紙の本
造物主の掟
2017/12/03 09:06
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投稿者:yasu - この投稿者のレビュー一覧を見る
異星人の惑星開拓ロボットが宇宙線の被害を受け、タイタンで自我を持った不完全なロボット(タロイド)となり、中世時代のような世界を築いていた。そこへ偽物の霊媒師を筆頭に地球からの調査団が来訪し、コンタクトしたザンベンドルフ(霊媒師)の活躍を描く。
オットー・アバカーン(パートナー)
クラリッサ(広報)
ジョー(ボディーガード)
セルマ(秘書)
マッシー(心理学者)
ガリレオ(サーグ)禁断の設問者
モーセ(グルーアク)お告げの聴聞者
アーサー(クライバー)カソージアの支配者
ヘンリー(エスケンデロム)クロアキシアの王
リシュリー(フレネレク)クロアキシアの大僧正
紙の本
この本に着目された貴兄に。
2000/10/11 03:09
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カイル - この投稿者のレビュー一覧を見る
まずは拍手を。貴兄の優れた直感のとおり、この作品は素晴らしい。その慧眼は、眩暈のするほど長く退屈な前半、まったく華に欠ける主人公ザンペンドルフ(とチーム)の、ありきたりなトリックなのに職人芸の所以か超能力といわせてしまう力技になんだかなーとぼやいた果てに辿り着く痛快無比な後半をすら見通しているに違いない。
史上人間が人間以外の生命を対等と認めたことはない。しかるに異星にすむ見栄えの悪い凸凹ロボットを況や!である。ところが、ザンペンドルフとご一行のイカサマ師達はちがう。のみならず反対勢力優勢の中、地球にさえ認めさせてしまう。どうやって?それは……イカサマ師だからして……。ともあれ、愛とペーソス溢れたSFの傑作である。ザンペンドルフはおっさん、だけどね。
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生命の定義を改めて考えさせられる。荒唐無稽なのはいつものことだけど、それでもホーガンのSFにはいつも、違う何かがある。
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機械にも動物と同様に進化の道はある
生命を持つものと、工業的に作られるものの差はなに?
宗主国と植民地の関係と『人間性』
宗教の持つ、まやかしの一面と世界を支える力
飽くなき探求力と異端の関係
ザンベンドルフへ嫌悪感から好意的、共感につながる変化
異文化コミュニケーションと啓蒙
タロイドを脳内生成・再生するとメカ沢さんになるのが残念
だって、二足歩行の人型になる理由がよくわからないので。
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プロローグの<機械の進化>描写が秀逸!
ヒトもこんな風に進化したのかなぁと思わせられます。
<機械>の感情の動きがとても面白いです。
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興奮の導入、そして始まる「神様もつらいよ」。キリスト教のパロディも愉快に、理解不能な事物を理解するために神の言葉と奇跡への「変換」が起こるメカニズムの具体化が抜群に愉しい。ロマンチックなほど探求の精神を信じる作者の姿勢も痛快だった。心理学者のマッシーをさしおいて詐欺師もどきのザンベンドルフが主人公なのは、ショーマンにしかできない事もあるからなのだろうな。
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この本が出たのは1983年。ボイジャーが丁度タイタンの撮影を行った時期でもあります。当初から大気があることやメタンの雨が降り注ぐ事で話題を集めていたタイタンの雰囲気が本著にはふんだんに盛り込まれています。
物語は異星の惑星開発機械がトラブルに見舞われるところから始まり、それが目的地を誤ってタイタンに着陸し、様々な要因を経て知性機械体に進化することで進んでいきます。異星人とのコンタクトや機械と人との関わりを描くSF小説は数あれど、異星人の生み出した機械とのコンタクトを描いた作品というのはSFの中でもかなり異色の部類に入るでしょう。
機能性の塊であるはずの機会が非効率的な封建社会を構築していることや、西洋人の侵略者・支配者的発想へのシニカルな語りが特徴的。「星を継ぐもの」のようなオプティミズム(楽観主義)に満ちた結末ながらも、なかなかの深みを感じさせる一冊でした。
特に、モーセの十戒やゴルゴダの丘の逸話を模倣したかのように発生していくタロイドたちの宗教の描写が秀逸。
SFは基本的に宗教色をあまり意識しない作品が多いですが、この本ではキリスト教圏的な考えを垣間見ることが出来、興味深かったです。
まったく意識な存在であるはずの機械類が人間と同じような宗教を持つあたり、もしかしたらこの本の根底には「宗教は普遍な存在でどの知性体でも獲得するものである」という考えがあるのかもしれません。
宗教観の薄い日本ではなかなか出なさそうな発想で、そこが興味深かったです。
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超異世界のお話。
とはいえ、これが、舞台は土星のタイタン。
どっか遠い星の自動機械たちが
いろんな不調を乗り越えた結果
地球の生態系にあたる進化を繰り広げちゃった。。。という話。
その説明も空前絶後。
もう唸るしかないっ!
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機械生命体の遺伝子プログラムに含まれたバグを補完するための繁殖、人格と宗教の発生、科学の発達、宇宙という異世界で繰り広げられる歴史に人類が介入してしまったら?そしてその介入者側に利己的すぎる意思があったら?
最初の創世記さえクリアできれば、ユーモラスで人間性あふれる機会生命たちの物語を楽しめるはず。
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『星を継ぐ者』シリーズ以来のホーガン。やっぱホーガンめちゃくちゃ面白い。
ロボットやAIの分野ではシンギュラリティが焦点になることも多いですが、この作品は逆でロボットたちが中世封建的な社会を築いて科学革命に至っていないとしたら…という発想。
このあべこべの発想に立つことで人間とは何かとか、社会とは何か、あるいは人間は何を問いうるかといったことを考えさせられますし、主人公がインチキ心霊術師で人は真実を見つめているかという問いに角度をつけた皮肉まで突きつけられます。
ホーガン作品の異星人との「個人的な通じ合いの感覚」の描き方も好き。
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生命ってなんだろう?機械は生命になり得ない?という問いに対する答えでしょうか。
荒唐無稽な話なのになぜか納得させられ、次から次へとページを繰りたくなる本です。生殖(?)する機械たち(まったくエロくありませんのでそのつもりで)とペテン師の主人公たち(人間)。創造者たち(機械たちを作った)はもういない。
ホーガンさんのガニメアン・シリーズの第4作ではまた別の意味の(電脳空間の)生命が登場します。生命(いのち)とは「意思」なのだと思わされる作品です。
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ずっと本棚の奥で埃を被って眠っていたSF小説を引っ張り出して読む。
ジェイムズ・P・ホーガン 著 「造物主(ライフメーカー)の掟」
もう購入してから10年以上も本棚の肥やしとなっていた作品だ。
毎回半分程度まで読み進むと決まって話の筋が判らなくなってしまって、挫折してしまうのであったが、今回は挫折する間も無く一気に読破してやった。
話のあらすじは、だいたいこんな感じ。
「遠い昔、地球外知的生命体によって建造された無人宇宙船が土星の衛星タイタンに着陸した。
宇宙船には内蔵されたプログラムによって自己増殖し、鉱物資源を採掘・精練して故郷の星へ送り届ける任務を与えられたロボットが搭載されていたのだが、航行中に超新星のフレアを浴びた影響でプログラムに重大なバグが生じてしまった。
しかしロボットたちはひたすら採掘と自己増殖を続けながらも、世代を重ねるごとにさまざまな「種」の変異と淘汰を繰り返して「進化」していく。
そして21世紀、無人探査機によってタイタンに生物がいるらしいことを知ったアメリカは大規模な調査隊を派遣する。
そこで彼らが見たものは中世の地球と良く似た文化を持ったロボット達の世界であった・・・」
久しぶりにこういうガッツリとした読み応えのあるSF小説を読むと、やっぱりSF作品というのは映画ではなく小説で楽しむに限るなと思う。
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遥かな過去、異星人の自動生産工場宇宙船が故障を起こして土星の衛星・タイタンに不時着し、プログラムが不完全なまま生産されたロボットたちは母星の頸城を離れて独自に”進化”し始めた。それから百万年後、タイタンに生物の痕跡を認めた地球人類は、タイタンに向けて大規模な調査団を派遣する。そのメンバーに何故か選ばれたインチキ霊能術師・ザンベンドルフとその一味は、この一大プロジェクトに秘められた真の目的を嗅ぎ付け、それを阻止せんと一世一代の大ペテンを仕掛けようとするが・・・!?
SF人気投票で必ず上位に食い込むSFミステリの金字塔「星を継ぐもの」の作者、ジェイムズ・P・ホーガンの一大エンタテインメントです。この作品、「ロボットが人間みたいな生態と文明を持っちゃったらどうなるんだろうな〜、面白そうだな〜」という作者の思いつき一本でできあがったようなもので(笑)ロボットに人間みたいな生態と文明を持たせるための説得力ある世界設定が不可欠であり、そこがSFとしての腕の見せ所なわけですが、この点はかなり成功してます。プロローグのロボット文明勃興の描写が圧巻。その後も全編に渡って描かれる「機械が天然、有機物が人工物」という地球文明とは全く逆のタイタン世界がSF的視点ではかなり興味深いですね。
裏を返せばこの作品、「サイエンス・フィクション」としての面白さはそれだけです。地球人から「タロイド」と名付けられたロボットたちの文明社会は西欧文明の中世期そのもので、タロイドたちの思考回路も人類そのもの。ロボット文明勃興期の描写は優れていますが、それがどうして人類の中世期そっくりの社会に至ったのか、そもそもタロイドたちが何故人間そっくりのものの考え方をするのか、という説明が全く不十分で、そういう意味でこの作品はご都合主義バリバリなわけで、かーなり「B級」の部類に入るのではないかとヽ( ´ー`)ノでも、B級だと開き直って、エンタテインメントとして読むと面白いですよ!タロイド社会を体よく搾取しようとする西側先進諸国の思惑と、それを阻止せんと張り切るザンベンドルフとその仲間たちの丁々発止の騙し合いがラストの大団円までストーリーを盛り上げまくり、ページを繰る手が止まりません。最近ここまであざとくエンターテインメントしてるSFってないですよね。一周してきて新鮮ですわ(笑)細かいことは気にせずに楽しんじゃえ!という読書スタンスで臨めば、すっきりと読了できますよー。
ただねぇ、この人の作品、「星を継ぐもの」でもそうなんですが独特のノー天気さがあって、それが気になり出すとその先読み進めなくなるんですよね(^_^;続編があるんですが、そちらはたぶん読まないと思います・・・(^_^;
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remarks: 奇術師としてではなく霊媒として活動する理由, 疑問を持つこともできるのに安直に信じる人々, 真っ当に疑問を持てるようになった宗教家
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久しぶりのホーガン。
スケールが大きな背景と緻密な展開が大好きな作家だから大いに期待した。有機体として進化し、ロボットを作ろうとする人類。ロボットとして進化し、有機体を作ろうとするロボット人。人類は生化学が不得意で、ロボット人はロボット工学が苦手。自分のことはわからないんだよね。
(この仮説は面白いと思う)
途中でこれはと思うようなエピソードもあるにはあるんだが、やはりストーリーの骨格が面白くない。
残念
本作品では、でたらめの心霊術師が登場してエセ超能力を発揮する。超能力を使ったストーリーテリングになんのためらいもないホーガンではないから、エセを一刀両断にする展開は素敵だ。
多くのSFでは異星人が高度な科学技術を持っているのだが、土星の衛星タイタンで独自に発達した機械文明が人類の文明には遠く及んでいないって本作の背景もホーガンらしくて素敵だ。
本作のコンピュータや機械が知性を持つという背景が私は大嫌いなんだが、上記2点のメリットのために我慢して読むことにした。
でも、やはりロボットが知能を持ってってことになると興ざめ。途中で放棄してしまった。sigh