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紙の本
今も変わらぬ大震災の恐ろしさ
2002/02/27 08:18
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
そろそろ関東に大震災がくるのではないかという懸念は、関東とくに東京に居住する人にとっては常につきまとう。震災60年説などももう聞き飽きた。そうこうしているうちに、神戸、淡路島という思いもよらぬところで大地震の発生である。自然は人間を翻弄し続けている。
本書は大正時代に発生した関東大震災のルポである。大地震発生以前から関東地方には異常な大地の連続した蠢動があったことはあまり知られていない。地震学者の間でも論争があったことが記されている。しかも、余震もしばらく続いたのであった。
震災の被害を大きくしたのは火災であった。とりわけ東京の本所被服廠跡での火災による被害はむごたらしい。場所は現在の両国国技館の北側に当たる。4万人の避難民のうち、3万8千名の犠牲者を出したのである。その原因は大火災による火災旋風と呼ばれる竜巻であった。さらに被害を大きくしたのは、避難民の家財道具である。これに火が燃え移り、避難場所である広大な被服廠跡が火災のるつぼとなったのであった。
二次災害の典型と言えるのが、社会不安から生じるデマ、流言蜚語の類である。平常時であれば明らかに嘘と分かるものでも、人心を惑わし、一般市民が襲撃や殺人を繰り返すと言う異常事態が発生した。
関東大震災は東京直下型の大地震の発生がその源にあったが、火災、流言蜚語、社会不安など二次災害が一層の被害に追い討ちをかける。90年を経た現在でも、この震災を契機に地震学、地震観測の手法が進歩したとはいえ、地震の発生を事前に予知するまでは至っていない。防災対策も万全とはいえない。かえって人口は数倍に増え、リスクは増していよう。
本書はその当時の経緯を淡々と述べているが、大地震発生の際の異常事態に備えるために、多くの人に読んで欲しい書である。まるでテレビのドキュメンタリーを見ているように描写している。