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紙の本
歴史の教科書を読み返しているかのよう。
2009/06/15 11:09
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕末から明治の内閣制度、議会制度の成立までを描いたものだが、暗記主体の歴史教科書のおさらいをしているかの如くで、読みものとしての面白みはない。
せっかく、ペリー来航から幕末史が始まったというのならば、明治時代、左右に揺り動かされた政府の動向と諸外国との関係、影響を加味して説いて欲しかった。多くの資料が用いられているにも関わらず、「なぜ」という疑問に応えうるだけの内容になっていないのが残念。
ロシアの南下政策、欧米諸国の帝国主義のせめぎ合いによってアジア(ここにおいては日本、清国、朝鮮)がいかに翻弄されたかが説かれておらず、日本政府の領土的野心という視点だけで描かれているので、辻妻の合わない内容になっている。
時系列、事象列としての参考資料として使えば良いと思うが、この時代の政治史は日本国内から見るだけではなく、諸外国との影響によってどのように変化していったのかが述べられなければ、理解しにくい。
ペリー来航という外圧から本書の解説は始まったが、その着想が全体に生かしきれていない。