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紙の本
驚嘆!!!
2007/08/15 16:05
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:濱本 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「OPA!何事であれ、ブラジルでは驚いたり感嘆したりするとき、「オーパ!」という。」つまり、本書は、著者が、驚いたり、感嘆した世界の事柄を記述した書である。どんなに望んでも、我々庶民は、世界中の全ての驚異を自ら見たり、体験したりする事は、物理的に不可能である。だから、書物等で擬似体験をして満足するのである。その書物の著者が小説家で有る事は、願ったり叶ったりであると思う。小説家というものは、自らの目を通して、その母国語の持つ最も適した言葉を捜して、その描写を描くからである。開高 健は、小説家であり、ジャーナリストであり、旅人であり、釣人であり、正に、本書のような紀行文を記述するのに最適な人物であると思う。
本書は、モンゴルにおけるイトウ釣、中国奥地ハナス湖における怪魚釣、スリランカの宝石探訪等、面白い世界の驚嘆が、端的な表現で小気味良く記述された紀行文である。特に面白かったのは、ハナス湖における怪魚釣の話しである。体長10~12mもある大イトウらしき怪魚がハナス湖に居るという話しを聞き、釣処女湖であるハナス湖に果敢にチャレンジし、見事に敗れた男のロマンを地で行ったお話しである。そのチャレンジも中途半端なものでは無い。中国側の許可を取りつけ、日中合同隊を編成し、日本からは、網を扱う専門家の猟師2名を随行させるという周到さである。結局、怪魚は現れなかったが、著者は、ロマンは、ロマンのまま残って、かえって良かったと述懐している。
スリランカでは、その宝石のふんだんさに驚嘆している。小石程の宝石ならば、誰でも拾える。3.5Kgのトパーズの原石、60種類の宝石の美しい写真、正に驚嘆である。
写真と言えば、本書には、ふんだんに写真が挿入されている。高橋 昇という写真家の作であるが、それぞれ、本文と関連して、想像を補強している一助に大いになった。
夏の登山の電車移動中に読み終えた作品であるが、著者の大いなる好奇心と探求心が正に文章に表れた名紀行文だったと思う。