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商品説明
まどさんに惚れてしまった阪田さんは、メモとペンを持ってまどさんを追いかけ回したそうです。まどさんのことなら、何でも聞きたい、みんな知りたい。追っかけですね。がまん強いまどさんも、さすがに辟易したそぶりを見せるのですが、そんなことぐらいでへこたれる阪田さんではありません。そして、ついにまどさんのヒミツに辿り着いたのです。
たとえば「ぞうさん」の歌のこと。
...ぞうさんの子は、鼻がながいねと悪口を言われた時、しょげたり腹を立てたりする代わりに、一番好きな母さんも長いのよ、と誇りをもって答えた。だからこの歌は、ゾウに生まれてうれしいゾウの歌、と思われたがっているでしょう。...
歌が"そう思われたがっている"というまどさんの言葉もふしぎですが、そうか、と受けとめる阪田さんも、何か大きなことに気がついた人なのでしょう。
まど・みちおさんの詩の、いちばん深いところを聞き出して、そのヒミツを惜しげもなくぜんぶ書いてくださったのがこの一冊です。【商品解説】
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心がまあるく、やさしくなるうた
2006/04/24 14:47
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ろこのすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
まどさんの詩は誰でもが知っているだろう。
「ぞうさん」「くまさん」「アリくん」などを童謡として歌ったことがあるだろう。
ぞうさん
ぞうさん
ぞうさん
おはなが ながいのね
そうよ
かあさんも ながいのよ
ぞうさん
ぞうさん
だあれが すきなの
あのね
かあさんが すきなのよ
※さて、先にあげた「ぞうさん」の歌に深い意味があることをご存じだろうか?
作者のまどさんは「ぞうさん」の詩はたぶんこういう風に受け取ってもらいたがっているだろうと著者の阪田寛夫さんに言った。
「ぞうの子は、鼻が長いねと悪口を言われた時に、しょげたり腹を立てたりする代わりに、一番好きな母さんも長いのよと、誇りを持って答えた。それは、ぞうがぞうとして生かされていることが、すばらしいと思っているからです。だからこの歌は、ぞうに生まれてうれしいぞうの歌、と思われたがっているでしょう」と。
そこで阪田さんはこう考えた。「目の色が違っても、髪の色が違っても、みんな仲良くしよう。などとよく言われますけれども」と言うと、
まどさんは「私はそうではなくて、目の色が違うから、肌の色が違うから、すばらしい。違うから、仲良くしようというんです」と言ったという。
これを読むとまどさんの詩や童謡を一から読み直してみたくなるではないか。
まどさんがどんな考えをし、どう暮らしてきたかが見えてくる。
本書は詩人阪田寛夫がまどみちおの詩を読みながらまどさんの人柄や生き方をやわらかな言葉で綴ったものだ。
まどさんの詩は言葉をけずれるだけ削り、ひらがなの、かんたんなことばのあつまりだ。
リズムがここちよく、楽しく、読むほどに、口ずさむほどに、心がまあるく、やさしく、大きく、ひろく、なっていく。
まどさんはこの世界(宇宙)にあるすべてのものは「あるがまま」に存在し、「自分が自分であることの喜び」に満ちあふれている」と言う。
まどさんから見ると、ぞうさんもくまさんも、キリンもアリも、つけもののおもしや、空も木も、みんな「自分に生まれてきたこと」を喜んでいるのだ。
石ころも草も世の中にあるものはすべて同じ価値でそれぞれに尊く、存在に意味があると考えるのだ。
生きているって素晴らしくて嬉しくて何て尊いのだろう!
子供も大人もまどさんの詩を読み、口ずさみ、歌いながら、楽しく、やさしく、まあるい心になっていく。
平気で虫や動物を殺し、人でさえも殺してしまう忌まわしいニュースが流れる昨今、こうした詩に幼い頃より触れて育ったならと思わないではいられない。