- カテゴリ:一般
- 発行年月:1993.9
- 出版社: 日本評論社
- サイズ:21cm/257p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-535-58126-6
- 国内送料無料
紙の本
プロ野球の経済学
著者 樋口 美雄 (編著)
大リーグと日本野球の年俸の差から、日本野球と日本企業の終身雇用制の類似性やその特殊性に思いあたった慶応大学の教授とそのゼミ生たちが研究した、日本野球の経済学的側面をまとめ...
プロ野球の経済学
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商品説明
大リーグと日本野球の年俸の差から、日本野球と日本企業の終身雇用制の類似性やその特殊性に思いあたった慶応大学の教授とそのゼミ生たちが研究した、日本野球の経済学的側面をまとめたもの。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
プロ野球という名の「労働市場」を実証研究した名著
2005/06/04 12:09
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:子母原心 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書はプロ野球という「労働市場」に関する本格的な実証分析である。出版年は1993年とやや古いものの現在でも一読の価値がある。
本書が明らかにした実証研究は、現在のプロ野球改革においても重要
な示唆を与えている。
本書が分析の対称にしているのは、主に選手の賃金に関するもので
ある。選手はドラフト会議で入団し、その際に「契約金」を得る。
優秀な選手は一軍で活躍するが、一方一度も一軍にあがることなく
引退する選手もいる。
本書が出版された1993年はフリーエージェント制度の導入機運が
高まった時期である。これは選手側に、入団後一定期間経てば他球団
への移籍の権利が得られることを意味する。これまでは、選手は
いったん入団すると所属球団から「自らの意思」では他球団には
移籍できなかった。「保留事項」により選手が年俸決定の交渉では、
選手側と球団側とで相対的に球団側が強い立場に立つので、選手の年俸
が(支払われるべき水準以下まで)抑制されていたことを意味する。
第5章では、その点を実証研究で明らかにしている。米大リーグでも
同様の研究成果がある。
FA制度が導入されれば、年俸交渉に関して、これからは選手側が
強い交渉力を得られる立場に立つ。したがって年俸は上昇していく
だろう。そのために球団運営に関して人件費が急増し経営を圧迫する
可能性もある。そのために、本書ではテレビの放映権料を、放映権料
の「半額」をコミッショナー一括管理とする。また一括管理化による
交渉力を強めて放映権料を引き上げる策を取り、放映権料の再配分を
行うことで、パリーグの球団は最低10億円(!)はその恩恵を受ける
、という試算を立てている(第7章)。
昨今のプロ野球改革では何をしなければならないのか。それは、上述
のような利益の再配分制度の構築と、ドラフト制度の完全ウェーバー化
だろう。これらの恩恵を一番受けるのはパリーグである。本書が明らか
にしている「衝撃的」といえる結果は、セとパの間の「経済格差」であ
る。1993年オフの導入に関しては結局これらの再配分制度が実施される
ことはなく、果たして2004年の近鉄ーオリックスのような再編騒動にま
で発展してしまった。今こそこうした制度を導入しなくてはならない。