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紙の本
瞠目する凄い一書!
2019/12/13 23:05
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
電車でお年寄りに席を譲らない『やさしさ』に気が惹かれて購入しました。それは単なる緒でした。
著者は精神科医であり、その精神科を訪れる《患者》の様々な症例から『やさしさ』とは何か、種類などについての洞察が深いです。グイグイ引き込まれて一気呵成に読了してしまいました。
混沌とした現代に於ける最たるテーマだと思います。得られる学びが甚大でした。良書に出逢えました!
紙の本
当たり前を問い直す書
2002/11/01 20:24
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:PATA - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の内容をたった一言で表わすなら、「やさしさという誰しもが一意的に思う言葉ですら、人によってその意味は異なる」ということでしょうか。バスで老人に席を譲ることは「やさしいこと」、親から小遣いを貰うことは「やさしくないこと」、など、誰が正しいと言えるでしょうか。本書に登場する人々は、バスで老人に席を譲らない「やさしさ」があり、親に小遣いをねだる「やさしさ」があると言います。そして、それが非常に納得的に思えました。
評者が本書を読んで感じたことは、たとえば「便利さ」といった場合でも、その意味するところは評価する人の価値観や視点に応じて相対的なのではないかということでした。大阪−東京間に要する時間が短くなった新幹線が、本当に便利になったと言えるのか? コンビニエンス・ストアの登場で24時間お弁当が買えるのは本当に便利になったのか? インターネットでいつでもどんな情報でも入手できることが本当に便利だと言えるのか? 携帯電話の普及でいつでも友人と連絡がとれることが本当に便利だと言えるのか? …当たり前と感じていることをもう1度考え直してみる必要があるのではないかと思いました。
評者の私見ではありますが、本書が「現時点での“当たり前”を問い直す書」であるとするならば、井上章一『つくられた桂離宮神話』(講談社学術文庫)や同『美人論』(リブロポート)、あるいは吉見俊哉他『メディアとしての電話』(弘文堂)や吉見俊哉『「声」の資本主義』(講談社選書メチエ)などは、「“当たり前”を過去に遡って問い直す書」であるような気がします。
紙の本
傷つけないための優しさ。
2001/09/05 21:24
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みやぎあや - この投稿者のレビュー一覧を見る
人に優しい、環境に優しい、そんなキャッチフレーズが当たり前のように使われるようになった現代。我々は心に対する優しさにも敏感になった。そして「やさしい」こと、それ自体の意味も変わる。相手の傷を癒してあげる優しさから、相手を傷つけない優しさ=自分が傷つけられないための優しさへと。
特に若い人たちに顕著なその動向を冷静に分析しながらも、精神科医である著者の視線は温かい。
紙の本
やさしい人ってどんな人?
2001/03/01 15:37
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つる - この投稿者のレビュー一覧を見る
やさしいことはいいことだ、と思われている。でも、やさしさってなんだろう。
筆者は現代のやさしさは「治療としてのやさしさ」でなく「予防してのやさしさ」だという。つまり自分が仲間はずれにされないためにただ葛藤をさけるようなやさしさだという。
「やさしさの時代は誰も責任をとりたがらない。自分のことは自分でよく考えてと言い、自分のせいにされるのを覚悟で助言したりはしない。」
本当のやさしさには厳しさが必要だし、もし本当に人にやさしくすれば、恨まれる時だってあるかも知れない。でもそういう強さなしの今の日本にはびこっている「やさしさ」ってなんだ?
やさしさを通して今の日本の若者について考えさせられる本。