「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
- カテゴリ:一般
- 発行年月:1988.4
- 出版社: 早川書房
- レーベル: ハヤカワ・ポケット・ミステリ・ブックス
- サイズ:19cm/304p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-15-001508-4
死にぎわの台詞 (Hayakawa pocket mystery books ダルジール警視シリーズ)
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
ダルジール警視シリーズ第8作
2001/09/26 21:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ケルレン - この投稿者のレビュー一覧を見る
強い風の吹きすさぶ寒い夜に、三人の老人が死んだ。ひとりは浴室で殺され、ひとりはグランドで転倒して凍え死に、もうひとりは車にはねられて死んだ。捜査の対象となるのは浴室での殺人だけのように思われたが、パスコー警部は、転倒して死んだ老人の傷の負い方に不審を抱く。そして、もうひとりの老人の死には別の疑惑が浮かんだ。老人をはねた車に乗っていたのは、なんどダルジール警視だったのだ。おまけに、悪い噂のある馬券屋と一緒で、ひどく酔っていた。ダルジールは運転していたのは馬券屋だと断言したものの、その後不審な行動をとり続ける。パスコーは困惑しながらも、三人の老人の最後の言葉を手がかりに、真相を追っていく。
パスコーの妻エリーの父親の痴呆症をからめて、死んだ老人たちをとりまく様々な問題が語られていく。どの老人も、心身ともに衰えてはいてもどこか愛敬があり、惨状を声高に訴えるような調子はみじんもないが、それゆえにかえって、本人や家族の苦悩が浮き彫りになる。三つの事件が解決して、ほっとしたパスコーの前にふと現れる新たな疑念が、なんともやりきれない。
各章の冒頭に、著名人の臨終の言葉が引用されているのだが、人それぞれでなかなか興味深い。誰でもいつかは死ぬのだが、死にぎわに気の効いた台詞を残すのは、誰にでもできることではない。
紙の本
年寄り笑うな、行く道だもの
2002/04/23 02:41
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:呑如来 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人は誰でも歳をとり、やがて死ぬ。しかしそのことを常に頭に置いている者は少ない。老人を無用の長物と蔑みながら、自分がその蔑まれる立場になることを想像しもしない愚か者のなんと多いことか。だがレジナルド・ヒルはそのことを大仰に嘆きもしないし、若者を啓蒙しようと熱弁をふるうこともない。ただその悲しい現実を客観的に描写するだけだ。そしてその態度こそ、作者の生に対する誠実さの表れだと言ってよい。
3人の老人の死を扱う本書では、老人ホームの実態、痴呆と介護、独り暮らしの老人の寂しさ、といった重いテーマが取り上げられており、読んでいて身につまされる場面も多い。また、ダルジール警視が飲酒運転及び過失致死の罪を犯したのかと気を揉まされもする。そんな中、パスコー警部と彼の妻のエリーの存在は救いであり慰めだ。やはりこのシリーズでの真の主役はパスコーなのではないだろうか。
私は本作を読んでこのシリーズを最後まで見届けたいと心から思った。