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本格ミステリーの雄・島田荘司の、御手洗シリーズに並ぶもう一つの柱
2020/05/18 15:40
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アントネスト - この投稿者のレビュー一覧を見る
御手洗シリーズに並ぶ、捜査一課刑事・吉敷を主人公としたシリーズの開幕です。
この作品の発表当時は、「島田荘司は重厚な本格ミステリーを捨てて、軽佻浮薄な作風に走った」といった批判もあったと聞きます。しかし、虚心坦懐に本作を読んでみれば、そんな批判が的外れなことはすぐわかります。
顔の皮をはがれた惨殺死体。しかし死者は、死亡時刻より後に寝台特急に乗っていた!? 不気味で不可解な謎を、鮮やかに解きほぐす。これが本格ミステリーでなくてなんだと言うのでしょう。
イケメンだが不器用で、同時に人間としても捜査官としても真摯な吉敷には、名高い名探偵・御手洗とは違った魅力があふれています。
本作のミステリーとしての面白さを堪能した方も、吉敷が好きになった方も、是非シリーズの通読をお薦めします。
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殺された女性がその死亡推定時刻より後に寝台列車で目撃される
2001/11/26 00:17
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投稿者:格 - この投稿者のレビュー一覧を見る
あの『涙流れるままに』の吉敷刑事、デビュー作として期待していたのだが、残念ながら期待外れ。最後のどんでん返し、二転三転はあるものの、トリックそのものは使い古されたもの(だと思う)。被害者の顔の皮が剥がされていた理由は、即座に思いつくものとは異なっていたが。
北海道、日本海と旅を楽しめるのだけが唯一のとりえ。今川も富川も実在の村のようだ。寂しげな情景が物語にあっている。
それにしても吉敷の風貌が『耳がすっかり隠れるくらいの長髪、その髪は大きく波打っている。目が二重まぶたで大きい。鼻筋は高く通り、唇は少し厚い。長身でとても刑事には見えない。混血のファッションモデルのようだ』とは。まったくイメージが異なるのだが、私の思い込みか。
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「吉敷シリーズ」は読破していたと思っていたが、初期のしかも最も面白い一冊を見逃していた。いつもながらトリックのキレと、そうならざるを得ない理由と結果の奇抜さには感心する。御手洗シリーズのような奇妙奇天烈な事件もいいが、本作のような骨太なストーリーも楽しめる。読んでいて時間を忘れる作品。
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吉敷刑事の話。殺されているはずの女が、はやぶさに乗っていた・・トリックもおもしろかったけど、最後のひねりも良かったです。
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吉敷刑事シリーズ。マンションの浴室で顔をはがされて殺された女が、同じ時間に寝台特急はやぶさに乗っていた?というミステリー。東は北海道から、西は?というトラベルミステリーですが、最後までどんでん返しありのトリックがよくできていたと思います。
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吉敷刑事シリーズをよみたいと思い、つい手に。よくある2時間ドラマのトラベルミステリーとは一味違いますネ。
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吉敷竹史シリーズ。
隣のマンションを覗いていた作家・安田。いつまでの風呂から上がってこない女。顔のない遺体。被害者は銀座のクラブのホステスの九条千鶴子。千鶴子のマンションから逃げ出した謎の男。死亡推定時刻に特急はやぶさで目撃され写真も撮られていた千鶴子。千鶴子の足取りを追う吉敷、中村刑事の協力で北海道に住む千鶴子の母親と接触。北海道での牛越刑事の協力。千鶴子の愛人だった染谷医師の死。何者かに刺殺された被害者。容疑者として浮かび上がる千鶴子の妹・敦子。敦子とも関係を持っていた染谷。上京した千鶴子の母親が失踪。事件との関係は?
新装版 2007年3月22日初読
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吉敷竹史シリーズ第一弾。
これまで、島田さんは「御手洗シリーズ」ばかりを好んで読んできたが、ほぼ読みつくした感があったので手を出してみたわけだが。雰囲気は大きく違い、「変人」御手洗さんの破天荒なところや、そこから生じる笑いなどはみられない。どちらかといえば、真面目な刑事が繰り出すいたって真面目なストーリー。
とはいえ、ミステリとしてのストーリー展開はこれまた一ひねりといわず、二ひねりはある。
タイトルからもわかるように、「列車ミステリ」であるが、この類のミステリは鉄道マニアでも時刻表マニアでもない私としては苦手な分野であった。しかし、そんな細部にこだわらずとも不可思議な謎と、大胆なストーリー展開、後半の息もつかせぬ解決は非常に明快なのである。
刑事の吉敷は、殺された女の周辺を洗いだしていく。
立場が違えば、「人」に対する評価も少しずつ違ってくる。ある人は肯定的に、ある人は否定的に評価する。
現実的には当たり前のことだが、その些細な評価の違いさえ壮大なストーリーの伏線になっているのである。
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吉敷竹史シリーズ。
御手洗シリーズよりもこっちの主人公のほうが私は好感がもてる・・
本格というジャンルが好きな人にはオススメ〜
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トラベルミステリ=時刻表トリック、だと思い込んでいたんだかなんだか、今までなかなか手をつけなかったこのシリーズにようやく着手。
タイトルに騙されちゃダメだなあ。時刻表トリックはないでもないけど、それがメインじゃないし。別に考える必要ないし。意外に猟奇だし(この点で私が好きそうだとお薦めされたっけ……)。偏見はいかんよなあ、と思い知った次第。
御手洗シリーズほどに破天荒なトリックはないけれど、ラストはけっこう驚愕。事件は終わったと思って気を抜いたとたんにやられた~。まったく引っかかりやすい読者です。さくっと軽く読めるけれど、読み応えはしっかり。このシリーズも読んでいこうかな。
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吉敷(よしき)シリーズ。
ハンサムな刑事って・・・確かに珍しい。
御手洗シリーズとは全く違う趣き(主人公が美形というのは同じだが)。
島田さんはいろんな分野を切り開いてきたひとなんだなあと改めて思った。
トラベルミステリーはさほど興味がないのだが・・・時刻表と首っ引きで読むようなトリックでもないし、読みやすいかな。
「斜め屋敷」の牛越刑事が名脇役で登場しており、気づいてから「へー!」と何度も言ってしまった。
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初吉敷シリーズ。ずっと古本屋で見て気になっていたんです。何せ顔を剥がれた死体。しかもその時間にその女性の姿が目撃されているそうなんですよ!読んだら、御手洗さんとは違った面白さでぐいぐい読み進めました。しかも最後の驚き。凄いよ、島田さん!
表紙は村山潤一さんのものです。
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ものすごく久しぶりに、「現場百回」「靴をすり減らしながら足で解決」的な刑事の小説を読んだ気がしました。それでも顔の皮を剥がされた死体から始まり、ブルートレインで目撃された、その時間には死んでいるはずの美女などオイシイ設定も盛りだくさんでスイスイ読み進められて、やはり島田荘司氏はスゴい作家さんだと再認識。
(家の本の表紙は女性と電車の絵のものです)
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自宅の浴槽で顔をはがされた死体はしかし、死亡推定時刻には寝台特急に乗っていた!?
完全犯罪に吉敷竹史が挑む。
島田荘司氏の吉敷シリーズ1作目。
御手洗さんに比べて吉敷さんは刑事であり、あまりエキセントリックなところはない。
しかしかなりの美形らしく、行く先々で「いい男」と言われているあたりからしても、やっぱり普通の刑事ではない(笑)。
しかも、彼は好青年なのである。普通刑事で美形ときたら、かなり妬まれたり僻まれたりとどろどろしたことがあるのではないかと心配してしまうのだが、こっちが拍子抜けするぐらい吉敷刑事はごく普通。さわやかなのだ。こういうところをさらっと嫌味なく書けるのが、島田荘司のいいところ。
本作は分類するとなると「トラベルミステリー」になるのだろうが、私は事件そのものよりもむしろ、島田作品の雰囲気が味わえただけでなんとなく満足してしまった。
もちろん謎そのものも魅力的だし、最後の最後で意外な人物が出てきたときなどは全く予想してしなかっただけにびっくりした。人物間の意外なつながりにも納得がいったし、伏線の張られ方も見事だ。
でも、私にとってもっとも印象に残ったのは、被害者の千鶴子の実家に行ったときに、吉敷刑事が「なぜこんな土地にも人は住まねばならないのだろう」と思ったところ、そして同じく吉敷刑事の少年時代の回想で「あの頃の自分は孤独だった」と思う場面である(ちょっとうろ覚えだけど)。
こういう、島田作品の何気ない描写に、私は心を引かれてしまう。エキセントリックな事件の合間に、人間の心に寄り添うこういう何気ない描写に出会うと、はっとしてしまう。
これから少しずつ大切に、吉敷シリーズも読んでいこうと思う。
どうやら御手洗さんとの共演(?)もあるそうだから、楽しみだ。
ああ、楽しみなシリーズ(しかもかなりの冊数が出ている!)があるって、ほんとに幸せ。
島田さんありがとう!
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すごい猟奇的で想像するのが気持ち悪い事件ですが、読み終わった感想は「すさまじい」ではなく「うまい」。ストーリーに引き込まれて、吉敷刑事同様すっかりだまされてしまいました。