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紙の本
恐竜族の少年が世界に挑む
2006/03/23 20:58
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:シノスケ - この投稿者のレビュー一覧を見る
中世ヨーロッパを彷彿とさせる社会を築きあげた恐竜型の種族キンタグリオ。まだ歳若いキンタグリオのアフサンは、偉大な占星術師に仕えていたが、神を絶対的なものとして考え、伝統に縛られた環境に閉口していた。だが、あらたな観察や科学的な思考を取り入れるべきだという思いは日々つのるばかり。そんなある日、遠くの物が近くに見える発明品“遠見鏡”の存在を知る。一人前のキンタグリオとなるために神の顔を見る巡礼へと赴くアフサンだが、遠見鏡を使って自分の住んでいる大地と世界の秘密を知ることに……
典型的といえば典型的な、支配層の宗教を科学と観察によって打破し、現実を正しく認識しようと奮闘するSF。しかし、キンタグリオの世界と社会を丁寧に描写し、アフサンの心情を読者に追いかけさせるリーダビリティはいつものソウヤー。読みやすいSFを書くのはやっぱりうまい。適度なユーモアとスペクタクルが折り重なり、ストレートなジュブナイルとして読めるので宗教VS科学の平行線な議論に陥らずスカッとした読後感を与えてくれるのも良い。
残念なのは3部作の1巻しか邦訳されていないこと。あらたな苦境に立たされたキンタグリオ世界の行く末も気になるところなので、ぜひとも続きを。
紙の本
世界のかたちを解き明かす
2002/02/06 06:42
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
世襲制の国王のもとで中世ヨーロッパ風の社会を築いた恐竜型の種属、キンタグリオ族。アフサン少年はあこがれの宮廷星占師の弟子になったものの、天空に見られる現象に対する宗教色の濃い非科学的な解釈に、なにか割り切れぬものを感じていた。やがてアフサンは、通過儀礼である巡礼の旅に出発する。そして、最新の発明品である遠見鏡を使って天体の星や月を観測し、「正しい世界のかたち」を解き明かして行く。しかし彼は、同時に彼らの世界に迫る、大きな破滅の予兆をも発見したのだった……。
SFではけっこうよくある、宗教の蒙昧を打破し、科学の勝利を描く、別世界のガリレオ・ガリレイものとでも云うべき作品です。お馴染みのテーマではありますが、彼らの住む惑星/恒星系や、肉食であるキンタグリオ族の異様な習性や、それに基づく慣習や社会システムなど、世界の作り込みがとてもよくできていて、一気に読ませる面白さです。
現実の革新者たちの苦難などを考えるに、主人公が頭良すぎ、人々もの分かり良すぎ、ご都合主義過剰という気もしないではないですが、それも、余計なものがないジュブナイル的な簡潔さで、かえってストレートで潔かったりします。このテーマのSFのスタンダードと云って良いのではないでしょうか。
この作品は、3部作の第1部なのです。続きの翻訳が出ませんね。どうしたのでしょうと首をひねりつつ、〈科学の勝利〉SFの決定版としてオススメです。