投稿元:
レビューを見る
時期を考えると随分好意的な日本紹介だ。昭和初期の風俗も面白く、行ってみたい、住んでみたい国、日本の姿がある。
投稿元:
レビューを見る
日本や日本人に対する鋭い洞察を、軽妙かつユーモアのある文章で綴った好エッセイ。常に庶民に温かい視線を向けているので、時代は違えど日本の庶民としては心地よく読める笑。
時代背景を考えると、イギリス人にとってはけっして住みよい時期ではなかったはずなのに、ネガティブなことは書かれていない。どんな環境であっても、積極的にものごとの良い面を見るというところがすばらしい。
投稿元:
レビューを見る
藤原正彦の「名著講義」で紹介されていたので読んでみた。
現在の日本人とはずいぶんかけ離れている部分も多いのだが、古き良き日本の暮らしと人々を温かい目で見つめ、自分が日本と外国とのよき架け橋になる、そんな気持ちが伝わってくるような内容だった。
また同時に、温かいながらも手厳しく欠点を指摘する部分もあり、非常に鋭い観察眼を持った聡明な女性だということをまざまざと感じさせられた作品であった。
正直なところ、若干日本を見下した風(決してそんなことは一言も言っていないのだが)を感じないこともない。まあ時代を考えればいたしかたないのでしょうね。
投稿元:
レビューを見る
他の文化を善悪の規準で評価し批判的に書かれる比較文化論が後を絶たない中、この著書はむしろ「文化の違い」として昭和の日本を好意的に、同情的に描いている。イギリスから世界の中でも際立って特殊な文化を持つ日本で暮らしその違いを拒絶することなくしっかり見据え、そして受け入れることができる著者キャサリン・サムソンの懐の深さを感じられる。翻訳者大久保美香氏の翻訳も秀逸でサムソンの教養の高さ、育ちのよさからにじみ出る人柄をしっかり伝えている。
投稿元:
レビューを見る
ひとりのイギリス人女性の眼をとおして描かれる、
戦前の東京に暮す市井の人々。
素朴で、優しく、奥ゆかしくて、子ども好きな日本人像は、
おとぎの国の人々のようにはるか遠く、なつかしく、いとおしい。
投稿元:
レビューを見る
日本人がわれさきに電車に乗りこんでいた時期があったなんて信じられません。もののとらえかたが多角的で聡明な女性だとかんじます。多少うえから目線のような気もしますが愛あふるる文章でむかしのわたしたちが愛おしくかんじられます。ここで語られている美徳をいまもまだ持っているだろうかとかんがえると恥ずかしくおもいます。
投稿元:
レビューを見る
イギリスの外交官夫人だったキャサリン・サンソムによる古き日本(タイトルにある年代)の滞在記というか見聞録。軽妙ながら鋭い考察、さすがユーモアにみちた内容で、当時の人々の暮らしぶりや様子がほのぼのと伝わり、面白い。洒脱な挿絵も楽しめます。お薦め。
投稿元:
レビューを見る
昭和初期。外交官夫人として来日したご婦人が友人にあてた東京事情。
もーね、もーね、「教養がある」というのはこういう奥様のことを言うのかと!
基本的には日本びいきでありながら、日本人のお調子者な性質も、島国ならではの自閉的な性質も、とても客観的に観察されてます。スシ、テンプラ、ゲイシャガールじゃない、日本通の人が書いて残した記録になってます。
ちょうど細雪の始まるくらいの年代かな。その頃の東京の風俗も知れて面白かったー。
投稿元:
レビューを見る
イギリス外交官夫人による、日本の観察記。
こんな女性に憧れる。昔の日本の姿がわかるだけではなく、著者のちゃめっけあふれる性格まで伝わってくる、いきいきとした本。
投稿元:
レビューを見る
著者が日本に滞在したころの昭和3年から昭和11年にかけての日本と日本人への想いを綴ったものであるが、戦時色がほとんど感じられなかったのは奇異な感じを受けた。まだこのころはそんなに人々の生活は窮乏していなかったのであろうか。それにしても著者が感心したこととして、日本ではいつでも子どもが第一であることと老人には気品があること、それからひじょうに謙虚で、慎み深いふるまいや言葉遣いが身についていることをあげています。いまの私たちの周りを眺めまわしてみますと、隔世の感があります。
投稿元:
レビューを見る
風雲急を告げる世界情勢の中で、英国外交官の夫人である著者が
日本滞在中に知りえた日本人や日本文化などについて
本国にいる人々向けにわかりやすく解説したもの。
いわば日本人入門といったところ。
投稿元:
レビューを見る
1928年ごろから日本で暮らしたキャサリン・サンソムによる、彼女が見た日本の記録。
日本人の習慣・風俗を詳しく丁寧に描いており、自国民ながら昔の日本人に対して親しみを感じることが出来た。
特に食事や礼儀作法に関しては、作者の感動が伝わって来て良かった。
投稿元:
レビューを見る
昭和初期の東京の生活の様子をイギリスの外交官夫人であるキャサリン・サンソム氏が項目ごとに整理して記録したもの。心配する自国の友達に報告したものらしいのだが、その観察眼や優しい視点が只者ではない。
1.日本上陸
2.日本の食事
3.日本人と労働
4.日本の伝統
5.百貨店にて
6.礼儀作法
7.樹木と庭師
8.日本人の人生
9.社交と娯楽
10.日本人と旅
11.日本人とイギリス人
12.日本アルプス行
13.日本の女性
繰り返し述べられているのは、日本人が純朴でおだやかであり、礼儀正しく親切であること。身分や収入の多寡に関わらず美的センスがあり、あらゆる生活用具が芸術品であること。また、自然が美しいことや、女性が魅力的で動作が美しいこと、みんなが子供をすごく大事にすること等が強調されていた。
少し褒め過ぎで照れくさくもあるが、何となく言いたいことの雰囲気は伝わってくる。
江戸時代1868が終わって60年の昭和初期(1928)においては、まだ江戸の伝統も色濃く残っていたのであろう。今2016から90年近く前の話だから、今より江戸に近い空気であるはずだ。一方で、この頃できた百貨店の活気あふれる様子が紹介され、伝統と西洋文化がうまく融合していることに感動している。挿絵を見る限りでは、普段着はほとんど和服で、学生服やバスの車掌さん、結婚式のモーニング、ダンスホールに行くときなど、必要に応じて洋服という感じだろうか。電車の中はスーツと和服と半々だった。
普通の家にも床の間があり、季節に応じた美術品を飾って楽しむこと、庭師が強い権力(?)を持って庭の美感を決定することが特に印象に残った。
これらは、禅宗的な発想が浸透していたことの現れだろうか。
いずれにしても、戦争に向かってゆく社会にしては、穏やかで生活を楽しむ人々の姿が印象的で、友達に心配させまいと明るく書いたにしても、実際のところはこんな感じだったのでは・・・と思わせる。
現在は、この頃より良くなった部分も多くあるが、この頃の心の豊かさの大事なところで失ってしまった部分も多くあるかもしれない。
今、インバウンドで日本に来ている外国人も同じようなことを言ってくれる気もするし、「日本人は少し疲れていて余裕が無いね」と言われるような気もする。
我々は、戦後何もない状態から今が成り立っている話はよく聞くが、それ以前の生活や文化については戦争と無関係に接する機会が少ないため、戦争のバイアスのかからない外国人のこのような率直な印象や記録は、当時の実像を推測する上で貴重な資料だと思う。
投稿元:
レビューを見る
1930年代のイギリス外交官夫人による日本滞在記。
東洋を理解(我慢し許容する)できる自分は教養あるレディ、との自己陶酔?とは言い過ぎだろうが、先進国の母が発展途上国の子供を優しく見守る目、といった感。
「東洋的前近代文化を持つ国が文化風景は維持しながら西洋的近代価値観を取り入れる」ことを手助けする私(日本の姿を西洋に“ありのままに”伝えようと記す行為)という存在は、しかし今日の日本人も諸外国でさらす姿かもしれない。
日本論ならぬ日本観、で目新しい点はないがこれが当時としてはごく普通当たり前の視点と思える。
投稿元:
レビューを見る
体験談というよりは、日本とは日本人とはを語るものに近いので、ちょっとイメージとは違ったけども、この時代のことを知りたい私にはリアルタイムで嬉しい。生活の内部まで知れないので、意外と今と大差ない感じはありますが。
そう、読んでいても古さを感じ無いのは、恐らく当時も現代も、日本人の本質が変わらないからかもしれません。
このころから結婚式の髷はかつらだったり、袴が少なくモーニングが多かったりなどが知れた。