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秋の花(創元推理文庫)
  • みんなの評価 5つ星のうち 4.1 115件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:1997.2
  • 出版社: 東京創元社
  • レーベル: 創元推理文庫
  • サイズ:15cm/268p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-488-41303-X
  • 国内送料無料
文庫

紙の本

秋の花 (創元推理文庫 円紫さんと私シリーズ)

著者 北村 薫 (著)

秋の花 (創元推理文庫 円紫さんと私シリーズ)

670(税込)

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みんなのレビュー115件

みんなの評価4.1

評価内訳

紙の本

傍らに置いておきたい本です

2003/01/08 11:00

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:homamiya - この投稿者のレビュー一覧を見る

女子大生の母校の後輩が屋上から転落して亡くなった。それは事故? 自殺? あるいは…??
というストーリーだが、上の一文から想像されるようなミステリーでは、ありません。
謎解きは非常にゆっくりだし、解かれてみれば、「何だ、そんな事か」という程度。
味わって欲しいのは、その過程で、が出会う出来事、考える事、友人や謎解き役の噺家・円紫さんからの言葉…そういう一つ一つが、水が染みるように読む人の心にじんわりきます。

“紫のひともとゆゑに武蔵野の草はみながらあはれとぞ見る”
という古今集の歌が、あるお菓子の箱に書いてあったという話がでてくる。
後で、が円紫さんを自分の生まれ育った町に連れて来ることになるのだが、そこで円紫さんのこのセリフ。
「もう何年かすると、あなたもきっと誰かをここに連れて来るのでしょうね。そして自分の歩いた道を教えてあげる。そのとき、誰かは、>と思うでしょう。一本の木、一本の草までね」
は体がしびれる。
読んでた私もしびれました。
思わず、本を閉じて反芻してしまいました。

北村薫の話は、決して美しいだけの物語ではない。
人の嫌な面や弱い部分も書かれているし、眉をひそめるようなつらいシーンもある。
ドラマチックに、都合のよい事だけが書かれているのではなく、物語のあくまで一部分として、上述のような珠玉のシーンが登場するのだ。
実人生だって、よいことばかりではないけれど、悪いことばかりでもない、そして時には円紫さんの言葉のような心ふるえる出来事もある。
北村薫の本は、それを思い起こさせてくれます。
「秋の花」は、北村薫の「空飛ぶ馬」「夜の蝉」に続くと円紫さんシリーズの一つだが、それぞれ
独立した話なのでこれだけ読んでも問題ありません。
が、この本を読んだ人は、魅力的な登場人物や北村薫をもっと味わいたくなり、きっと他の本も手にとってしまうでしょう…。

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紙の本

それでも生きる

2002/06/29 12:40

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:HRKN - この投稿者のレビュー一覧を見る

「人が死なないミステリ」を書く作家だった北村氏、この作品では初めて登場人物が亡くなることになる。それだけに「死」の意味は深く語られているように思う。

時間を奪われる否応の無さ。真相が明らかになることの悲しみ。推理を巡らせる場面も下衆な雰囲気は出ず、深刻さが際立っている。透徹した冷めたトーンが中盤までは続く。だが終盤に大きく動き出すのだ。終盤は最後の一文に向かって急展開する(この手法は北村氏の後の著作「ターン」の雰囲気を彷彿させる)。悲しみが深まり、登場人物の感情が渦巻くのがわかる。動揺と不安。その一部分に私も加わることを余儀なくされてしまう。そして、全てを救う最後の一文。包容力、悲哀に満ちた広大な包容力。生きること、死にゆくこと、その全てが私の中に染み込んで来るのが分かった。それでも生きていかねばならない、それでも生かさねばならない、そんな励ましに感じた。

この作品のミステリとしての評価は私には出来ない。驚愕の底に突き落とされるような画期的なトリックを採用するミステリならば、他にも数多く存在するのだから。だが、本作品ほど「謎を解くことの意味」が悲しくも明瞭に語られる作品はないのではないか。謎が在るだけではなく、謎を解かねばならない切迫感、生きる人にとっての謎の意味、そこまで十全に語ることのできている希有な作品だと思う。

最後の一文と、次作(六の宮の姫君)で更にエピソードが重ねられる辺りに、北村氏の深い優しさを感じた。本作品の存在で、私は生きていくことの意味を忘れずに済んでいる。一生手元に置きたい作品である。

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紙の本

成長することの残酷さ

2015/08/29 21:06

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:さしすせそまみむめも - この投稿者のレビュー一覧を見る

北村薫の『わたしシリーズ』(あるいは『円紫さんシリーズ』)の第三作であり、シリーズ初の長編です。

物語は、雨に濡れる黒いアスファルトのイメージから始まり、可憐な秋の花が咲いて結ばれます。その花がなにかは読んでのお楽しみ。

咲いた花には、一人の少女の成長が仮託されています。
本作は、人によっては、読み進めることが辛いと感じる場面もあるように思われます。
それでもなお、最後の「秋の花」を見届けて欲しいと願わずにはいられない素晴らしい小説です。

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紙の本

秋海棠

2001/10/09 13:42

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かずね - この投稿者のレビュー一覧を見る

円紫さんシリーズ第3作目です。今回は今までのような短編と違い、長編小説でした。そして、このシリーズで 初めて、人の死というものが出てきます。
 主人公の「私」の母校で起きた生徒が死んだという事件。そして、その死んでしまった女の子とどこへ行くのも一緒だった女の子は揃いのものがなくなったかのように、とても心が不安定になってしまいます。「私」宛てに届く謎の2通の手紙。この生徒の死は自殺なのか?事件なのか?その謎に引きこまれ 一気に最後まで読んでしまいました。
 本の表紙をめくった所に秋海棠の花の写真があります。人を思って泣く涙が落ち、そこから生えたそうです。この花の由来がこの事件に深く関わっていてとても印象的でした。そして・・・ 秋海棠と聞いて『ぼくの地球を守って』を思い出したのは私だけかしら??(笑)

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紙の本

許す、ということ

2001/01/19 13:48

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:松内ききょう - この投稿者のレビュー一覧を見る

 学園祭前日に屋上からの墜落死で幼なじみを亡くし、自らも魂を奪われたように憔悴しきっている女子高生がいた。母校の後輩にあたる彼女の心の闇に触れ、<わたし>は事件の真相に近づこうともがくのだが…。
 <円紫さんとわたし>シリーズ初の長編にして、初めて<人が死ぬ>衝撃的作品。いわゆる“北村風”推理小説の流れを作った衝撃のデビュー作『空飛ぶ馬』の感動は、今も色あせることはないが、推理小説で<人が死ぬ>ことでこんなに吃驚してしまったことも後にも先にもないだろう。秋の風景描写のもの悲しさが、親友を亡くした少女の悲しみをさらに浮き彫りにし、彼女を見つめる周囲の温かい人々の目に対し、彼女の孤独の深さがより鮮明になる。物語終盤、人と人との関係、人が人を思うこと、考えること、そして思いやることが、どれだけ複雑な糸の絡み合いの上に織りなされているものなのかを思うと、先を読むのも怖いくらいの印象がある。ラストの素晴らしさも著者ならではの、出会えたことに感謝できる作品。

 この書評への感想をいただけると嬉しいです。ききょう

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紙の本

人を失う悲しさ

2001/11/25 00:44

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:はなきち - この投稿者のレビュー一覧を見る

 このシリーズ初の長編だったのですが、謎解きというよりは、悲しい話でした。

 親友を失った少女の悲しみは誰にも分からないし、誰も代わってあげらない。人が死ぬきっかけがこんなに悲しいと、立ち直ることさえ難しい。

 読み終わっても色々考えてしまって、しばらくは本から手が離せませんでした。

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紙の本

私たちって、そんなにもろいんでしょうか

2002/07/05 00:46

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:まきしまむ - この投稿者のレビュー一覧を見る

「私と円紫さん」シリーズ第三弾。
物語の語られ方、主人公の考え方や行動パターンから作者の性別を
推し量ると…どう考えても…当時、覆面作家として名をはせた
作者ならではの文章が光っている。 

ミステリを題材にしているが世にあまたあるミステリ小説のように
頭をかち割られたり、手をもがれたり、毒殺されたりというものではなく、
私たちのまわりでもひょっとしたら起こるかもしれない…
事実起こったのかもしれない、そんな種類の話が収められている。

ラストになって登場する噺家円紫さんの全てを包み込んでくれるような優しさが、
真相の残酷さと相まって見事なコントラストを醸し出している。

なかでも主人公が言った「私たちって、そんなにもろいんでしょうか」という
言葉が深く心に刻まれた。

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紙の本

今までとはちょっと違う

2015/08/29 17:27

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:nazu - この投稿者のレビュー一覧を見る

円紫さんと私シリーズの3作目にして初の長編。扱うテーマというか、事件も、これまでの短編のものとはかなり違って、言って見れば重いです。私はこのシリーズではどちらかというと短編物のほうが好き。

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2005/05/18 10:49

投稿元:ブクログ

シリーズを貫くやさしい視線と、判明する惨いほどの真実と、それでも存在する未来への希望と。振り返ると、以降の長編の原点かもしれない。

2004/09/29 16:58

投稿元:ブクログ

円紫師匠と私シリーズ第3弾
このシリーズはじめての長編。そして、初めての死。それでも、作者の私に対する愛情は満ち溢れています。

2006/01/28 17:35

投稿元:ブクログ

「私」と円紫師匠の名コンビシリーズ第三弾。シリーズ初の長編物にして初の殺人事件。けれども、今回は読後、生きることへの作家のエールのようなものが感じられました。

2005/08/11 14:22

投稿元:ブクログ

不思議なことを取り上げることが多かったこのシリーズだったが、初めて登場人物が死んでしまう作品。しかし、殺人事件ではなく、その事件に巻きこまれた人間たちのカタルシスがそこにはあって、とても胸をあつくさせる。最後の死んだ女のコの母親と、その女のコの親友とのやりとりは、胸が苦しくなるが、円紫さんの「《許す》ことはできないかもしれないが、救うことはできる。救わねばならない」と言うコトバに救われる。

2004/11/27 20:52

投稿元:ブクログ

『空飛ぶ馬』『夜の蝉』に続く 円紫さんと私シリーズ第三弾。
[私]が卒業した女子高で起きた事件(事故?)に関わる物語である。
ミステリィでは当たり前の人が死ぬということがこのシリーズには珍しい。なので シリーズの他の作品に比べて詩的に流れるような感じが薄かったように思う。円紫さんの謎解きも当然のことながらうきうきと微笑ましいものではなく真実を明るみに出すことよりも その後のことを深く思っている様子が見て取れる。
ただ どの作品を読んでも どんなことでも 知ろうと思えばヒントは辺りにころがっているのだということに気づかされる。わからないのは知ろうとしないからなのだ。きっと。

ただ これは単なる個人的なわがままなのだが 北村さんには人を殺して欲しくない。

2017/02/06 22:51

投稿元:ブクログ

今回は珍しく長編。だけど、すぐに読んでしまった。双子のように仲の良い2人のうち1人が事故にあい亡くなってしまう。しかしただの事故とは思えない、生き残ったほうの1人は何かを隠しているような印象をうける。「わたし」は今回も円紫さんの手を借りながら、哀しい事件の手がかりを追っていく。

2005/02/15 21:14

投稿元:ブクログ

円紫さんと「私」シリーズの第3弾です。シリーズ初の長編で、しかも殺人?自殺?事故?いずれにしても初めて人が死にます。実は2作目の「夜の蝉」を読んでいないので、1作目から3作目に飛んじゃったのだけど、やっぱりこのシリーズは順番に全部読んだ方が楽しいみたいです。この作品に新潟の話が出ますが、どうも2作目に書かれているみたいです。もちろん、別々に読んでも楽しめます。
今回の被害者?は「真理子」さん。この方の名前は津田真理子さんで「スキップ」の「真理子」とは違うのだけど、「時」を意識した記述は、あの真理子さんに通ずるものがあり原型はここにあったのかって感じでした。17歳で命を落とした真理子さんは、25年後にスキップしたのかな
ここまで来ると、もうシリーズは全部読まないときがすまなくなってきました。