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紙の本
みんなの中の、わたしでいたい、それだけ。高校生・薫、笑いとなみだの青春ド真ん中。
2001/04/06 17:43
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:後藤竜二 - この投稿者のレビュー一覧を見る
薫は九年間通った養護学校から普通高校に進学する。
「普通高校に行ったら、もう世界がちがうんだ。障害者同士だからって、なれなれしくすんなよな」
親友だった保彦のことばが胸に刺さる。
しかし、「ひらがなしか読めない子や、おしめをしている子と同じ教室にいるのがいやだったわけではない。ただちがう世界を見たかった。自分をためしたかった。」
三年間の高校生生活、姉妹げんかもふくめた家庭生活などが、ド迫力で、テンポよく、ユーモラスに描かれている。どんな事件も、むろん笑い飛ばせるようなものではないのだか、笑わせられながらぐいぐい読まされて泣かされしまう。
「ツッパリ高校」といわれている高校のクラスメートたち一人一人が個性あふれる姿で描き上げられていて、それだけでも、楽しい。
ことに、クールな、「ちょっとちがう」感じのおケイという子が、なぜか薫にだけは心ひらき、生い立ちをさらりと語るシーンにはやはりぐっときてしまった。
「ふつうの子は、みんな悪い子」と思いこんでいたのに、「並木高校のみんなのお陰で、わたしは行きずりの掌も信じられるようになった、みたい。こんな体だから「人の情」ってあるのよ、ジーサン。」と、世をすねた偏屈老人に心の中で自然に語りかけられるほど世間に心をひらいていく姿がさわやかだ。
しかし、やがて卒業。現実の世間では、恋も、就職も、障害者は、やはり「規格外=別あつかい」なのだ。
考えこむことが多くなり、バスのステップを踏み外してけがをしたのをきっかけに不登校を続けるが、ある日、養護学校の友人から保彦が肺炎であぶないとの電話が入る。薫は保彦と別れて普通高校に来た意味を思い返し、「規格外の青春」をつらぬこうとあらためて決意して、ふたたび普通高校の心やさしいクラスメイトたちの中に飛びこんで行く。