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毛沢東の“御殿医”によって書かれた本。何故御殿医という表現を使ったか? それは毛沢東=中華皇帝そのものだからである。しかしその毛主席の地位も安泰ではない。凄まじいばかりの権力闘争が"宮廷内"で繰り広げられる。その中で御殿医、李博士は生き残るために政治には口出しをしないという誓いを立てる。宮廷から逃げだそうと試みる。しかし毛沢東のそばにいる限りそれは叶わぬこと。政争という名の吊し上げで古参の軍人が消え、自分自身も江青婦人からいびられる。江青は自分に付いている看護婦に「暑い。今度は寒い」と虐める。その江青婦人についている看護婦(師)の上司は李博士である。中国では敵対する人物を叩くときはまずその部下を批判する。部下の批判はつまり自分への批判である。周恩来も部下を非難され政治生命の危機に立たされたことがある。江青のストレスの理由は毛沢東の女性問題である。常に自分は捨てられるのではないかという中国独特の男女間にさいなまれていた。中国という国と中国人を理解するにはよい教科書となることを保証する。現代中国を作った人物、毛沢東の素顔がそこにある。
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毛沢東は糞まみれの長江で泳ぐとか、糞踏んだまま平気で歩くとか、歯磨かずに茶で口を濯ぐだけとか、遺体に防腐剤投入したら膨張しちゃったとか、ヘンな逸話のオンパレード。汪東興がシブカッコイイ。
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P204
毛沢東の社会主義観は常に中国的な特質を持った社会主義であり、それは中国の富強と栄光のための、
また中国文化の覚醒のための社会主義であり、
中国の即守勢が創造的に生かされる社会主義で無ければならなかった。
→結局、歴史的な「中華主義」と、「中国独特の****」は違いが無いように読める。
単純に言葉を摩り替えただけなのかな。
P530
20世紀中国の‘皇帝‘がだした勅令による強制労役の新手だった。
→「毛沢東=皇帝」と捕らえると、文脈がとりやすい。政府ではなくひとつの王朝。
P532
私どもにとって人間的なぬくもり、充足感、平和の最後の砦はいまや永遠に失われてしまったのだ。
→「平和の砦」とは自分にとってどんなものか。自分の背景となりうる存在ということ?
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毛沢東は三国志や水滸伝を愛読書にしたということだが、
彼には劉備や宋江が持っている、「人たらし」らしい魅力がある。
更に共産党絶対主義がこれに加わり、彼を「偉大なる指導者」
たらしめている。
権力への飽くなき追求が生んだ悲劇や魔性がよく分かる一冊。
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愚弟の本
内容(「BOOK」データベースより)
「もし私が殺されてもこの本は生きつづける」の言語を残し、著者は本書が発売された3カ月後、シカゴの自宅浴室で遺体となって発見された。また北京政府は「事実無根の書」として、事実上発禁扱いにした。が、地下では密かに熱心に読まれている、と言われている。現代中国史はこの本の刊行で、見直されなければならないだろう
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毛沢東とは一体どのような人物だったのか。
権力を得、彼は全て自分の意のままにならないと気が済まない、彼に追随する者を好む、といったような典型的な皇帝・暴君に変貌しました。
思考は古い歴史や先例に凝り固まっていて、行動の原理のほとんどはそこから持って来ていたり。
しかし人をたらしこむのが上手く、人に制されず、理想は雄大壮麗かつ楽観的で、非常に色を好む。
そのような所を見る限り、まさに毛沢東自身、中国に数多く生まれてきた英雄の内の一人に違いないとは思います。
しかしやはりクセがありすぎるという気がしますが。
この著者さんは正義感の強そうな人で、とても好感が持てます。
最初は心から慕っていた中国の偉大な指導者に、だんだんと失望してゆく様子がリアルです。
江青や林彪など、他の中共の指導者達の一面も窺い知ることができて、非常に興味深い一冊でした。
というかむしろ、毛沢東の変な習慣や、最高指導者達のどたばたの方が読んでいて面白かったです。
とりあえず汪東興がかっこいい!
上巻だけでこの濃さ。下巻からは文革本番です。
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毛沢東の死体を保存するための処置のくだりは、ふ〜ん、なるほど、って感じだった。「四人組」の裁判があったのは1980年頃か、子供心に口をとんがらせて話す江青の姿はちょっとこわかった(苦笑)。一時期「紅衛兵」や「文革」に関する映画や小説、ノンフィクションが流行った時期があったのを読みながら思い出した。「芙蓉鎮」とか…もう一度見たい映画だ。
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読んだのが20数年前。かなり衝撃だった。
あの頃の中国に比べて、今の中国の変化は著しいけど、根本が変わってないような気もする。
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近代中国史を描いた様々な本が有ったが、これを読むとそれらが如何に勝手な憶測に基づいた記述かわかり、より正確な理解に近づいたと思わせる一冊
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上下1000ページ、後半はほぼ権力闘争のみです。なかなか気分が悪くなる本なので誰にでもおすすめとは言えません。
ユン・チアンのマオの方が一歩引いた視点(その分見方は厳しい)なのに対し本書は元主治医だけあって毛沢東を批判しながらも、実際には毛沢東に影響されまくっている。
どこかで毛沢東の失敗は周りの人間が悪かったと信じたがってるように見える。1996年時点で大躍進の失敗を死者最大4000万人以上と書いているので、
それなりに情報は上がっていたのだろう。マオでは3千万、毛沢東の大虐殺では4500万人なのでこれを最初に言っただけでも中国で禁書になるのはわかる。
けっこう今の中国では毛沢東次代は貧しかったが平等だったと言う風潮が有るが、どう見てもひどい時代です。
この時代の中国が知りたくて1冊だけ読むならマオがおすすめ。
フランク・ディケーターの毛沢東の大虐殺は大躍進に焦点を合わせていますが今の中国人がなぜこれほど自分勝手になってしまったのか、原因が分かる気がする。
生き残るためには他に方法が無かったのでしょう。
文革の雰囲気は同じくユン・チアンのブラックスワンも参考になります。
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毛沢東の主治医が見聞きしたことを書いた本。主治医の書いた本なので政治の裏側・真相についてに期待するとがっかりする。それについては殆ど触れられていません。
それよりも、筆者が主治医となった時には、既に毛沢東は睡眠薬が手放せない状況であるとか、若い女性をはべらせていたとか、神格化されたイメージとは全く違う生身の人間が書かれています。
それにしても、筆者は大変な時代・場所に生きていました。ちょっとしたことで、責任を取らされて死ぬかもしれないのですから。
また、周恩来について書かれた本を読んだことがありますが、この本の筆者の見方と大分違うのには驚きました。
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読みづらい本であった。
言葉の選択があまり良くない。
それにしても、中国の内情がよくわかるので、評価は高い。
毛沢東の虚像と実像があり、著者である 李志綏の保身があるので
知りたくない。見たくはない。部分を 誇張して書いている。
著者の李志綏は 毛沢東の主治医。
たしかに、こういう人がいるだろうと思うが、
彼が 観察している 毛沢東は あきらかに
一つの方向性をもっている。
独裁者である 考えは 毛沢東にはないのかもしれない。
たぶん 本を読んでいる限りでは皇帝に なりたかったのだろう。
集団指導なんぞ くそくらえなのだ。
中国人が 3千万人くらい死んでも
人口は 沢山いるのだから 全然問題ないと考えている。
冷ややかな人だ。
農村から 革命が起こる と信じている。
毛沢東は、油まみれの辛い料理が好きだ
というのが、何ともおかしいなぁ。
毛沢東は批判する相手を 直接批判しなくて
違った方法で 批判する。
それにしても 中毛思想に凝り固まり
自分が中心でないと 満足できないようだ。
そのために、自分の地位を脅かす者は すべて排除しようとする。
それにしても、毛沢東は やはり超人的だね。
発想方法も ずいぶん違い
どう競争させるかを よく知っている。
李志綏は、江青が嫌いなんだね。
江青は 不幸な人で、その境遇のなかで
性格が ねじれている。それをどこにぶつけるのか
といえば 弱い者いじめですね。
権力を傘に着て、いじめる。
そのことを 毛沢東は よくわかっているのに
泳がせているんですね。必要毒と思っているのだろうか。
整風運動というなの粛正
大躍進運動の誤りを認めず、批判したら失脚させる。
どうしようもない 指導者である。
それをいまも 風化させずに、反省もせずに
連綿と続いていることに 中国のいまがある。
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毛沢東の主治医が書いた事もあり、毛沢東の人柄がとてもよくわかる一冊。中国の現代史を理解するのに辺り、毛沢東をよく知る事は非常に重要だ。その点で本書は必読書だろう。
最後の部分で毛沢東の腹心が言っている言葉が毛沢東の全てをよく形容していると思う。「たしかに毛沢東は偉大な哲学者、偉大な軍人、偉大な政治家にちがいないが、経済家としては最悪だ。壮大な計画への好みがつよすぎて人民の下情にうとくなり、みずから促進してきた党員としての働き方ー事実、謙譲、細部へのこだわりにもとづいて真実を求めるという生き方ーを忘れてしまった。これらの要素こそ国家的な経済問題の源泉ではなかったのか。」
人民の命を何とも思っていない言葉、性欲丸出しの女性関係、権力への激しい執着心と自らが絶対的な皇帝であるとの自負・・・。カリスマ性を持った偉大な人物ではあったと思うが、国家を統一した時から道を踏み外してしまい、後半は老害でしかなくなった。特にカリスマ性があるが故に犯す経済的な過ちが致命的だった。誤りでは済まない程、たくさんの命が失われ、たくさんの腹心を潰していった。多くの場合には死にまで追いやった。
本書は中国国内では事実上の発禁処分のようだが、中国にいない私達が歴史をしっかりと理解し、中国に対していかなければならない。
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毛沢東に心酔して主治医を引き受けた著者が、共産党内の醜い内部闘争や毛沢東の実像に触れて、程なく距離を置こうとしているところが印象に残った。胃潰瘍でやせ衰えるほど、強いストレスがかかるのだから、国家権力者の主治医も楽じゃないと実感した。
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「ソ連モデルへの盲従、無自覚、マルクスの呪文的な復誦が毛沢東のより気にくわないところであった。」
毛沢東が主席になっている段階で、主治医になった者が書いた本。著者は、医師として毛沢東の近くにいたが、医師としての仕事はほとんどなかった。そんな彼から見た主席を学べる。
毛沢東は、常に辛苦を忘れてはいけないと教える。今の自分の地位は、過酷な環境を乗り越えた故にあると考える。だから、側近の知的階層にもその辛さを味わってもらわないといけないと考える。でなければ、堕落してしまう。
大躍進。それは、人民公社を作り、男は裏庭溶鉄炉、女は農業に従事し、それら生産物をみんなで共有しようとした政策。大失敗に終わる。しかし、すぐには止められなかった。なぜなら、主席が聞く話は偽りの成果であり、かつ、それが怪しいと思ってもフルシチョフへの反発心からそれを認めなかったから。
自分の意見に沿わない話は聞かない。そんなものは聞きたくない。そういった話をする者はいらない。それが主席。また、部下同士は常に互いに批判させる。団結させない。
毛沢東は後年のエピソードは評判がよろしくない。しかし、それは彼がなんらかの信念のもと動いた結果だろう。その信念が初期の段階では彼に人気を与えた。