎重に切り裂いてみせる弥生子の手際。

2005/02/25 12:44

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ - この投稿者のレビュー一覧を見る

『海神丸』は1922年という昔に発表されたが、実際に難破した船のモデルがある日本最大の漂流小説として有名である。飢餓にさいなまれた極限下で、人肉を食べるか食べないか——という脈絡でも、大岡昇平『野火』、武田泰淳『ひかりごけ』と共に挙げられる堂々の名作。
 作家の野上弥生子は、女性作家につきまとうフェミニズム云々の特徴から離れ、小説に必要な史観や世界観を備えたダイナミックな創作をなし得た文豪である。そのダイナミックさは、言葉と戯れ合う比喩や暗喩を極力省き、「質実剛健」とも言いたくなる叙事に徹した文体に支えられていると思う。
 この岩波文庫版では、『海神丸』の本文部分は70ページにも満たない。「こんなに短い話だったか」と再読して驚いた。弥生子が物言いをつけた泰淳という作家、彼の『ひかりごけ』も決して長くない作品であったが、『海神丸』は200〜300ぺージぐらいあったように印象を深く刻んでいた。たとえば、同じ題材で今の純文学やミステリの作家に依頼すれば、300ページぐらいにはふくらませてくれそう。飢餓にさいなまれたときに抱く妄想やら、陸(おか)での家族との暮らしぶりなどを叙情たっぷりに描くことも充分に可能だからだ。

 船長のほか乗組員3人だけの船内で、「殺して肉を喰らおう」とターゲットにされるのは最も年若の船員である。その一番重要だと思われる展開のところで、弥生子の簡潔な文体はこういう調子である。
——彼は一日に幾度か頭の上を通り過ぎる三吉を見ているうちに、自分の食物の妄想とその少年とを切り離して考えることができなくなった。このごろは暑いため短いあつしになっているので、下からだとひと目に見通される三吉のすらりとした両脚や、青いさるまたをはいた、まだあんまりやせもしない娘のようなむっちりした丸い股は、八蔵の残忍な興味をそそった。あの足の格好から、股の付け根の工合から、人間も獣も変わりはないのだ。(40P)

 このような記述を読んで、何を考えるのか。妄想の深化ほか、興味深い要素がいろいろに読み取れる部分である。まず、喰らうならうまそうなのは、やはり年のいったシワを刻んだ人より新陳代謝の盛んな子どもである。圧倒的に……。窮地に追いやられた大人が、子どもという弱者をうまくたぶらかして手ごめにする場面もこのあと登場する。社会というものが閉塞したとき、弱者を喰い物にして維持存続を図ろうとする構図も伺える。
 ここで特筆すべきは、1920年代の出版物であるので、肉食が行き渡っていないこと。口に入れたことのない牛肉のことを思い浮かべながら八蔵という乗組員が妄想を掻き立てていることで、「人喰い」というよりも「肉食」ということに垣根が先に設けられている。
 
 それから、もっとも注目すべきは「妄想」が「繰り返し」という過程を経て、断ち切られないからこそ禍々しい現実の事件となって顕れることだろうか。これは、集団自殺がネット上での日々の確認作業を通して現実化していくこと、毎日少女の裸体写真を眺めて遊びたいなと潜在的に犯罪への欲望をかき立てている例などを思い起こしたりする。妄想は、対極的なイメージトレーニングのプログラムによって払拭されるべきなのだろうが、限度を超えた危険が主体の人格を侵していることは外部からは判定されにくい。
「飢え」という生物の存続危機にあって、人は、私は、どのような妄想を見るのか。そこに踏み込んで書いて行こうという小説は、「死」を書くのと同じ程度に不可解な対象への挑戦であろう。ただ、極限状況に関しては体験者も少なくない。センセーショナルな書き方で人を惹きつける行き方でなく、慎重な姿勢で日常の先に切れ目を入れていった弥生子の方法は問題を他人事に終わらせず、読み手を突き刺す鋭利さが際立っている。

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2015/01/24 11:57

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2009/11/07 13:46

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2017/03/13 14:21

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2014/02/01 11:12

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2016/10/01 23:32

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