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書店員レビュー
ドイツの南部≪クラバ...
ジュンク堂書店京都店さん
ドイツの南部≪クラバート伝説≫が土台になってるプロイスラーの作品です。
ある時、クラバートガ夢をみます。11羽の烏が、「荒れ地の水車小屋に来い。親方の声に従え」というのです。しかも何回も夢にみます。クラバートは、その水車小屋にたどり着き、親方の言いつけを守ります。普段は、普通の水車小屋で粉を引いてますが、あまりにも辛い大仕事で、何回も逃げ出そうとするのですが、逃げられません。そして、親方が魔法使いであること。他の皆が、魔法を習ってる事が解ります。クラバートもその仲間になっていきます。自由を得るためには、魔法を習い辛い仕事が楽になる方法や、いろんな事を親方から教えて貰う事が必要だからです。
ある日いつもよく面倒を見てくれてる仲間トンダが、亡くなってしまいます。それからは、クラバートもなぜトンダが死んでしまったのか、考えていきます。クラバートの魔法の使い方にご注目下さい。
紙の本
死の空気を吹き払う、雪解け川の「自由」の響き
2004/07/19 01:54
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:風(kaze) - この投稿者のレビュー一覧を見る
チェコ、ドイツ、ポーランドの国境沿いにあるラウジッツ地方。本書は、ボヘミア地方の北に位置するラウジッツ地方の伝説を下敷きにして、作者が描き上げた「魔法使いの弟子」クラバートの物語です。
初めてこの作品を読んだのは、もうかなり前のことになります。
「クラバート」「クラバート!」「クラバート!!」と、自分の名前が三度呼ばれるのを夢の中で聞いた少年クラバートが、水車場に行って、魔法使いの親方の許で働くようになる冒頭の場面。ともに生活する仲間の職人が、謎の死を遂げていく件り。左の目に黒い眼帯をした親方から発散する、強大な魔法の力。
暗く、不吉な死の影に覆われた物語の空気が、とても印象に残るものでした。
今回再読して、とりわけ心に残ったのは、クラバートが魔法使いの親方の弟子になって三年目、それまでの閉ざされたものから開かれたものへと物語の空気が変わる、その鮮やかさでした。黒々とした闇の中に、一条の光がすっと差し込んだかと思うと、劇的に変化していく物語の色合い。雪解けとともに、長い冬がついに終わり、みるみる春の彩りを増していくような物語の風合い。初めはかすかだった雪解けの川の流れが、「三年目」の章に至って、ぐんぐんと力強く、終盤へと駆け下っていくところ。そこに、とても感銘を受けました。
1990年の「プラハの春」音楽祭。クーベリックがチェコ・フィルを振ったスメタナの「わが祖国」の演奏。喜びと気概があふれていたその音楽に通じる、解き放たれた「自由」の息吹と通じ合う、そんな解放感を覚えました。
ご存知の方も多いでしょうが、この「クラバート」の物語、宮崎駿監督の映画「千と千尋の神隠し」の印象的なエピソードとしても使われているんですよね。映画を見た方なら、きっと、「ああ、この場面がそうなんだね」と気づくことでしょう。
原題は、KRABAT 1971年の作品。
著者の作品では、『大どろぼうホッツェンプロッツ』シリーズ、『小さい魔女』などを、子供の頃、とても面白く読みましたけれど、一番感銘を受けた作品といえば、大人になってから読んだこの『クラバート』です。今回再読して、あらためて、物語の魔法の力に打たれました。中村浩三氏の訳文も、こなれていて読みやすく、見事だと思いました。
紙の本
愛と勇気と友情と
2005/12/16 09:59
7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つな - この投稿者のレビュー一覧を見る
この物語は著者プロイスラーが少年の日に出会った、ドイツのある地方に伝わる、<クラバート伝説>をもとにしたものであるそうだ。<クラバート>はヴェント人の伝説であり、ヴェント人とは、独自の言語や服装、特色のある慣習、豊かな民族的な伝統を持った西スラヴの小民族。早くからキリスト教化が行われたのにも関わらず、在来の異教の信仰の風習を色濃く留め、口頭で伝承された多くの民話を有し、魔女や魔法使いの伝説も豊富に残っている。
これはプロイスラーの解釈による、新しい<クラバート物語>であるが、やはり民話独特の暗い色彩を帯びているように感じられる。同作者の「小さい魔女」「大どろぼうホッツェンプロッツ」などとは、趣きの異なる作風である。児童書ではあるけれど、大人の読書にも耐えうるものだと思うし、強く引き込まれる作品だった。
仲間の少年たちと、浮浪生活を送っていた14歳の少年クラバートは、夢に導かれ、コーゼル湿地の水車場の親方の弟子見習いとなる。水車場の職人は、クラバートを入れて十二人。水車場の生活は、定められた暦にしたがって続く。クラバートが水車場に来た時の、職人頭はトンダ。トンダは仕事に慣れないクラバートを何かと手助けしてくれるのだった。
水車場の生活、そこで起こる出来事、それらの全ては繰り返し。水車場の職人たちは、毎年元日の朝に、親方の代わりに必ず一人が死なねばならず、その代償として魔法の技術を教えて貰っていたのだ。親方を倒すということは、今まで教えて貰った魔法の技術が無に帰すということでもあり、また失敗した場合は自分の命はない。
クラバートは誠実な友人と、恋した少女の力を借りて、親方を倒し、これまで倒れていった仲間の敵を討つことを決意する。
在来の<クラバート伝説>から決定的に離れた点は、親方の魔力からの解放に、母ではなく、少女が重要な役割を担ったことだそう。そう、だから、これは「愛と勇気と友情」の物語なのだ。
紙の本
大人と子供のためのビルドゥングスロマン
2001/10/05 02:49
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々宝砂 - この投稿者のレビュー一覧を見る
チェコスロバキア生まれのドイツ人であるプロイスラーは、愉快な年少向き童話『大どろぼうホッツェンプロッツ』を書いたことで有名な人である。ホッツェンプロッツも悪くはないが、私は『小さい魔女』『小さいおばけ』などの小品が好きだ。プロイスラーの作品には、魔女やおばけなどのヘンテコなもの、ハズレモノに対する優しさがあふれている。その作品世界は底抜けに楽しく、明るい。多少のいざこざがあっても世界はおおむね平和に保たれ、楽しい大騒ぎに疲れて家に帰れば、ふかふかした寝床とあつあつのスープが待っている。プロイスラーの作品は、まあだいたいそんなものであると考えていい。
しかし『クラバート』は違う。『クラバート』の世界は厳しい。そこに描かれるのは、プロイスラーの他の作品に見られる平和な暖かさではない。
辻で物乞いをしていた14歳の少年クラバートが、粉ひきを生業とする水車場の見習いになる……というのが物語の発端である。クラバートは、暖かい寝床とまあまあの食事と引き替えに自由を失い、厳しい労働の日々を送るようになる。水車場の先輩たちは、きつい仕事に汗一滴かかず、指をパチンとならして一瞬で掃除を終わらせるような魔法にも精通している。なのに、誰もが不安に悩まされているような顔色をしている。クラバートにとってはわからないことばかり続き、誰もきちんとした説明をしてくれない。
親方は厳しく、冷たい。水車場の生活に慣れるにしたがい、恐ろしい事実がわかってくる。たとえば、水車場のすみにある「死のうす」と呼ばれるうすが粉にひくのは、どうやら小麦ではなく人骨であるらしい。また、一年ごとに水車場の誰かが選ばれて死んできたということもわかってくる。恋も許されていない。親方に恋人の名を知られることは、その恋人の死を意味している。
クラバートたちの生き死にさえ、親方の手にゆだねられている。しかし逃亡もできない。自殺さえできない。しかし、そんな状況であっても友情や信頼が育まれてゆく。クラバートは水車場に尊敬できる先輩を見出し、友人や後輩を持ち、一挙に成長してゆく。それは親方の魔法にかけられた結果でもある。クラバートは少年時代の楽しみを満喫する間もなく、無理矢理大人にさせられてゆくのだ。
この物語は非常な緊張感に満ちている。しかし、同時に、プロイスラーの他の作品に見られるような、ほっとするような優しさに満ちてもいる。優しさだけではない。恋もある。友情もある。抵抗と解放がある。諷刺も自然描写もある。ドイツのスラヴ系少数民族ヴェンド人の間に伝わる伝説を元にしているそうだが、伝説のように断片的ではない。いわゆる教養小説(ビルドゥングス・ロマン)に分類されるべき長編小説である。児童文学ではあるけれど、大人の観賞に充分耐えうる作品である。装丁も子供っぽくないほうだから、カバーなしで読んでもそんなに恥ずかしくない(そういう児童書は案外珍しい)。ぜひ読むべし。
紙の本
クラバート
2023/01/29 15:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:じゃび - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮崎駿が千と千尋の神隠しを作るにあたってインスピレーションを受けた作品と聞き読んでみた。そこか~!なるほどね。
魔法が出てくる世界観の、しかも児童書なのに展開がなかなかハードなところ、民話を元にしていながらまるでミステリのような構成になっているところが面白かった。
紙の本
最高の感動作
2002/07/05 00:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しんや - この投稿者のレビュー一覧を見る
旧東ドイツのラウジッツ地方に住む、スラヴ系少数民族ヴェンド人の「クラバート伝説」がベース。
貧乏な少年クラバートは、不思議な夢に導かれ、人里離れた森の中にある水車場に辿り着く。そこには魔法使いの親方と11人の弟子が住んでいた。クラバートは12人目の弟子となり、魔法を覚えていくが、毎年繰り返される不思議な出来事に疑問を感じていく。
最初は何も知らずに働いていたクラバートですが、少しずつ水車場の秘密を知っていき戸惑っていきます。
そんな中クラバートは一人の女の子に惚れていきます。
そしてクラバートは愛と自由を手に入れるため水車場の親方と戦うことを決心します。
後半はもう少し書き込んでもらいたかったです。多少、物足りなさを感じました。しかしそれ以外はとても良いデキです。クラバートの苦しみや悲しみがよく伝わってきました。
紙の本
常に死の匂いが漂う不条理な怖さをはらんだ物語
2002/01/08 10:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かけだし読書レビュアー - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公はクラバートという少年。不思議なお告げによって荒地にある水車場の見習いとなる。そこには彼の他にも11人の少年達がいて、魔法使いの親方の元で連日働かされている。歯向かえば罰を受け、逃げることも自殺することも許されない重苦しい日々。そして毎年大晦日が過ぎるとひとりの少年が死に、また新たな見習いの少年がやってくる。死を恐れながら黙々と仕事をこなす少年達。主人公クラバートはいつしか外の世界で出会った愛する少女と共に、親方を打ち倒す決意を固める。
常に死の匂いが漂う不条理な怖さをはらんだ物語。古い民話や伝承を読んでいるような独特の味わいがありました。作者は愉快な「大どろぼうホッツェンプロッツシリーズ」を書いたことでも有名なオトフリート・プロイスラー。読み始めるとぐいぐいと引き込まれること請け合いです。
紙の本
謎と魔法の物語
2001/09/13 18:11
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:dill - この投稿者のレビュー一覧を見る
不思議な夢に導かれて,水車場の見習となったクラバートは,他の11人の弟子とともに,親方から魔法をならう。
しかし,その水車場には,いくつもの謎が秘められていた。死のうすと呼ばれる,年に数回しか使われない石うすの存在。そして,毎年大みそかに弟子の一人が不慮の死をとげること。そんな魔法に包まれた世界を背景に,物語は進んでいく。
最初の年に,魔法を受け入れたクラバートだったが,大みそかの友人の死とともに,この水車場を包む魔法に抗うようになり,親方との対決へと向かっていく。
ドイツのラウジッツ地方に古くから伝わる『クラバート伝説』をもとにしたこの物語は,筆者プロイスラーの手により,素晴らしき(謎を秘めた)物語となっている。
物語の舞台となる,荒地の水車場をつつむ自然の風景は,どこか日本の懐かしい田舎の風景を思い起こさせる。それだけに,読むものに魔法の存在を感じさせ,物語全体を貫く魔法に対する不気味さを読者に感じさせる。
紙の本
とても感動しました。
2001/09/04 17:06
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:グーフィー - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本を読んで心のおくからとても感動しました。
主人公クラバートが水車場の見習いになって魔法を習います。ところが水車場で見習いになった時点で親方(一番えらい人)から魔法で支配されもう逃げられなくなったのです。そして1年に1人かならず大晦日の晩に水車場の中の誰かが死ぬのです。そのことに疑問をもったクラバートは一人の少女とともに親方と戦うことにしたのです。
もし失敗したら死にます。もし勝ったら親方は死に支配されていた人々は自由になります。このときクラバートは親方に「この水車馬を譲る」と言われましたがそれを断り、富と権力より親方を倒し自由をえらんだのです。このクラバートの判断はすばらしいと思いました。
とてもいいほんです。おすすめします。
紙の本
作者で
2018/09/20 09:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者で選びました。
大どろぼう〜とはまた違って厳しい感じの話でした。
この作品も一度書けなくなったり、たいへんな思いで生み出されたかと思うと。解説のそういった話も面白かった。