紙の本
想像力豊かな「ぼく」の不可思議な物語。
2003/06/12 11:00
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:PNU - この投稿者のレビュー一覧を見る
舞台はパリ。「ぼく」は浴室で時を過ごしている。恋人に誘われても、親にさとされてもここから出ることはない。そんな「ぼく」だが、こもりっきりというワケでもなく自分の気まぐれで浴室を出て、いきなりヴェネチアへ旅をしてみたりもする。
淡々と日常描写が続き、とくに超自然現象が起こるでもないのに妙に現実から遊離した感じを受ける。なにしろこの「ぼく」ときたら、さとしに来た親に「ぼくにとって気晴らしほど恐ろしいものはないんだよ」などと言ってのけるのだ。そして、理由もなく浴室にこもってみたり、旅行先からなぜだかわからないが帰宅したがらなかったり、帰宅するよう説得する恋人にえらいモノを投げつけたりなどと、実にコドモっぽい行動をとるのだ。
「ぼく」の言動から思うのは、人の行動にむきになって理由を求めたりしても仕方ない、ということだ。「ぼく」はいったい、何から逃げたいのだろうか?
主人公のモラトリアムの象徴が浴室なのかもしれない。
紙の本
軽くて読みやすい作品
2001/02/16 19:33
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:55555 - この投稿者のレビュー一覧を見る
軽くて読みやすい作品。この作品はトゥーサン(フランス、1957−)のデビュー作。ミニマリズム(最小要素で効果を狙う現代芸術の一傾向)とか、ポストモダンと評される作風。筋は主人公が只ぼんやりと浴室にいるというもの。時々外に出るがまた浴室に戻ってしまう主人公。何か起こるというわけではないがゆったりとしていて面白い。
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これでフランス文学に嵌りました。是非。
トゥーサンの父は映画監督。
彼も今は映画監督やってるけど、その登竜門として、小説を選んだらしい。
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浴室で本をよく読む。安易な発想ですが、これも浴室で読んだ。この男の人が私は好きかどうか。なんか、とっても私の理想をついているのだけど、好きじゃない。不思議ね。クールに物事を考えられたら困る。私が冷静さを欠いていたら、同様に欠いてほしい。ダーツで頭さされたらね、好きでいれるかな。
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起承転結がまったくない不思議小説。面白いのか面白くないのかと聞かれても解らない、と答える他ない感じ。
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たぶんこの主人公と私は同じ空気を吸って生きてるなあって気がします。独り言みたいに訥々と語られる内容は至極淡白なのに引き込まれてるのはなぜだろう。
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トゥーサンの作品の中でもとくに好きなのがこの『浴室』です。
浴室で暮らし始めた(!)主人公
冒頭から引き込まれるお洒落な小説です。
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浴室で本を読むあたしとしては、もうちょっと引き篭もっといて欲しかった気がする。最終的にまた繰り返す物語。
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風呂ニートの話。トゥーサンってこーゆーのかあ。視聴覚系の文化が好きな人のほうがこういうの好きそう。視聴覚系というか映画って言えばいいか。俺、この作品は好きじゃない。
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断章の集合とでもいうようなスタイルが好き。フィクションなのに、まるで作家の日記を覗き見しているようにリアルな感じがして、それでいて軽快。
100ページほどのぺらい本だったので、あっという間に読みました。
物語のラスト、どこかで見たような断章が・・・と思ったらまた振り出しに戻っている。冒頭に引用されていたピタゴラスの三平方の定理の意味が、そこで初めて分かった。他者の入り込む隙があるのかないのか分からないほど、完結した世界。
淡々としている割に心情描写もそこそこあって、堅くなくて、ユーモアもある。読みやすい作品。映画化もされているそうで・・・。
フランス文学の作家さんには、自分の作品を自らメガホンを取って映画化する方々がちょくちょくいるような気がします。
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ひょうひょうとした空気の裏にあるどうしようもない身動きの取れなさに引き込まれた18の頃。16歳のときの初海外・パリの都会っぽさ(衝撃)を無性に思い出した。青春の書。
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浴室で過ごそう。って決めた男の物語。今で言えばニートとか引きこもりか。だらだらっと、淡々と。さらりとした文体で、最後まですいすい読めてしまいます。なんてこともないお話なのに、読後考えさせられる作品です。
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フランス文学っつーのは揃いも揃ってアンニュイですな。サガン然り、ランボー然り。
音楽も代表がシャンソンだってんだから、なんかもう
「雰囲気だけ伝わったらええねん」
とか
「誰も私の憂鬱なんて理解してくれないんだわ。してもらわなくていいわ」
みたいな自己中さ。
まあ、私にゃシャンソンは「シャバダー ボヘミアーン ソワー」みたいな、よく分からん小声にしか聞こえないんですから豚に真珠もいいとこです。
オーレ。
08.05.25
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内容(「BOOK」データベースより)
「午後を浴室で過ごすようになった時、そこに居を据えることになろうとは…」同居人の恋人は心を萎ませ、お母さんはケーキを持って、様子をうかがいに来る。「危険を冒さなきゃ、この抽象的な暮らしの平穏を危険に晒して」とひとり呟やきつつ、浴室を出てはみるのだけれど、いずれ周囲の人々とはギクシャクぎくしゃくしてしまう。そして、また浴室へ…。
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表紙が素敵だったので。
海外の生活が垣間見える作品って好きです。
日本での「非日常」である「日常」が、ほんと当たり前に
サラッと書かれている違和感がたまりません。