紙の本
散漫な印象
2021/05/19 15:06
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投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
利休をダシにして、
思いつく話題について
気の赴くままに書き散らした、
という感じの本です。
238頁にある、
利休の言葉に、
「侘びたるは良し、侘ばしたるは悪し」
というのがある。
くだりは事実誤認では。
これは片桐石州という茶人の
言葉のようです。
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千利休にインスパイアされた前衛芸術論。桃山時代の利休の前衛性と現代の著者の前衛性が400年の時を超えて呼応し、芸術、芸道の得体の知れなさが立ち上がる。伝統も大事だが、革新のダイナミズムはもっと大事なのだ。
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千利休と豊臣秀吉の関係性という
観点で述べられている。
政治と芸術、その立場がお互いにあり、
そのパラドックス、転換、嫉妬、融合などが
織り交ざった展開となっている。
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欧米に憧れ過ぎの今の日本。さびしいことですよね。わびさびの世界で、日本特有の創造性や美意識を捉えて、愛してやまない世界を綴っている。日本の様式美、美の感覚。それは戦後に一番無くしてしまったものかもしれない。戦前までに花開いていた、日本の高い美意識を知りたくないですか。舶来品を奉り過ぎの日本人。なんでもどん欲に吸収する素晴らしい性質と、日本の美意識を忘れないで誇り高くいること。これが本当に日本人としての素晴らしさではないでしょうか。どんなことも偏見なく受け入れる日本人。あとは本来の日本の誇りを持っていようではありませんか。どうでしょう?読んでみませんか?この本を読むと、おじいちゃんおばあちゃんに会いたくなります。日本建築や日本文化が愛おしくなります。そんな日本人に産まれて良かった。って思いますよ。
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千利休がこんなにも身近に感じられるのは、赤瀬川さんのキャラクターによるものかもしれない。利休の選択の基準がこの本を読んでやっとわかった。
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前衛芸術を頭の裏側の神棚にまつり、路上観察をしていたら、いつのまにか千利休の茶室の縁の下に潜り込んでいた…たしかそんなくだりがあって、印象的だった。
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難しい哲学的な概念をすごい卑俗なことの中に見いだすことの天才、赤瀬川原平。難しいことを簡単に言う人が好き。
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(2014.11.19読了)(2005.04.30購入)
【黒田官兵衛とその周辺】
「利休にたずねよ」山本兼一著、を読んだついでに、読もうと思っていたら、赤瀬川さんが亡くなられたという新聞記事が目に入ったので、追悼の意味も込めて読みました。
あとがきに「この本は資料としては何の価値もない。自分なりの利休を書いただけだが、それは利休の思想がこの世に生きているからこそ書けたのだと思う。」と書いているように、利休に興味ある人よりは、赤瀬川さんに興味がある人向きの本といえそうです。
この本を書くきっかけは、野上弥生子著「秀吉と利休」を原作に映画の脚本を書く仕事をしたことということです。
お蔭で、京都や堺へいったり、韓国へいったり、歴史の勉強ができたり、結構いいことがあったようです。茶室の原形は、韓国の両班村にある屋敷にある身分の低い使用人の部屋にあることを発見したとか。茶室の躙り口などはそっくりだったと。
路上観察の話、手洗いの蛇口洗いの話、などは、面白いのですが、それが利休とどう関係するの、というところです。
【目次】
序 お茶の入り口
Ⅰ 楕円の茶室
一 利休へのルート
二 縮小の芸術
三 楕円の茶室
Ⅱ 利休の足跡
一 堺から韓国へ
二 両班村から京都へ
Ⅲ 利休の沈黙
一 お茶の心
二 利休の沈黙
三 「私が死ぬと茶は廃れる」
結び 他力の思想
あとがき
参考文献
●大徳寺(9頁)
利休の建立した大徳寺の山門に、利休の木像が置かれている。利休の立体像としては唯一のものだ。
現在ある木像は二代目で、最初の木像は秀吉の命によって京都堀河の一条戻り橋たもとで磔にされた。(12頁)
●一休(13頁)
一休さんとは、応仁の乱以来荒れ果てていた大徳寺を復興した人なのだ。
●ハリガミ(41頁)
ハリガミというのは駐車禁止に関するもの、犬の糞に関するもの、ゴミの出し方に関するもの、以上の三つが横綱である。
●利休の美意識(45頁)
ズレたもの、歪んだもの、欠けたもの、見捨てられたもの、そういう人々の意識の外側にあって、人びとの恣意を超えて鮮やかなもの、それが彼らの美意識の先端にあったのである。
●懐石料理(60頁)
懐石料理というものは、利休たちの茶の湯の世界が究められていく過程で生まれたものだ。つまりお茶を飲むために、その事前運動として料理を食べる。
●利休の切腹(73頁)
切腹の理由について、昔からさまざまな理由が推察されている。利休木像の不敬、秀吉の唐御陣への批判、利休がガラクタ同様の茶器を不当な高値で売っていたという売僧としての行為、利休が茶頭としてだけでなく秀吉の側近として権力へ近づいたことへの実務官僚石田三成らの嫉妬、利休の娘を秀吉が所望したのに断ったこと、そのほかにもいくつか説はあるだろう。
●オリジナリティ(84頁)
利休はいつも、人まねではない創造力、オリジナリティこそ大切なものだと説いている。
●井戸茶碗(136頁)
日本の茶の湯で珍重されている井戸茶碗とは、日常の中で見捨てられた価値の蘇生したものである。
そもそも井戸茶碗という���は、韓国ではごく日常の飯茶碗である。
●松の木(147頁)
松はそれ自体が、生まれながらにアシンメトリーであり、その形態が日本人のずれや歪みを愛でる美意識を教育してきたのだろう。
●手洗い(179頁)
欧米では小用のあとそう厳密に手を洗うことはない、という話を聞いた。その代り食事の前には必ずきちんと手を洗うという。日本の場合は食事の前だからといって厳密に手を洗うことはない。その代り小用のたびごとに手を洗うのである。
●男性(214頁)
男性一般には遊興はあっても文化はないのだ。
☆関連図書(既読)
「軍師官兵衛(一)」前川洋一作・青木邦子著、NHK出版、2013.11.30
「軍師官兵衛(二)」前川洋一作・青木邦子著、NHK出版、2014.03.20
「軍師官兵衛(三)」前川洋一作・青木邦子著、NHK出版、2014.07.10
「軍師官兵衛(四)」前川洋一作・青木邦子著、NHK出版、2014.10.10
「軍師の境遇」松本清張著、角川文庫、1987.07.25
「黒田如水」吉川英治著、講談社文庫、1989.11.11
「黒田如水」童門冬二著、小学館文庫、1999.01.01
「信長の棺」加藤廣著、日本経済新聞社、2005.05.24
「集中講義 織田信長」小和田哲男著、新潮文庫、2006.06.01
「秀吉神話をくつがえす」藤田達生著、講談社現代新書、2007.09.20
「利休にたずねよ」山本兼一著、PHP文芸文庫、2010.10.29
著者 赤瀬川原平さん
1937年3月27日、横浜生まれ
子供時代は大分や名古屋で過ごした
武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大)は中退した
20歳ごろから無審査の読売アンデパンダン展などに絵画やゴムチューブを使った「反芸術」的な作品を出展。
1960年、前衛美術集団「ネオ・ダダイズム・オルガナイザー」の結成に参加した
1963年、千円札模型作品を発表し、後に裁判となる
1963年、故・高松次郎、中西夏之氏と「ハイレッド・センター」を作り、東京五輪のさなかに白衣姿で銀座の路上を清掃するパフォーマンスなどを実施した。
1979年、尾辻克彦の筆名で発表した『肌ざわり』が中央公論新人賞を受賞
1981年、『父が消えた』で芥川賞を受賞
1983年、『雪野』で野間文芸新人賞を受賞
2014年10月26日、敗血症のため死去
画家、作家、路上観察家、エッセイスト、写真家など多彩な顔をもつ
宮武外骨、3D写真、老人力などのブームの火付け役でもある
☆赤瀬川原平の本(既読)
「桜画報大全」赤瀬川原平著、新潮文庫、1985.10.25
「千利休 無言の前衛」赤瀬川原平著、岩波新書、1990.01.22
「猫の宇宙-向島からブータンまで-」赤瀬川原平著、中公文庫、2001.04.25
(2014年11月19日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
利休の創出した佗び・寂びとはどのような世界なのか。冗舌な権力者・秀吉との確執の中から無言の芸術・縮む芸術を考案し、斬新な発想と柔軟な感性で桃山時代を前衛的に生きた芸術家―映画「利休」のシナリオ執筆を契機に、その精神性を現代の諸相の中に浮上させる。ジャンルを超えて活躍する著者が日本文化の秘奥に挑む超エッセイ。
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利休の事、茶の湯の事などに興味を持ち偶然手にした本
興味深く、刺激を受けながら読み進む。
前衛であった利休の茶道...への解釈と
最後には
「偶然も無意識もそれは自然が成す事である。それに添って歩く事は、自然に体を預けることだ。他力思想とは、そうやって自分を自然の中に預けて自然大に拡大しながら、人間を超えようとする事ではないかと思う。.....本書から」
森林と砂漠に生きる人間の違い....とか..とか...
手元に置いておきたい本
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千利休の「茶の思想」を、「超芸術トマソン」の赤瀬川原平が、彼のいつもの言葉で平明に解き明かしていく過程には、しなやかで自由な精神のみがなしうるきもちよさがある。原平さんの思考回路が、ダイレクトに与えてくれる快感だ。
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茶道は禅の思想を取り入れているからとか
そんなことは関係なく
宗教的だと思う。
家元絶対至上主義なところがあるから。
なので学んでいるとそういう思想に雁字搦めで
諸々のことをいいとか悪いとか考えず、
そういうものなのだと受け止めてしまいがち。
この本は茶道を経験したことがない筆者が
映画撮影のために学んだ千利休象を述べた本。
ゆえに自由な観点で利休についての考えが挙げられていた。
茶道を学んでいる私にとっては目から鱗な考えがチラチラ載っていて
大変興味深かったです。
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あぁこれ学生時代に出会いたかった。そうしたらその後の学究の方向性が全然ちがうものになっていたかもしれない。
前衛芸術が「美の思想や観念といったものをダイレクトに日常感覚につなげようとする営みである」って。そうだったのか。
本題の利休についての考察もおもしろいが、前衛芸術とはなにかという「寄り道」部分の深い洞察力に脱帽。
次は「超芸術トマソン」読まないと。
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[ 内容 ]
利休の創出した佗び・寂びとはどのような世界なのか。
冗舌な権力者・秀吉との確執の中から無言の芸術・縮む芸術を考案し、斬新な発想と柔軟な感性で桃山時代を前衛的に生きた芸術家―映画「利休」のシナリオ執筆を契機に、その精神性を現代の諸相の中に浮上させる。
ジャンルを超えて活躍する著者が日本文化の秘奥に挑む超エッセイ。
[ 目次 ]
序 お茶の入り口
1 楕円の茶室(利休へのルート 縮小の芸術 楕円の茶室)
2 利休の足跡(堺から韓国へ 両班村から京都へ)
3 利休の沈黙(お茶の心 利休の沈黙
「私が死ぬと茶は廃れる」)
結び 他力の思想
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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(読む前の印象)
ナディッフアパート 渋谷bunkamura店 で発見。Amazon内での評判良し。へうげものや樂家当主本ほかで少々利休は食傷気味だが、気になる本である。時期を見て購入したい。
(読後)
めっちゃ面白い。著者は、コピー千円札出店で有罪になったあの人だったのか!『真贋』って多様な意味で重要だし…ともかく、おもしろい。
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前衛の民主化を今の時代は進めようとしているという考え方が新鮮だった。「茶の本」しかり、茶道から禅への東洋における過去への広がりの中に、くどくどと懊悩してきた芸術、美意識、価値に関する問いへの答えが、必ず在るという確信が深まる。砂漠の文化と森の文化の比較論が面白い。