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紙の本
観てても読める☆
2001/03/18 15:45
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:鍼原神無〔じゃりはら・かんな〕 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『羊たちの沈黙』、小説はまだお読みでなくとも、映画やヴィデオをご覧になってる方も多いでしょう。
タイトルの『羊たちの沈黙』、“THE SILENCE OF THE LAMBS”は、映画であまりに有名になった、人喰いの精神科医にして天才的犯罪者のキャラクター、ハンニバル博士(人喰いハンニバル)が、物語の主人公である、FBIの女性訓練生、クラリス・スターリングに加える精神分析、または尋問・精神的拷問のようなやりとりと関わっています。
精神カウンセラーの免許を持っているため、訓練生であるにも関わらず、快楽殺人者の手によると思われる連続殺人事件捜査のアシスタントに起用された女主人公。彼女は、捜査の一環として、殺人者にして、精神科医である人喰いハンニバルから、連続殺人事件に対する所見を聞き出す任務を命じられます。
そして博士は、捜査に協力することの交換条件に、彼による心理分析にクラリスが応じるよう要求します。
「羊たちの沈黙」は、レクター博士による心理分析で明らかにされる、女主人公の「子供時代の最悪の記憶」、夜間勤務警察官だった彼女の父親の死にまつわる記憶=物語のキーワードです。
さて、小説版と、映画版の『羊たちの沈黙』、ストーリーはほぼ同じでも、物語内容は割と違う、そうした関係にあります。
小説と映画では、表現手法や全体の構成、細部の表現技法やプロットもかなり違います。だから、ストーリーはほぼ同じでも、そこから読みとれる物語内容は異なって当然です。
アタシが思うには、映画版は、小説と比較した場合、女主人公の関わる物語内容がメロウな感じに流れてしまっている面が残念と思います。
一般に映画は、小説と比較した場合、ストーリー分量が少なくなる傾向はあるので、ある程度やむを得ない面があるでしょうが。
でも、女訓練生のクラリス・スターリングが、父親についての子供時代の記憶=物語を捉え直そうとする精神的挌闘、についての物語内容が、映画版では通り一遍なものになってしまった印象、拭えません。その為に、彼女の関わる物語内容は、緊張感が緩んでしまっています。その点を指してメロウな感じと評したのですが。
その代わり、映画版では「怪物」と語られるハンニバル博士の人物像が、表現主義的な演出で、効果的に描出されてます。これは映画版の方のポイントのひとつでしょう。
残念なことに、映画版ではレクター博士の怪物性ばかりが突出して、物語内容を構成する他の要素から浮きだってしまっている。物語内容の構成としてはアンバランスになっちゃっている観があります。
例えば、FBIが捜査する連続殺人犯の人物像も、小説版の方が映画版と比べて暗示が豊富で読み応えがあります。これも、映画版ではレクター博士の怪物性だけが突出しすぎているので、対比がうまくいかず、相対的に矮小な人物像になってしまっているのでしょう。小説版の方では、異常者としての対話の通じない恐ろしさまでが描出されています。
小説『羊たちの沈黙』は、映画やヴィデオで映像版を観た方こそ読まれると、おもしろく・興味深い読書体験になるのではないかと思います。ストーリーもおもしろいのですが、物語内容が興味深く読めるのではないでしょうか。
小説版の最終章で、レクター博士は女主人公に問い掛けます、
「どうだね、クラリス、子羊の悲鳴は止んだかね?
子羊たちの悲鳴は今のところは止むだろう。〔中略〕
きみはそのありがたい沈黙を何度も何度も自分の努力でかちとらねばならない。きみは人の苦しみを見てその苦しみに駆り立てられているが、世の苦しみは永久に耐えることがないからだ。」〔後略〕
こうした語り口から、読者がどんな物語内容を読み解いてゆくかが、小説版の読みどころと思われます。
紙の本
見事な密室
2002/03/30 21:31
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投稿者:郁江 - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画も良かったのですが、やっぱり小説。小説には映画にない緻密さがあります。特に天才殺人鬼のレクター教授の人物造形が凄まじい。映画では主役を張っている女性があまりに目立たない。それくらいレクター教授には存在感があります。分類としてはサイコホラーだと思われガチですがミステリーとしても素晴らしく、トリックも面白い。途中に非常に見事な密室が取り上げられています。この点に注目して読んでみても楽しいですよ。
紙の本
天使と悪魔の運命の出会い
2001/09/16 13:51
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:てんてん - この投稿者のレビュー一覧を見る
言わずと知れた大ヒット映画の原作です。筆者は『ハンニバル』を読んでから『羊たちの沈黙』を読みました。ミステリー作品としては『羊たちの沈黙』のほうが数段上であることは否めません。『ハンニバル』のほうはミステリー要素が薄れ、ピカレスクロマンになってしまっています。その分、娯楽性には富んでいますが。
本書の読みどころはクラリスとレクタ—博士の緊迫した言葉のやり取りです。レクタ—の天才的な記憶力と分析力に圧倒されながらも、冷静に応答するクラリス。これが続編『ハンニバル』へとつながる、運命の出会いになってしまうとは!
もちろんクライマックスの犯人とクラリスの対決シーン。映画同様、読みながら思わず手に汗を握ってしまいました。映画ファンなら必読の一冊だと思います。
紙の本
ハンニバル・レクターというキャラクター
2019/08/31 09:42
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投稿者:mino - この投稿者のレビュー一覧を見る
物語は楽しく読むことができたが日本語訳は正直読みにくいと感じた。ハンニバル・レクター教授のキャラクターが非常に魅力的で、本作の人気の理由がわかったように思う。次は自由を得て存分に活躍する彼の姿がぜひ見てみたい。
紙の本
クラリスの闘い
2017/05/23 20:31
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投稿者:マー君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
FBIの研修生のクラリス殺人鬼ハンニバル レクター博士との物語。
博士からのヒントから、様々な 妨害にも負けず、クラリスは犯人を追跡していく。
クラリスが犯人の家に辿り着き犯人に気がつくが、どうしてそこにたどり着いたのかがよくわからず残念。
紙の本
史上最高のサイコ
2002/02/11 13:17
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投稿者:くろこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画がものすごく有名になって、サイコモノの代名詞といった感じのする作品。映画に比べると本の方がやっぱり細かくて、特にレクター教授の人物像が凄い。こちらの方では、女性はあまり目立っていないように感じる。それぐらいにレクター教授に存在感があるからだろう。
映画のイメージが先行すると異常殺人の特異さがすべての本なのかと思うけれど、ミステリーとしても良くできていて、トリックやシーンもおもしろい。
でもこの系統のものはこの作品で極まったと言えるかもしれない。レクター教授という強烈なキャラクターの誕生で、似たような作品はもう書けないのだろう。
映画ではジョディ・フォスターがハマリ役な感じで良いです。
紙の本
シリーズでは間違いなく一番よい
2001/03/06 22:35
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投稿者:katokt - この投稿者のレビュー一覧を見る
続作『ハンニバル』が世間をにぎわしているようである。だいたい人から本の題名をきくと、この本ははやってるんだなってことがよくわかる。そう言う意味で、映画化もされたこの本の題名は広く人口に膾炙したなぁ。ジュディー・フォスターの好き嫌いで映画の方は評価が分かれるようだが、とにかく賛成できるのは3冊シリーズの本の中で一番面白いのは当書であるということ。
紙の本
ハンニバルを読む前の必読書
2001/01/17 12:25
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投稿者:shigeshige - この投稿者のレビュー一覧を見る
既に映画化された有名作品である。映画もすぐれた出来ではあったが、この作品の良さをとことん楽しむには本を選択すべきである。匂いまでも伝えるリアルにとんだ状況描写や登場人物の細かい動き、FBIという実在組織の問題提起などは著者のもっとも得意とするところであり、読者は想像の世界でどこまでも恐怖心と興味を掻き立てられる。本を通じて受けるレクター博士は印象は想像を絶するモンスターでありとても映画に描ききれるものではない。続編のハンニバルもあわせて底知れぬ恐怖を楽しめる方必読の一冊。
紙の本
羊たちの沈黙
2001/03/27 22:04
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投稿者:新田隆男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『レッド・ドラゴン』でサブ・キャラクターとして登場したハンニバル・レクター博士が俄然、クローズ・アップされることになるのが、次なる『羊たちの沈黙』だ。
殺人犯を見つけ出す方法としてプロファイリングを紹介しただけでも充分に画期的と思えた『レッド・ドラゴン』の中に、囚人探偵としてレクターを置いた構図の意味は、正直言って、いまひとつよくわからない。シンプルに追う側、追われる側、プロファイリングを使って限りなく接近する両者を描く方が得策だと思うのだが、さらにレクターが加わってしまうことで、善と悪それぞれの場所にいる二人の、鏡のような図式にひびが入ってしまうからだ。数年にもわたる徹底的な取材を旨とするトマス・ハリスのこと、おそらくは、FBI心理分析官ロロバート・レスラーに対する取材を行っている最中に、300 人もの人間を殺しながら、やがて獄中で未解決事件の推理を始めたというヘンリー・ルーカスの存在を知ったのではないか。
映画『ヘンリー』にもなった殺人犯がレクター博士のモデル、と想像するのも面白いが、プロファイリング情報のひとつくらいのつもりで登場させたレクターがやがてメインのキャラクターになってしまったのだから面白い。とにかく『羊たちの沈黙』では、グレアムに代わってFBI訓練生クラリスが登場したことで、捜査面でのレクターの存在は飛躍的に大きくなる。さながら監獄にいるシャーロック・ホームズと推理を聞きにやってくるワトソンのような図式。いつしかアームチェア・ディティクティブ(安楽椅子探偵)の典型のような形になっていたのだ。バッファロー・ビルという猟奇殺人鬼を捕らえようとするサイコ・サスペンスでありなががら、主人公が動き回らない、伝聞の情報によって純粋推理で解決する英国産のコージー・ミステリーにも繋がる魅力。
レクターに扮してハマッたのが、サーの称号を持つ英国出身のアンソニー・ホプキンスであったのも偶然ではない。『羊たちの沈黙』はサイコ・サスペンスというジャンルを総括させ、さらに映画界でのブームをも生み出した功績も大きいが、改めてつけ加えるならば、このアームチェア・ディティクティブの可能性を示した点でも評価されるべきだろう。ジェフリー・ディーヴァーが『ボーン・コレクター』で描いた、首から下が麻痺した探偵リンカーン・ライムなど、どう考えても、レクターのエピゴーネンなのだ。
ちなみに、『羊たちの沈黙』の中で、最も衝撃的だったのは、レクターがホームズであると同時に、脱走することによってモリアーティにも成りえたことである。獄中のシャーロック・ホームズの脱走走が、レクターが唯一無二のキャラクターである見せつける。『20世紀ミステリーのベスト1』とまで呼ばれる由縁は、やはり、その探偵のキャラクターにあるのだ。
(新田隆男・エンタテインメント探偵)