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母に愛されない少年の物語
2005/08/14 21:32
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mitch - この投稿者のレビュー一覧を見る
にんじんはお父さん、お母さん、お兄さん、お姉さんのいる家庭で生まれ育ちました。ふだんは遠くの学校の寄宿舎に入っていて、学校が休みの間の1年と2ヶ月、自宅に戻って家族と過ごします。にんじんはごく普通の男の子ですが、ひとつだけ兄姉と違うところがありました。それは、実の母親からにんじんひとりだけひどく嫌われているということでした。母親からはやさしい態度も言葉もかけてもらえないにんじんは、父親だけには好かれようと、あらゆる努力をします。
お母さんから愛されずに育ったにんじんの、苦しい胸のうちが伝わってくる物語です。
母親から愛されないにんじんは、寄宿舎で過ごす日々だけが安らぎで、家に戻ることを苦痛に思う少年です。自分を嫌う母親からのがれるために、死のうとさえするのです。そんな思いを父親に告げるくだりを、もう少しじっくり読んでみたいと思ってしまいました。今度もっと原書に近い翻訳ものを読もうと思います。内容からすると、子ども時代に親との関係で傷を負った大人が読むと、とても共感できるのではないでしょうか。
本書は、小学校中学年くらいの子どもにもわかるように書いてあります。小学2年の娘には、なぜかお母さんからいじめられてしまう、かわいそうな男の子のお話、という印象が強かったようです。