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紙の本
子どもたちにぜひとも読んで欲しい。この国がまだ自由であるうちに
2006/06/13 20:55
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:栗太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
物語の舞台はヘーワ町、主人公の名前はヤン・ドースル。(父はサテ・ドースル、母はイイサ・ドースル)他にも登場人物の名前は、ハナヒーゲ町長、シブシーブじいさん、コマゴーマ先生、タメールおばさん、カターイ牧師さん……つまり、そういう雰囲気の物語なのです。
医師のいないヘーワ町にやって来たディストレ先生は、熱意溢れるお人よしなのですが、いかんせん無類の慌て者で、(それは、医師としてどうよ?)と思わざる得ないほどの、まさに「おっちょこちょ医」。本書は、ディストレ先生と助手のヤン・ドースル少年が巻き起こす騒動を描いたユーモア溢れた物語です。ところが物語の後半、暗い影がやってきます。
ヒッソリーニ率いる赤シャツ党が支配する隣国ドルマン軍に、ヘーワ町は占領されてしまうのです。赤シャツ党によるガラリヤ人排斥や、ドルマン軍に対するレジスタンス活動など、ヘーワ町も少しずつ変わっていきました。少しも変わらないディストレ先生は、あいかわらずマイペースで騒ぎを巻き起こします。ところがディストレ先生は、おっちょいこちょいだだけど嘘はつけない性格で、町のみんなの前で言ってしまいます。ガラリヤ人の血も、ぼくたちの血も、ドルマン人の血も、変わりはないのだと。
この物語、戦争や差別といった重い問題を含みながら、最後までユーモアと明るさと失いません。読み終えて心に残るのは、自由と平和の尊さ、信念を貫く勇気、そして何よりもどんな時も希望を失わず前に進むことの大切さです。
今、先の見えない閉塞感の中で、子どもたちは何を読むのでしょう。作者が現実を描くことに必死になるあまり、救いなく、読後に空しさや絶望を残す本が増えているのでは? 世の中にある様々な困難、主人公たちが知恵と勇気と明るさでそれを乗り越えていく物語が私は読みたいし、子どもたちにも読んで欲しいと思います。
紙の本
面白かったです
2022/03/14 12:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:iha - この投稿者のレビュー一覧を見る
架空の国の無医村にやってきた待望のお医者がとにかく粗忽者という物語です。病名や薬の分量などもうっかりと間違えるので、村の患者たちには非常に油断ならない先生です。しかし、医者としての腕前は確かで、根がまっすぐゆえに、村人たちからは呆れつつも受け入れられてゆきます。彼のユーモアたっぷりの粗忽ぶりが描かれている前半に比べて、後半は、戦争が村に及んだこともあり、非常にシリアスな展開となっています。正直で粗忽な先生が生きるのには厳しすぎる時代だったのかもしれません。優しいですが非常に切ない物語でした。