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決闘以外の精神的成長に関わるエピソードも
2023/04/26 06:08
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投稿者:マーブル - この投稿者のレビュー一覧を見る
武蔵の生涯で最も有名な決闘は巌流島での一戦であろうが、それと並んで重要なのが吉岡一門との一乗寺下り松の決闘。その壮絶さは強烈な印象が残っている。まざまざと思い浮かぶ映像に、記憶が蘇ったのが石ノ森のマンガ。まだ子どもと言った方がよい相手への行動を、酷いと思ったり、勝負の世界は厳しいと思ったり、複雑な気持ちになったことを思い出す。再読してみると、本阿弥光悦と出会ってゆったりとした時間を過ごしたり、遊郭で張り詰めすぎた心について指摘されたり、決闘以外の精神的成長に関わるエピソードがふんだんに盛り込まれている。
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一乗寺下り松での武蔵。最高。その武士たる決意を如実に書かれてる吉川さんの腕に脱帽。心討たれる。しかと読むべき巻。
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~内容(「BOOK」データベースより)~
今や、武蔵は吉岡一門の敵である。清十郎の弟・伝七郎が武蔵に叩きつけた果し状!雪の舞い、血の散る蓮華王院…。つづいて吉岡一門をあげての第二の遺恨試合。
一乗寺下り松に吉岡門下の精鋭70余人がどっと一人の武蔵を襲う―。
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宮本武蔵という題名ながら、
当然、武蔵一人、を延々と描いているわけではない。
又八、お通、城太郎、朱美、小次郎、、、
三国志の千人とはいかないまでも、多くの人間達が絡み合う。
関ヶ原の戦いの落ち武者、武蔵が、最も敵としたのは恋心か。
神では無い、人間武蔵の戦いは尽きない。
本巻では、「死闘」と言って差し支えないと思うが、
京都は、一乗寺下り松の、その死闘。
その数 - 人間1人 対 70人
若干二十歳、侍とはどう死ぬべきかを考える。
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伝七郎との立ち合い
お通との再会
吉岡一門との死闘
が描かれています。
だんだんと武蔵の人生観や、剣の道に生きるものとしての心構えが形成されていきます。求道者として成長していくのが楽しみです。
お通との再会で、武蔵は自分の心情を吐露します。その姿は宮本武蔵として何か神格化された存在ではなく、ただの弱い人間の姿であり、我々と全く相違ありません。歩む道は違えど、武蔵も我々も同じところへ向かう者同士なのです。それだけでこの物語を読む意義は十二分に感じられます。
吉岡一門との死闘はどうなるか、また皆の運命はどうなっていくのか、次が楽しみです。
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吉野太夫が武蔵に話した琵琶の話(p176-77)がよかった。琵琶の中にある一本の横木、骨でもあり、臓でもあり、心でもある横木は、ただ剛直なのではなく、実はわざと抑揚の波が刻みつけられていたり、弛みがあったりする。人間もこれと同じで、美しい音色を奏でようと思えば、ただ張り詰めているのではダメで、少しの遊びが必要ということ。ううむ。
さらに、武蔵の(著者の?)宗教観にも深いものを感じた(p359)。
さむらいのいただく神とは、神を恃(たの)むことではなく、また人間を誇ることでもない。神はないともいえないが、恃(たの)むべきものではなく、さりとて自己という人間も、いとも弱い小さいあわれなもの――と観ずるもののあわれのほかではない。
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一乗寺下り松における吉岡一門との決戦。相手は多勢、武蔵はただ一人
武蔵が死の境地で挑んだことがひしひしとつたわってくる。
「修羅場」とはこういう情景をいうのか。
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この巻のサブタイトル「武蔵と女」。
侍としての武蔵と(武蔵のありたい姿)との対比として、女いっぱい登場、そして武蔵を人にする。そして自分が人な事を知ってまた侍として成長する。みたいな。
歴史モノ長編に女が出てくるかどうかは、ひとつ読みやすさの目安だと思う。司馬作品は出てこない。(龍馬が行くでは出てくるが)
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お通と武蔵がやっと出会う。そこに男の剣の道や生き様、女性の慕う気持ちがよく描写されてると思う。また、武蔵が二刀流を無双に振るうとこは、スピード感がある。
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何か特に四巻面白かった。
前巻で撃破した吉岡清十郎の弟、伝七郎をも、まさかのキャバクラついでに撃破。何故か京都の寒い冬を思い出しました。
光悦親子が象徴する安穏さとスゲー寒い冬の対比。冷たいようで優しい京都が思い出されるのは何故。
吉岡一門との戦争の一方で人と交わるに血生臭い獣は要らぬと暗喩する。野獣死すべしな一冊。
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各キャラクターがより掘り下げられてきたからか、物語もどんどん面白くなってきた気がする。「バガボンド」のストーリーともずいぶん変わってきたなー。
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「そこで吉野が説明していうには、この扇屋の囲いの中にある牡丹畑は、扇屋の建つよりもずっと以前からあるもので、百年以上も経った牡丹の古株がたくさんある。その古株から新しい花を咲かせるには、毎年、冬にかかるころ、虫のついた古株をきって、新芽の育つように剪定してやる。――薪はその時に出来るのであるが、もちろん、雑木のように沢山は出来ない。
これを短く切って炉にくべてみると、炎はやわらかいし眼には美しいし、また、瞼にしみる煙もなく、薫々とよい香りさえする。さすがに花の王者といわれるだけあって、枯れ木となって薪にされても、ただの雑木とは、この通り違うところを見ると、質の真価というものは、植物でも人間でも争えないもので、生きている間の花は咲かせても、死してから後まで、この牡丹の薪ぐらいな真価を持っている人間がどれほどありましょうか?」
「何千年何万年という悠久な日月の流れの中に人間一生の七十年や八十年は、まるで一瞬でしかない。たとえ二十歳を出ずに死んでも、人類の上に悠久な光を持った生命こそ、ほんとの長命というものであろう。またほんとに生命を愛したものというべきである。
人間のすべての事業は、、創業の時が大事で難しいとされているが、生命だけは、終る時、捨てる時が最もむずかしい。――それによって、その全生涯が定まるし、また、泡沫になるか、永久の光芒になるか、生命の長短も決まるからである。」
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宮本武蔵第4段。 さらに磨きをかけていく武蔵の心と技。 これまで以上描かれる死闘の数々。実戦の前に始まる心理戦。その奥底の一念は実に興味深い。戦いの中で進化を続ける武蔵。二刀流の原点ここにありか。 本巻は動の巻ではあるだろうが、その中で描かれる静も興味深い。動乱の中で見つめる「生命」、「愛」、「心の暇」。 今回の第一の印象は吉野大夫。ここにも、異なる道で真理を悟る賢者がいる。 「生きている間の花は咲かせても、死してから後まで、この牡丹の薪ぐらいな真価を持っている人間がどれほどありましょうか?」
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本作の見せ場の一つでもある吉岡一門との決闘。
そこに至るまでの緩やかだが次第に増す緊迫感、怒涛の決闘シーン。
加えて本巻あたりで登場人物に更なる深みと輪郭が与えられる。
それにしてもここまでは小次郎は何処か子供っぽく描かれている、バガボンドのドラスティックな設定も頭の片隅には残っていることもあり、やはりこの男の行方も気になる。
結局のところ、兎に角面白いということですな。
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修羅場に二刀流の動。
茶の作法のようなおもてなしの静。
人間味を感じる描写。
直ぐに次が読みたくなる。