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山の上の交響楽 (ハヤカワ文庫 JA)
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紙の本
無限につづくものたちと向き合うには
2001/12/05 01:39
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投稿者:しっぽ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この話はオーケストラのお話です。
ひとりの天才作曲家が83年の歳月をかけてかきあげた、全てを演奏するのに一万年(!)かかるともいわれる曲「山頂交響楽」。その演奏は200年前に始ってから一度たりとも途切れたことがない。山の上の奏楽堂では八つのオーケストラが一日三時間ずつ交代でその曲を演奏し続けている。
そして三ヶ月後、今までで一番の難所がやってくる。八つのオーケストラの800人が同時にステージに上がって演奏をする八百人楽章が近付いてきているのだ。ところが、ただでさえ演奏の難しい八百人楽章が迫るにつれ、さらに様々な難題が持ち上がってくる。
パート譜の出来上がりの遅れ。演奏中に奏楽堂の屋根を開く、開けないの意見の対立。楽譜の中に指定されている見たことも聞いたこともない新しい楽器。そして気が遠くなるくらい長い時間、ただひたすら演奏を続けていくことへの疑問。
なんだかんだで日が過ぎて、ついに八百人楽章の幕があがる。
なんか、このシチュエーションだけでわくわくしない? この話は設定はSFっぽいけどストーリー自体はごく日常的に進んでいきます。あらすじだとドタバタした話みたいに見えるけど、物語自体はむしろ淡々と物語は流れていくの。
自分達が生まれる前から演奏が始って、自分達が死んだ後も演奏が続いていく、ほとんど「無限」といっていい長さをもつ交響曲。演奏者たちにとって演奏は仕事で、毎日休むことなく続いていく。でも、その中で、「八百人楽章」に向き合うことによって、無限の長さの演奏の中にいても、一瞬一瞬はその長い曲の中でも二度とあらわれない一瞬だというのが見えてくる。
なんだか、生きることみたいだとは思いませんか。